表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Aeternum / perpetuuS  作者: 紅莉
序章
1/40

00

【 序 章 】


 赤い、紅い雨が降っていた。それは自分の身体を濡らしていく。けれどもそれに不快感はなかった。むしろ感じるのは喜びのみ。何もない廃村の真ん中で自分は空を見上げて微笑んでいた。

 ――そう。廃村。ここは、北の大地(ヴィシュール)にある、ごくありふれた村、だった。

 自分は、何をしていたのか。それすらも自分の記憶にはなかった。ただ、片手に持っている剣に滴る血だけが、自分の業だけは忘れさせてはくれない。

「ははは……」

 不意に漏れた言葉に、ガサガサ、と近くの茂みが揺れる。

 顔を向ければ、そこには翼の生えた黒猫が佇んでいた。

「気は済んだかい?青藍(せいらん)

 黒猫が、そう問うと青藍と呼ばれた少年は剣を黒猫に向ける。ただ、その目は笑っていた。

「気?……そうだね。残るは君だけだ」

「……私を切ったところで私は生き返るのに」

 何度でも、と黒猫が言おうとした瞬間に、その首ははねられた。

 赤くさらに地面が染まっていく。黒猫の方はというと、光の粒となって何処かへと消えていた。

 その場には、黒猫のものと思わしき羽根が一枚と少年だけが残された。

「赤い」

 雨は、少年を赤く塗りつぶすように降り続ける。

 そしてまた、少年も一言呟いたと思うと、次の瞬間には風と共に居なくなってしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