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尋問、それはとても怖いもの。3

 通常、尋問する場所に最適なのが窓の無い真っ暗な空間だ。暗さは人の恐怖心をかき立てるし雰囲気もバッチリ。

 そしてもう一つが換気用のプロペラだ。これは密閉された空間に溜まった男臭ささを排除してくれるが本当の目的は外の音を掻き消すのに使われている。ただドラマ等の娯楽作品で尋問を研究した程度の『やってみた』って素人はそれを知らないでただ真似たってだけの事がよくある。例えば、スパイの真似事で私を誘拐した同じ海賊見習いの同級生とか良い例だ。誰もが遊びの範囲内でとった行動だが、私達スパイ科には最高の実戦練習だったらしい。いつの間にか出口には私を救出する役の実戦部隊が集結し、それらの強行突入で見事私は救出された。

 プロなら部屋の外に見張りの人間を立たせたりする。それを怠ったが為に彼らは制圧されたのだが、そこで得た教訓はプロペラを動かしていると中の人間も外の世界と隔離されてしまうって話だ。




「聞いてるのか? オイ!」


 もうされて何発殴られただろう。忘れた。頭がボーっとしてる。


「なにボケッとしてやがる。俺達の質問に答えろ、水無月リン!」

「ごめんなさい……ちょっと、トリニティの事を思い出してました」

「やっぱり海賊だったか! テメェ」

「それで、何の質問、でしたっけ……?」

「あんたが海賊のスパイかどうかって質問だ。答えてくれて感謝するよ」


 しまった、と後悔しても遅い。喋ってしまった事は事実だから、あとはあることない事言って誤魔化しまくれ。リカバリーの必要性は全く無い。

 ただ、朦朧としてる意識の中でそれをやり切れるかは不安だ。


「ええ確かに私はトリニティのスパイで」


 す。と言う前に突然目の前の蛍光スタンドがぷつりと消えた。

 唯一の光源を失った瞬間、あたりが一瞬ざわめいたがすぐにスタンドは光を取り戻した。一瞬だけの停電だった。


「何が起きたんですか?」

「停電だよ。別に珍しくない」


 そういう割には他のメンバーの表情は穏やかじゃない。そそくさと出て行く。

 いつの間にか、この部屋には私と男と女の三人だけになっていた。


「本当に?」

「くどいな。もう一発殴るぞ」

「それは困る」

「だろう。いいから黙っとけ」


 その後のやり取りは全くと言っていいほどなかった。

 さっきまでの怒涛の質問ラッシュも鳴りを潜め、今はちょっとばかしのお休み時間。私はこの沈黙が怖かった。まるで嵐の前の静けさのように感じたからだ。

 今しがたの停電、発動機の不調だとしたら予備電源に切り替わるまで余りにも早すぎる。宇宙設備において発動機の不調は即生命に関わるので怪しい動きを感知したら問答無用で予備電源に切り替わる。それでも変換には10~20秒は必要だ。それがたったの3秒、この数字は明らかにおかしい。

 人の手が入っているのはほぼ確実だ。そして、発動機に細工する必要性のある人間とはここではどんな奴だろう?

 それは確実に、ここの人間と敵対するスパイか潜入工作員の仕業だ。


「カティ、さっき連絡がありました」


 男が女に近づき、呟いた。

 女は怯えた表情で男の顔を見る。


「よくない話?」

「警備部の話だと発動機に妙な仕掛けが取り付けられているようです。形状から察するに爆弾かと」


 古い設備、または急ごしらえの施設になると機関室に主電源と予備電源が隣接しているのは当たり前。そこに飛び切り強力な粘土型爆弾を仕掛けられたりでもしたら、あっという間に電源喪失と擬似重力の解除、そして吐いた唾が一瞬で凍るほどの急激な寒冷化がコンボする。そうなりゃそこにいる生命は根絶やしだ。

 そして、そこまでの知識があって細工まで出来る人材となるとメカニックか工作員・スパイしかいない。まあざっとさっきの状況から推測するにここまでは正解だろう。私の知らない所で私の知らない組織が動いている。



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