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403 シングル・ルーム  作者: 新月 乙夜
第十三話 卒業の季節
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卒業の季節9


「それじゃあクルルさん、いい返事を期待していますよ」


 笑顔を見せながらクルーネベル・ラトージュにそう言ったのは、彼女の父であるウォロジスの友人であった男性だ。クルルとはやはり親子ほどに歳が離れている。


「……ゆっくりと、考えさせていただきます」


「ええ、ええ。そうしなさい」


 満面の笑みを浮かべながら、父の友人は何度も頷いた。彼の様子からは、期待が外れることをまったく考えていないことがよく分かる。実際普通に考えれば、彼が持って来てくれたのはめでたい話だった。しかしクルルは、その話を喜んでいない自分に気づいていた。


 父の友人を玄関先で見送ってから、クルルは家の中に戻る。父の友人に出した、お茶の後片付けをしなければならない。先程まで話をしていた部屋に入ると、そこでは下宿人のラキア・カストレイアがすでに後片付けを始めてくれていた。


「ああ、ラキアさん。ありがとうございます」


 クルルがそう声をかけると、ラキアは彼女の方に複雑そうな顔を向けた。そして少し躊躇ってから口を開く。


「……クルル、その……。どう、するんだ?」


 ラキアのその問い掛けに、クルルはなんとか言葉を捜そうとする。しかし結局、彼女は力の無い笑みを浮かべることでしかできなかった。そんなクルルの様子を見てラキアは「そうか……」とだけ呟き、そして彼女もまた言葉を失った。


〈お見合い〉。ウォロジスの友人が持ってきた話というのは、つまるところコレである。


『ウォロジスが亡くなってからまだ半年もたたないのに、こういう話をするのはどうかとも思う。だけど、クルルさんだっていつまでも一人でいるわけにはいかないだろう? 女の一人暮らしは危険だし、将来のことだってある。私は君のことが心配なんだ。そろそろ、身を固めてもいい頃だと思うよ』


 そう言ってウォロジスの友人が紹介したのは、クルルの一つ上の男性だった。もちろん武芸者で、去年武術科を卒業している。就職したギルドでの仕事にも慣れ、そろそろ結婚を考えるタイミングなのだそうだ。ちなみに、当たり前だが今日は話だけで本人は同席していない。


 いい話なのだろう、とクルルは思う。ウォロジスの友人が言うことは尤もだ。クルル自身、そろそろ結婚して身を固めなければならない年齢だということは自覚している。まして彼女は父を失っている。女一人で生きていけるほど、この世界は甘くない。


 さらに、今年の七月の末には卒業が控えている。クルル自身は学生ではないので卒業とは無関係だが、彼女がパーティーを組んでいる他のメンバーはすべて学生であり七月の末に武術科を卒業する。その時、彼女が今いるパーティーは解散する。半数が留学生だからだ。そしてその後の身の振り方を考えたとき、「結婚」というのは無視できない大きな選択肢の一つだった。実際なにも先約がなければ、二つ返事とまではいかなくても、きっともっと前向きに考えているに違いない。


『……僕と、付き合って欲しい。その、できれば結婚を前提に』


 ロイニクス・ハーバンが恥ずかしそうにしながらも、クルルの目をしっかりと見てそう告げたのはおよそ一ヶ月前のことである。そのときクルルは返事をすることができず、「ゆっくり考えて欲しい」と言ってくれたのをいいことに、今日この日まで答えを保留し続けていた。


 目を逸らしていたわけではない。むしろ真面目に、真剣に考えてきたつもりである。しかし逆にそのせいで色々と考え込んでしまい、なかなか答えを出せなかったのだ。


 さらにこのおよそ一ヶ月の間、クルルはロイと何度も顔を合わせている。彼は道場の門下生だし、また同じパーティーのメンバーだ。遠征だってしているし、むしろ日常的に接しているといっていい。


