卒業の季節10
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ルクト・オクスが長命種を目指すことを決めるより前、彼の同級生の中にはすでに長命種になるべく行動を開始している者がいた。その同級生の名はサミュエル・ディボン。今となっては、〈味方殺し〉の悪名の方が有名になってしまった青年である。
所属していたパーティーから除名されソロになってしまったサミュエルは、迷宮の中で長命種の〈御伽噺〉と出会う。そして〈御伽噺〉は悪魔よりも狂気に満ちた笑みを浮かべながら、サミュエルにこういった。
『なりたくはないかね? 長命種に』
それに対しサミュエルは「なりたい」と答えた。その答えに〈御伽噺〉は満足げに頷き、そして彼はその願いを叶えた。
実際のところ、〈御伽噺〉はサミュエルを長命種にしたわけではない。事実、彼はまだただの短命種だ。〈御伽噺〉がやったこと、それはサミュエルが長命種になるための方法論を提示し、そのための道具を用意したのである。
サミュエルの個人能力は〈絶対勝利の剣〉という。〈御伽噺〉曰く、この手の能力には〈増幅作用〉があり、そのため〈絶対勝利の剣〉が攻撃を放つ直前の臨界状態のとき、そこには超高濃度のマナが存在している、のだそうだ。
そしてこの「超高濃度のマナ」こそ、長命種になるために必要なものだった。これを吸収しそして適応することで、短命種は長命種へと生まれ変わるのだ。〈御伽噺〉は〈絶対勝利の剣〉のリミッターを解除し、この超高濃度のマナを吸収できるようにしたのである。
よって、サミュエルが長命種になるためにはどうすればいいのか。それを簡単にまとめると、以下のようになる。
すなわち、「〈絶対勝利の剣〉を使って超高濃度のマナを生成し、それを吸収する」。言ってしまえばこれだけである。ただ、どれくらいの濃度が必要なのか厳密には分からないため、長命種になれるまで何度か実験を繰り返す必要があるだろう。
とはいえ、これはあくまでも方法論ある。実行するための道具も揃っているとはいえ、すぐさまこれを迷宮の中で実行することはできない。いや、可能ではある。しかし何の前準備せずにこれを実行した場合、恐らくは命を落とすであろう事はサミュエルにも分かっていた。
『超高濃度のマナの吸収と言うのは、要は外法で、つまり非常に危険な行為だ』
他ならぬ〈御伽噺〉がそう言っていたのである。長命種をして「非常に危険」と言わしめる行為は、流石のサミュエルも躊躇した。しかしだからと言って諦めるという選択肢はありえない。では、どうするのか?
「まずは迷宮の外でやってみるか……」
迷宮の外であれば、マナの濃度は桁違いに低い。であるならば〈絶対勝利の剣〉が臨界状態のときに生成される超高濃度のマナも、迷宮の中と比べればその濃度を格段に抑えられるに違いない。そうすれば外法の危険性も抑えられる。サミュエルのその考えは当を得たものだった。
自身のその考えに基づき、サミュエルはさっそく実験を開始した。だがその実験は開始前から躓くことになる。迷宮の外では〈絶対勝利の剣〉を顕現させられなかったのである。
〈絶対勝利の剣〉のような個人能力は、一般的に〈武器〉タイプと呼ばれている。この手の能力は迷宮の外でも顕現させられるものも多いのだが、残念なことに〈絶対勝利の剣〉はそれができないタイプだったようだ。そのことをサミュエルはこのとき初めて知った。
これまでサミュエルは迷宮の中でしか〈絶対勝利の剣〉を使ってこなかった。なにしろ彼にとって〈絶対勝利の剣〉を使うというのは、すなわちその強力無比な一撃を放つということである。だがそんなもの、迷宮の外では使いようが無い。ほかに迷宮の外で使い道があるとすれば素振りをするくらいで、その程度のことのために自分の大切な能力を使う気にはなれなかった。
それに〈絶対勝利の剣〉は抜き身の剣だ。持ち歩くには危険かつ不便で、それならば顕現させずにおいた方が何かと都合がよかったのだ。
とはいえ、〈絶対勝利の剣〉を迷宮の外で顕現させないことには、実験を始めることができない。〈御伽噺〉もその方法を教えてはくれなかったので、サミュエルは自分でその方法を考えなければならなかった。
「そもそも、僕はどうやって〈絶対勝利の剣〉を顕現させている……?」
今まであまりにも当たり前にそれを行っていたため、サミュエルは咄嗟にその手順を思い浮かべることができなかった。仕方がないので、彼はひとまず迷宮に向かった。そこでなら〈絶対勝利の剣〉を顕現させられることはわかっている。まずは顕現させるための条件と手順を知らなければどうにもならない。
迷宮の第一階層の人気のない広場で、サミュエルは意識を集中させる。そして集気法を使い烈を練り上げ、いつものように〈絶対勝利の剣〉を顕現させてそれを手のひらの中に収めた。
しかし〈絶対勝利の剣〉の顕現に成功しても、サミュエルの表情は晴れない。あまりにいつも通りにやりすぎて、どうやって顕現させたのかその手順がさっぱり分からなかったのだ。
眉間にシワを寄せたまま、サミュエルは〈絶対勝利の剣〉を送還する。そしてもう一度、〈絶対勝利の剣〉を顕現させる。だが彼の表情は渋いままだ。またしても手がかりは得られなかったらしい。
何度も何度も、サミュエルは顕現と送還を繰り返す。しかしいっこうに手がかりは得られない。徐々に苛立ちが増していった。
一体自分は何をしているのか。手順が分からなくたって、顕現させること自体はできているじゃないか。こんなことを繰り返していて、本当に長命種になれるのか。そんな考えが彼の頭の中に何度も浮かんだ。
(これを……、これをやらないと僕は前に進めない……。これしかないんだ……! なんとしても手がかりを掴まないと……!)
