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その言葉に、思わず身構える。
「な、なんで……」
その別名を知っているのか、とたずねると、陵さんは、ははっ、と笑った。
「なんでかって?それは、俺が」
――だからだよ、と声が聞こえた。
風が吹いてよくは聞こえなかったが、確かにその名前は聞いたことがある。確か、その名は――、
「ギルド、【青い羽根】……」
主に、狩りを行うギルドだと聞いている。魔力が歪に纏まった存在、魔物を狩るギルド。北の大地でのナンバーワンギルドらしい。そこの、エースと呼ばれる存在、それが、彼。
「でもなんで僕の名を」
「一回仕事したことあるぞ?先月だったかな」
確かに先月狩りを主体とするギルドと一緒に仕事したことはある。でもその時は、四十ぐらいのおじさんだったはずなのだが……もしかして、
「もしかして、変化のピアス……」
「その通り。俺のはピアスじゃなくてアンクレットだけどな」
まさかこんなところに同業者がいるなんて思いもしなかったものだから、どうしたものかと悩んでいると、ぽん、と頭を叩かれた。
「でもここで会えてよかったわ。よろしくな、青藍……いや、冬華」
最後にちゅ、と頬に何かが当たる感触。それが何か気づいたときにはもうすでに陵さんの姿はなかった。
「あの人――」
いや、と頭を振って、その頭に浮かんだ疑問を振り払うことにした。