 それが、クルルにはたまらない。彼の顔を見るたびに、告白されたまさにその時のことが脳裏に甦ってくる。そして頭に血が上って顔が熱く火照るのだ。きっと傍から見たら真っ赤になっていたに違いない。


『……どうしたの、クルル?』


『顔が真っ赤ですわよ?』


『い、いえ! 大丈夫です! 全然、なんでもないです!?』


 ルーシェやテミスなど、パーティーメンバーが気遣って声をかけてくれるのだが、このときばかりはむしろそっとしておいて欲しかった。クルルは、隠し事は得意ではないのである。とはいえメンバーたちに気づかれた様子は無いので、たぶん上手く隠せているはずだ。


 そんな中、本当にいつもと変わらない様子でいたのが、告白した本人であるロイだ。クルルと顔を合わせても、恥ずかしがったりうろたえたりすることは少しもない。まるで告白などなかったかのように、いつも通り自然に振舞っている。


『ずっと待ってるから。焦らず考えて』


 かと思うといきなり、本当にいきなりそんな事を言ったりするのだ。しかもクルルが真っ赤になっているというのにロイはどこまでもいつも通りで、まるで自分ひとりが空回りしているみたいで彼女はちょっぴり面白くなかった。


『ロイさんが腹黒って言われている理由が分かった気がする……』


 力なく、クルルはそう呟くのだった。ロイが他のメンバーやルクトなどから、「腹黒」と呼ばれているのはクルルも知っている。しかしその評価が、彼女には今までいまいちピンと来なかった。ロイは優しげな好青年である。少なくともクルルはそう思っていた。


 だがこの一ヶ月間のロイの行動は、決して優しいだけの好青年のものではなかった。そんな生易しいものではなかったと断言できる。クルルはずっとロイに翻弄されっ放しで、なのに彼はどこまでも普段どおりで、腹黒とはこういうことかと納得してしまったものである。


(これは……、結婚したら大変そうですね……)


 気づけば、彼と結婚した将来のことを考えている。そしてそれに気づいてまた顔を真っ赤にするのだ。この一ヶ月間、何度ベッドの上で手足をバタつかせながら身悶えたことか。


『ああ、そっかぁ……。わたし、ロイさんのことが好きなんだ……』


 それが、告白されてからの一ヶ月で達した結論である。しかし「だから結婚する」とすぐに決めてしまえるほど、クルルはもう少女ではなかった。


 ロイは留学生だ。そして卒業後は故郷に帰ると常々話していた。つまり彼と結婚するということは、クルルにとっては故郷を離れることになる。実際にどうなるかはまだ分からないが、少なくともその覚悟は必要であろう。だが、初めての都市での生活に不安を感じるとしても、それは当然のことだ。


 そしてさらに。このタイミングで舞い込んだ見合いの話。この話を受ければ、クルルはカーラルヒスで家庭を築くことになる。生まれ育ったこの都市で暮らしていくことができるのだ。


(どうすれば、いいのでしょう……?)


 父の友人が尋ねてきたその日、夕飯を食べ終えて部屋に引っ込んだクルルは、ベッドの上で仰向けになって今後の身の振り方を考えていた。天井を見つめる彼女のまなざしは不安げに揺れている。


 本当に、不安だった。結婚と言う人生の一大事を、誰にも相談することなく自分ひとりで判断し決断しなければならないそのことが、たまらなく不安だった。


 いっそ、両方とも断ってしまおうかとも思った。そうすれば今のままでいられるから。だが今のままが続くはずもないことは、クルルにも分かっている。“卒業”と言うタイムリミットは、学生ではない彼女にも存在しているのだ。


「クルル……。その、まだ起きてるか……?」


 部屋のドアの外から聞こえてきたのは、遠慮がちなラキアの声だった。クルルは返事をしてベッドから起き上がりドアを開けようとしたが、気配で動きを察したのだろう、それより先にラキアの声がもう一度ドアの向こうからした。