追い詰められている、という自覚はあったのだろう。投げ出しそうになるたびに、サミュエルは自分にそう言い聞かせて修行を続けた。これほど真面目に修行をしたのは、以前にタニアらに付き合ってもらって闘術の鍛錬をした時以来だった。そして四日後、ようやく彼は顕現のイメージを掴むことができた。
集気法で烈を練り上げてから、目を閉じる。イメージするのは〈絶対勝利の剣〉の柄だ。その柄を掴み、そして自分の身体を鞘に見立てて一気に引き抜く。
サミュエルが目を開けると、そこには抜き身の〈絶対勝利の剣〉がある。それを見て、彼はフゥと息を吐いた。たったこれだけのことに四日もかけてしまった。だが、不思議と彼に焦りや挫折感はなかった。一つやり遂げたという達成感。そして長命種に近づいているという実感。それをサミュエルはかみ締めた。
さて、〈絶対勝利の剣〉を顕現させるためのイメージは掴んだ。次は迷宮の外で〈絶対勝利の剣〉を顕現させなければならない。街の外れの雑木林の中で、サミュエルは〈絶対勝利の剣〉を“引き抜こう”とした。
(ん……? 抜けない……?)
サミュエルはイメージの中で〈絶対勝利の剣〉の柄を掴み引き抜こうとする。しかしまるで何かに引っ掛かったかのような抵抗を感じ、その剣を引き抜くことができない。しばらくの間サミュエルは眉間にシワを寄せながらイメージの中で格闘したが、結局〈絶対勝利の剣〉を引き抜くことはできなかった。
「やっぱり、迷宮の外では使えないのか……?」
サミュエルの口から、弱気な声が漏れる。もしそうだとすれば、長命種になるためにはいきなり迷宮の中で超高濃度のマナを生成し、そして吸収しなければならなくなる。だがそれは非常に危険だ。なんとかして一度、迷宮の外で試して見なければならない。そのためにはどうしても、〈絶対勝利の剣〉を迷宮の外で顕現させなければならないのだ。
「迷宮の中と外で、なにが違う……?」
その疑問の答えはすぐに出た。すなわち、マナの濃度が違う。
「つまり、迷宮の外では〈絶対勝利の剣〉を顕現させるためのマナが足りないのか……?」
サミュエルはそう仮説を立てた。では、その仮説に基づき問題を解決するためにはどうしたらいいのか。
「ようはマナを補充してやればいいのか」
その方法はすぐに思いついた。外法である。都合のいいことに、サミュエルは一階層相当の小さな魔石をいくつか持っていた。〈御伽噺〉に出会う前、無聊を囲っていた頃に拾っておいたものだ。そのうちの一つを片手に握り締め、彼は外法を使った。
「ぐ……!」
身体の内側に強い衝撃が走り、サミュエルはうめき声を漏らした。視界が歪み、足がふらつく。しかし彼は倒れなかった。浅い呼吸をしばらく繰り返すと、次第に焦点が定まり視界が鮮明になってくる。身体の内側に感じた衝撃の残響も次第に消え、サミュエルは視線を上げて身体を起こした。四肢には力が漲っている。十分な烈を身体に取り入れることができたのだ。
「ふう……」
一つ息を大きくついてから、サミュエルは目を瞑った。脳裏で〈絶対勝利の剣〉の柄をイメージし、そして一気に引き抜く。今度こそ、彼はその剣を引き抜くことができた。
サミュエルはそっと目を開ける。彼の手の中には間違いなく〈絶対勝利の剣〉があった。ついにサミュエルは〈絶対勝利の剣〉を迷宮の外で顕現させることに成功したのである。
見慣れたその壮麗な剣を確かめ、サミュエルは一つ頷いた。これでようやく、実験を行うための準備が整った。サミュエルは〈絶対勝利の剣〉を両手で構えると、集気法を使って烈を補充する。そしてその烈を、彼は〈絶対勝利の剣〉に流し込んだ。
「よし……!」
〈絶対勝利の剣〉が烈を吸い上げるその感触に、サミュエルは力強く頷いた。そしてその刀身が光を放ち始める。迷宮の中で放つ強い光ではなく、淡くぼんやりとした光だ。弱々しく思えるその光りを見て、サミュエルはもう一度頷いた。
放つ光が弱いということは、つまりそこで生成されている超高濃度のマナが低いレベルであるということだ。長命種になるためにはもちろん足りないだろうが、最初に挑む分には丁度いいだろう。
