表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗殺されかけた皇女、魔王と生き抜く 〜帝国最大商会が味方なので反撃します〜  作者: 水戸直樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/22

第9話 消えた痕跡

 額に目玉のついた、黒い角の兜。

 魔王めいた男が放り投げてきたのは、皮帽子のようなものだった。


「え……なに?」


 とっさに受け止めたセシリア。


 見る見るうちに、彼女の目が見開く。


「え、え! きゃあああっ!」


 その物体を、魔王に放り投げた。


 軽く受け止める。


「……どうした?」


 目玉の兜の下から、リオルが目を向けた。


「ひっ! ひとっ! ひとの、顔っ!」


「ああ、よくできているだろう。安心していい、作り物だ」


「な、なんで急に投げるのよ!びっくりしたじゃない!」


 涙目のセシリアが詰め寄る。


「……説明が面倒。現物を見せた方が早い」


───


 白髪の老婆は、銀貨を払うと乗合馬車に乗りこんだ。


「ばあさん、どこまでだい?」


 御者の男が聞いた。


 老婆は答えない。


「おーい、ばあさん? 耳が聞こえないのかい?」


「えっ、私?」


「あ?あんた、声は若いんだな?」


「……ごほんっ!……二つ先の町まで……ドゥルセ商会の……支店」


「あー、そこまでは行けないよ。手前の村までだね、なんか野盗のグループが追い剥ぎしてるらしくてな」


「そ、そうですか……では、その村までで……宿がとれるところなら」


 老婆はうなだれながらも、馬車に乗り込んだ。


 御者はうなずき、たった一人の客を乗せて出発した。


(もうっ、この仮面なに……顔かゆいし、ヘンなにおいする……髪に塗った薬のせいで頭もかゆい。早く宿で外したい!)


挿絵(By みてみん)

───

 

 猛スピードで帝都街道を騎馬が進む。


 十に満たない少女が先を、


 赤毛の逆立つ髪の女が後ろを進む。


「ベアトリス、遅いわよ!」


「く……お嬢様、それは私の方が重いから……ですっ!」


 少し悔しげなベアトリス。


「わたくし、軽いから、まだお菓子食べていいわよねっ!」


 メイリーンは手綱を片手に、もう片手で懐からビスケットを取り出し、かじる。


「お、お嬢さま、なんて器用な……いえ、お行儀が悪いです!」


「なーにー?聞こえなーい」


「ああっ……お菓子の屑が、私の顔に……!」


 前を走るメイリーンはどこ吹く風。


「出どころ不明の、傭兵の募集!怪しすぎるわっ!」


「はい!先回りしましょう!」


───


 街道沿いの宿場外れ。


 粗末な馬繋ぎ場に、三人の男が集まっていた。


「女一人だとよ」


「報酬は?」


「生死問わずで、金貨十」


 短い沈黙。


 安くはない。


 だが――妙だ。


「……顔も出てねえのに?」


「貴族筋らしい。逃げた小娘だとよ」


 男たちの視線が、自然と細くなる。


「まあ、盗賊稼業のついでだ。片っ端から、通るやつ襲えばいいさ。女子供だろうが、年寄りだろうがな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