「いや、そのまま聞いてくれ。そんな、面と向かって言えるほど、立派なことじゃないんだ……」


 申し訳なさそうに、ラキアはそう言った。そしてドアの向こうで小さな物音。恐らくラキアがドアを背にして座ったのだろう。そう思ったクルルもまたドアを背にして座った。


「…………やっぱり、悩んでるのか? お見合いのこと」


 数秒間沈黙してから、ラキアは意を決したように話し始めた。やはりというか、お見合いのことだ。こうして心配してくれる友人がいることが、クルルには嬉しかった。


「はい……。その、どうしたらいいのか、分からなくって……」


 そうして、クルルは悩んでいた胸のうちを訥々と話した。ラキアは相槌を挟みながら、その話を真剣に聞いてくれた。「ああすればいい」とか「こうすればいい」とは言わない。肯定も否定もせず、ただただ聞き続けた。そして、そうやって聞いてくれることがクルルにはありがたかった。


「…………結局、正しい答えは、存在しないんだと思う」


 クルルが話し終えると、少し間を空けてからラキアの声がした。彼女はゆっくりと、言葉を選びながら話す。


「……きっと、どっちが正しいとか、どっちが間違ってるとか、そういうことじゃないんだと思う」


「……そう、でしょうか……? ……いえ。そうかも、しれませんね……」


「二人は結婚して幸せに暮らしました」。それで話が終わるのは、おとぎ話の中だけ。それくらいのことは、もうクルルもラキアも分かっている。現実には、結婚した後も生活は続いていく。その中ではきっと、幸せなことも辛いことも、素晴らしいことも嫌なこともあるに違いない。だから、誰と結婚したとしても、幸せなだけの生活は送れない。それは残念なことだけど、しかし絶望的なことでもないはずだ。


「だから、何ていうのかな……。大切なのは“正解”とか“幸せ”とか、そういうことじゃなくて、“自分が頑張れるか”ってことじゃないのかな……?」


「自分が、頑張れるか……」


「うん。自分が『頑張っていける』って思える選択を、わたしはクルルにして欲しい」


 すっきりとした口調で、ラキアはそう言った。彼女自身、ようやく話したい内容がまとまったといった感じだ。


 ラキアの言葉は、クルルの中にストンと落ちた。ロイの告白とお見合いの話。この二つの未来の間で、クルルは悩んでいた。しかし悩むということは、少なくともどちらか一方が遠慮したいほどに酷いわけではないのだ。どちらにも惹かれる点があり、そして躊躇してしまう点がある。そして、それはきっと普通のことなのだ。


(だったら……)


 だったら、後はもう本当に「自分がどれだけ頑張れるか」だ。おとぎ話の中のお姫様にはなれない。いや、お姫様だって本当は大変なのかもしれない。生きていくためには、幸せになるためには、誰だって頑張らなきゃいけないのだろうから。


「……ラキアさん、ありがとうございました。その、嬉しかったです」


「そ、そうか? なら、よかった」


 クルルの声が明るくなったことに気づいたのだろう。ラキアはホッとしたように一つ息をついた。


「そうだ、ラキアさん」


「ん? どうした?」


 ドアの向こうでラキアが立ち上がる気配を感じ、クルルは座ったまま彼女を呼び止めた。クルルの口元に小さな笑みが浮かぶ。ちょっとした悪戯心が顔を出したのだ。


「次は、ラキアさんの番ですよ。『自分が頑張れる』選択をしてくださいね? わたし、応援してますから」


「え……? あ、ああ……。な、なんのことかなぁ~?」


 露骨に誤魔化しながら、ラキアはそそくさと退散した。遠ざかっていく足音と気配に、クルルは浮かべた笑みを大きくした。楽しくて、晴れやかな気分だった。


 この二日後、クルーネベル・ラトージュはロイニクス・ハーバンに、申し込まれた婚約の返事をした。



▽▲▽▲▽▲▽



 久方ぶりに催されたクルルの家での飲み会。その席でロイとクルルは、立ち上がって二人が婚約したことを友人たちに報告した。友人たちの反応は温かい。すぐに拍手が起こり、口々に「おめでとう」とか「お幸せに」と祝福の言葉が贈られる。ロイとクルルは恥ずかしそうにしていたが、それらの言葉に嬉しそうに礼を言い、そして腰を下ろした。


