大きくなる神の国
「将軍‼︎ただいま援軍やってまいりました。」
私は将軍に聞こえるくらいの大きな声で言った。
「…その声は…睡蓮様ですね。早く敵陣に食い込んで下さい。」
将軍は突っ立ってないでさっさと手伝えと言うかのように睨んできた。
「はいっっ‼︎」
私は、全力で目の前の敵を倒して行った。
「おりゃゃゃゃゃ〜」
私は、とにかく一生懸命に矛を振った。敵が次々と私の矛に当たり倒れていく。私の後には、綺麗にそこだけ兵士が倒れている。私は、どんどんと先へ進んだ。
「カキィィィン‼︎」
突然、私の矛に衝撃が走った。
「…‼︎」
誰か見知らぬ人が、私の矛を停めている。
「…見かけない顔だな。神の国にこれ程までに強い武将が居るとは知らなかった。だが、この俺にかなうほどの相手ではなさそうだな。兵士を100や200切ったところで、調子にのるなよ。まぁ、丁度私は暇だったのだ…仕方なく相手してやろう。」
よく見ると、30代くらいの巨大な男が私を蔑むように見ている。
(何…この人。自分から勝負挑んでいて、偉そうに…)
私は頭にきた。
「…何者だ?」
私は今出せる一番低い声で聞いた。
「…お前それでも武将か?武将なのにこの私を知らないとは、よっぽどの馬鹿としか言いようが無いな。 ……私の名は僧衛だよく覚えておくがいい。と言っても、もう時期そなたもこの世にはいない存在になるがな…。ハハッ」
僧衛という男はそういうと同時に私に襲いかかってきた。私はその矛をよけ、僧衛という男の腹を目掛けて矛を出した。
「…ぶぇっ‼︎」
と言う僧衛の声と同時に、目の前が明るくなった。良く見ると、僧衛が口から血を吐いて倒れいた。もう彼は動かなかった。
「睡蓮様‼︎」
将軍が私の所に駆け寄ってきた。
「…睡蓮様…もしかして、一人でこの男を倒したのですか⁉︎」
将軍が驚いて聞く。
「そうですけど…何か問題があるのですか?」
「大ありです‼︎この男誰だが知っていますか?この男は僧衛と言って、虎の国の最強武将と言われていたのです。その男を睡蓮様がお倒しになるなんて…しかも、あんなに早く、一太刀でやってしまうなんて……流石、殿が見込んでいただけある。」
と何やらブツブツ将軍が言い出した。
「…あの…私たちはこのまま敵の本軍に突撃して行けばいいのですか?」
「あっ、ええ、その通りです。すみませんっ‼︎では、早く参りましょう。」
将軍は馬を敵の本軍に向わせた。将軍の後に私と将軍の兵が着いて行く。
どのくらい戦っただろうか。ようやく勝敗が決まった。…私たち神の国は虎の国に勝つことができた。今、城に戻った私達は勝利の宴を楽しんでいる。
「ふぁぁぁー。」
「…どうしたの、睡蓮?眠たいの?初めての戦だったもんね。もし、疲れたなら、もう休んできた方がいいよ。無理はいけないからね。」
お兄ちゃんはそう言って私の頭をポンポンと撫でた。
「…そうするわ。何かと今日は疲れたから。」
そう言って私は自分の部屋に戻って休んだ。
次の日、軍議が開かれた。もちろん私とお兄ちゃんも参加している。
「…皆に伝える事がある。山の民の中でも、強かった虎の国に勝利した神の国にぜひ、私の国と和約を結んで欲しいと言う国が現れた。その国は、林の国だ。だが…私は和約を結ぶために虎の国と戦ったのではない。山の民を一つの国にするために戦ったのだ。だから、私は林の国の王にこう言った。そなたの国ごと私にくれとな。私はもちろん断るだろうと思っていたが…あっさりと構いませんというのだ。…皆の者どう思う?こんなにあっさりと国を渡すと思うか?これは罠と思うか?意見が欲しい。」
「林の国の王は、民の幸せを一番に考える王と聞いたことがあります。真実がどうかは分かりませんが、信じて見てはいかがでしょうか?もし、違ったならばまた、戦えばいいのですから。」
と一人の将軍が言った。他の将軍も同意したように頭を縦に振った。
「…そなたたちの意見は分かった。では、林の国の王をここに呼べ。」
父上がそう言うと、林の国の王が現れた。
「そなたの国の民を我が国の民として迎えよう。」
父上が笑顔で林の国の王の手を握った。
「‼︎本当ですか‼︎ありがとうございます!」
林の国の王はその場に泣き崩れた。
「これで林の国の民は幸せに暮らせる。」
と林の国の王は喜んでいた。
「…これで、神の国は三国を手に入れたという訳事だね。」
私はお兄ちゃんに尋ねた。
「ああ、そういうことだ。」
お兄ちゃんもどこか嬉しそうだ。