ゴクリ、と喉を鳴らしてサミュエルは唾を飲み込んだ。ここからが本番である。いよいよ刀身で生成された超高濃度のマナを吸収するのだ。普通であれば個人能力にはリミッターが存在しておりそのようなことはできないらしいのだが、そのリミッターは〈御伽噺〉が解除してくれた。彼を阻むものはもはやなにもない。
サミュエルは意識を集中する。そして腹の底に落とし込むようにして深く息を吸う。集気法だ。これによって刀身で生成された超高濃度のマナを吸収するのである。そしてその意図通り、彼は〈絶対勝利の剣〉の刀身から超高濃度のマナを吸収することに成功した。リミッターという妨げもなく、吸収自体はあっけないほど簡単に成功したのである。ただし、その結果はサミュエルの予想を上回って悲惨だった。
「がああぁああぁぁぁああ!!?」
身体が内側から爆発したかのような強い衝撃と、身体をねじ切られるかのような強い痛みをサミュエルは同時に感じた。一瞬で意識が吹き飛ぶが、しかし強い痛みのせいですぐに覚醒させられる。いっそ気絶していられれば楽なのだが、それさえも許されないまさに地獄の苦しみだった。
言うまでもなく、外法によるショック症状と拒否反応である。倒れこんだ地面の上で、サミュエルはもがき苦しみ喘ぐ。視界はぐるぐると回って焦点が定まらず、体中から冷や汗が噴き出している。何かに触れるだけでさらに激痛が重なり、顔が風に吹かれるとまるで数百本の針で一度に刺されたかのような痛みに襲われた。
「あ、あぁ、ああ……ぁ……」
サミュエルの口から、よだれと共にうめき声が漏れる。いっそ死んだ方がマシだと思えるほどの苦しみから彼を救ったのは、他でもない〈絶対勝利の剣〉だった。
地面に倒れこんだサミュエルが、すぐ近くに落ちていた〈絶対勝利の剣〉の柄に触れたのは恐らく偶然だろう。そして烈をその剣に込めたのは無意識か、あるいは彼の生存本能のなせる業か。〈絶対勝利の剣〉の刀身が先程と同じ淡い光を放つ。サミュエルの体内にあったマナがそちらに移ったのだ。
「ぐぅぅ……! はあ、はあ…………」
苦しげにうめき声を漏らしながらも、サミュエルは何とかして顔を上げた。ぐるぐると回っていた視界が止まり、ようやく焦点が定まる。まだ痛みは残っているし、全身から血の気が引いて身体が冷たくなっていたが、しかし地獄のような苦しみからはなんとか解放された。
サミュエルは触れていただけの〈絶対勝利の剣〉の柄をしっかりと握ると、そこに込められたマナを霧散させ、そしてその剣を送還した。さすがに今この状態で、もう一度超高濃度のマナを吸収しようとは思えなかった。彼は立ち上がろうとするが、しかし思うように身体が動かない。仕方がないので身体を引きずるようにして移動し、一本の木の根元に座り込んだ。
「はあ、はあ、はあ…………」
荒い呼吸はまだ落ち着かない。どれだけ空気を吸っても足りない気がした。唇が酷く乾いていたので舌先で湿らせると、その舌先に土が付いた。どうやら倒れたときに口の周りに付いていたらしい。サミュエルは不快げに唾を吐き出し、乱暴に口元を拭った。
ようやく、呼吸が落ち着いてくる。だが全身に筋肉痛のような痛みが残っている。身じろぎしただけでも顔をしかめてしまうほどの痛みだ。万全な体調には程遠い。木の幹に身体を預けたサミュエルは、力の入らない自分の四肢を見て忌々しげに舌打ちした。
言うまでもなく、長命種にはなれていない。いや、それは最初から分かっていたことではあるが、この有様では当初の予定さえ下回る。
「拒否反応が出ることは覚悟していた……。だけど、こんな……!」
サミュエルの顔が悔しさで歪む。超高濃度のマナを吸収したことで拒否反応が出ることは彼も覚悟していた。しかし拒否反応が出たとしても、少なくとも立ってまともに思考することくらいはできるだろうと思っていたのだ。
それが、あの有様である。「人間の身体は高濃度のマナを吸収するとそれに適応していく」と〈御伽噺〉は言っていたが、あれは適応できるレベルではなかった。あれでは適応する前に死んでしまいそうだ。そして、迷宮の外でさえこうだったのだ。迷宮の中で同じことをしていたら、間違いなく死んでいた。
この不甲斐ない結果を嘆くべきなのか、それとも死なずにすんだことをよろこぶべきなのか。どちらにしてもサミュエルは愉快な気分にはなれなかった。