「しっかし、ようやくロイとクルルがくっついたか~」


 二人が腰を下ろすと、ソルが真っ先にそう言った。口調は感慨深げだが、口元にはニヤニヤとした意地の悪い笑みが浮かんでいる。要するに、からかう気満々だった。


「告白はもちろんロイからだよな!? 自分から言い出せない男なんてそこらの犬畜生いかだもんな! さあ吐け!」


 そう言いながらソルはロイの首に乱暴に腕を回す。彼の視線の先では、クルルが顔を真っ赤にしている。


「そりゃもちろん僕からですよ?」


「オイオイ、ロイよ……。簡単にゲロっちまったらつまらないじゃないか……。主にオレが」


 ロイがいとも簡単に白状してしまうと、ソルは「ヤレヤレ」と言わんばかりに首を振った。恥ずかしがって逃げようとするのを、追求して少しずつ追い詰めていくのが楽しいというのに、こうも簡単に白状されてしまうとイジリ甲斐がない。


「やだなぁ、ソル。そのための予防線に決まってるじゃないか」


 ロイが笑みを浮かべながらそう言うと、ソルは彼の首に回していた腕をほどき、苦笑を浮かべながら大げさに肩をすくめた。今日の彼はなかなか手強そうである。


「でも、二人のことはずっと心配していたから、これで一安心ね」


「そうですわね……。パーティーの大問題も解決したことですし、これで思い残すことなく故郷に帰れますわ」


 そう言ってルーシェとテミスは頷きあった。


「大問題って……、大げさだなぁ……」


「メンバーの将来に関わることですもの。大問題ですわ」


 苦笑するロイに、テミスは微笑を浮かべながらそう言い切った。そしてさらにクルルのほうを向き、優しげな口調でこう言った。


「クルル。腹黒なくせに肝心なところで意気地の無い我らがリーダー殿ですが、よろしくお願いしますね?」


 滅多に見せないテミストクレス・バレンシアの令嬢の顔にドギマギしながら、クルルは真っ赤になった顔で何度も頷く。


「意気地が無いって……。ひどいなぁ」


「告白するまでにこんなに時間がかかったのです。意気地があるなんて言えませんわ」


 苦笑しながらロイがぼやくが、テミスが訳知り顔でそう言うと、彼は諦めたように肩をすくめた。時間がかかりすぎと言われてはさすがに反論できない。せめてウォロジスが生きていた間に告白すればよかったと、ロイ自身心残りに思っているのだ。クルルから返事を貰ったその日のうちにウォロジスの墓前に報告したのが、この時ばかりは嬉しさよりも申し訳なさのほうが大きかった。


「あ、あの……、みなさん……? その、お話を聞いていると、随分前から気づいていたように、聞こえるのですけど……」


 クルルは若干青い顔をしながら一同を見渡しそう言った。彼女は悪い予感に顔を引きつらせるが、その場にいる一同は「なにを今更」と言わんばかりに一斉に頷いた。


「だって、そりゃ、ねえ?」


「あれだけ分かりやすい反応をしていれば、誰だって気づきますわ」


「ここ最近は特に分かりやすかったわね。笑いを堪えるのが大変だったわ」


「ロイのほうはなかなか表に出さなかったけど、それでも気になってる様子はあったしな」


「そ、そんなぁ……!」


 気づかれていないと思っていたらしいクルルは、実は随分と前から友人たちにバレていたことを教えられ、一瞬だけ真っ青になりそしてすぐに真っ赤になった。どんなふうに見られていたのかと思うと、恥ずかしくて死ねそうだった。


「そ、そういえばルクトさんは故郷に帰ることにされたんですよね!?」


 何とか話題を変えようとして、クルルはルクトのほうに話の矛先を向けた。彼がカーラルヒスに残らず故郷に帰ることにしたと言う話を、彼女はすでにラキアから聞いていた。


「ああ。色々考えたけど、やっぱり帰ることにした」


「そっか……。寂しくなるわね」


「合同遠征に入れてもらおうと思ってたのにな、コネで」


 イヴァンが大げさに肩をすくめながらそういうと、一同からは苦笑が漏れた。実際に参加パーティーを決めているのは窓口担当のイズラ・フーヤで、彼女がコネを考慮することはたぶん無いのだろうとルクトは思ったが、それは言わずにおいた。さすがに冗談だと分かっていたからだ。


「故郷に帰って、どうするんだい?」


 そう尋ねたのはロイだった。ルクトはつい最近まで卒業後の進路を決めかねていた。それがここへ来てついに態度を決めた。そういう時期だったからと言われればそれまでだが、やはり相応の理由があると考えるのが普通だろう。


「ちょっと、鍛えなおそうかと思ってな」


 長命種(メトセラ)になりたいから、という部分は話さずルクトはそう答えた。もっとも、メリアージュに稽古を付けてもらうために帰るのだから、「鍛えなおしたい」という理由はまったく間違っていない。


「お前の場合、別にこれ以上鍛える必要はないんじゃないのか?」


 そう言ったのはイヴァンだった。ただ生きていくだけなら、彼の言うとおりだろう。〈プライベート・ルーム〉があれば、生活に困ることはない。だが、それはルクトの目指すものではない。


「いつまた〈キマイラ〉みたいなのが現れるか、分からないだろ?」


「そうそう何度も現れるもんじゃないと思うがな……、あんな化け物」


 むしろ、どれだけ鍛えようが長命種にならない限りあんな化け物を倒すことはできないように思えるが、それはそれ。目標は高い方がいい。


「そうか……。ルクトは故郷に帰って、嫁を貰うんだな」


「この流れでどうしてその話になるんだ……?」


 やけにしみじみとした口調で盛大に話を変えたソルに、ルクトは呆れたようにそう呟いた。ただ故郷に帰るのであれば、ジェクトに例の件の返事をしなければなるまい。ちなみにどう返事をするのかは、まだ決めていない。


「こ、故郷に帰るといえば、ロイはどうするんだ?」


 この話題に不吉なものを感じたのか、そう尋ねて話題を変えたのはラキアだった。ロイは常々、「卒業したら故郷に帰る」と明言していた。だがそれはクルルと婚約する前の話。これからは自分ひとりではなく二人の将来について考えなければならないが、その中でもどの都市で生活するのかというのは一際大きな問題である。


「ひとまずは白紙だね。これから二人で相談して決めるよ」


 特に気負った様子も無く、ロイはそう答えた。


「二人で、か……。気分はもう新婚かぁ?」


 ソルがニヤニヤとした笑みを浮かべる。どうやら、ロイをイジるのをまだ諦めていないようだ。だがそれに対するロイの反応は、実に堂々としていて可愛げのないものだった。


「当然だよ」


「あ~、ここまではっきり言われると、逆に引くわ……」


 まるでハチミツを混ぜた砂糖を口の中に詰め込まれたような顔をしてソルはそう言った。こうも堂々とされると、どうやらイジる側の方がダメージが大きいようだ。


「し、新婚……」


 その単語に、クルルが再び顔を真っ赤にする。というか、いつの間にか話題が元に戻っている。どうやら今夜は、この話題から逃げられそうにない。久しぶりに、笑顔の絶えない楽しい夜だった。


今回はここまでです。


続きは気長にお待ちください。

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