「ひとまず、今日は帰るか……」
沈んだ声でサミュエルはそう呟いた。もちろん、これで諦める気はない。だが今すぐにこれからのことを考えるような気分ではなかった。
痛む身体に顔を歪めながらサミュエルは立ち上がる。集気法を使って烈を練ると、少し身体が楽になった。冷え切っていた身体も、集気法のおかげで温まってくる。
雑木林から出て、疲れた身体を引きずりながら街へと戻る。買い食いをしようという気も起こらず、サミュエルはまっすぐ学園へ向かった。
学園は広い。そのため、正門のほかに幾つか出入りのための門がある。サミュエルはそのうちの一つ、武術科に一番近い門を目指して歩いた。そして目的の門に近づいたとき、彼はそこから出てきた集団を見て思わず息を呑んだ。
「っ!?」
集団の人数は五人。全員が遠征の準備をしていた。つまり、パーティーである。普通パーティーであれ六人だが、彼らは五人。つまり、一人足りない。その理由はサミュエルにもすぐに分かった。なぜなら、少し前まで彼を入れて六人だったからである。つまり、以前のパーティーメンバーたちである。
「…………っ!」
サミュエルは顔を歪める。彼の視線の先では、五人が楽しげに談笑していた。その中にはもちろんタニアもいる。彼女もまた、以前と変わらない笑顔を浮かべていた。自分がいなくなった場所で、彼女が前と少しも変わらない笑顔を浮かべている。それが、サミュエルには悔しくて悲しくて寂しくて、そして惨めだった。
(どうして……!? なんでだよ!?)
彼女の隣にいるのは、今までずっとサミュエルだった。これからもずっとそこにいられると、そしてそこにいてくれると思っていた。だがその未来予想図は現実のものとはならなかった。それが、残酷なまでの現実である。
「っ!?」
サミュエルは思わず息を呑んだ。不意にタニアが振り返り、彼女の視線がサミュエルを捉えたのだ。その瞬間、彼女の顔から笑みが消える。そして彼女は何かを堪えるようにして苦悩の表情を浮かべた。
タニアの様子に気づいたメンバーが彼女の方を見て、そして彼女の視線を追いかける。その先にいるのはサミュエルだ。彼の姿を認めた途端、メンバーたちの顔からやはり笑みが消える。彼らが浮かべるのは、冷たい仮面のような無表情だ。
元メンバーたちがサミュエルのほうを見ていたのはほんの数秒だった。一人また一人と、彼に背を向けて歩き出す。タニアは最後まで彼のほうを見ていたが、メンバーの一人に肩を抱かれると彼女もサミュエルに背を向けて歩き出した。肩を抱くメンバーに、タニアが頭をもたれさせるのがやけにはっきりと見えた。
「まっ……!」
待ってくれ、と言いたかったのか。しかし、サミュエルは足を半歩踏み出し右手をわずかに伸ばした、中途半端な姿勢で固まった。彼らは待ってくれないと思ったのか、あるいは足を止めてくれたとしてなにを話せばいいのか分からなかったのか。やがて五人はサミュエルの視界からいなくなった。
気が付くと、サミュエルは寮の自室のベッドの上にいた。横になっているのは、立っているのが億劫だからだ。そうでなければきっと、手当たり次第に暴れていたに違いない。
脳裏に浮かぶのは、先程見たタニアたちの姿だ。自分が抜けても、壊れてしまうことも諦めてしまうこともなかった、彼女たちの姿だ。
いっそ何もできなくなっていれば、とサミュエルは思う。そうすれば、彼は自分が特別だと信じることができただろう。だが彼が抜けてもタニアたちは挫けなかった。五人であっても遠征を行い、前に進もうとしている。まるで、サミュエル・ディボンなど最初から必要なかったのだと言わんばかりに。
「ア、アア、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
サミュエルは、泣いた。顔を枕に押し付け、両手をきつく握り、喉の奥から血を吐くようにして泣いた。
「……なるしかない……。なるしかない……、長命種に!!」
果たしてそれは怒りだったのか。身体を焦すその感情に突き動かされ、サミュエルは改めてそう決意した。
なるのだ、長命種に。そうすれば、きっと……。
彼はその未来に縋り付いた。