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デデンデンデデン

2人で何とも照れ臭い雰囲気の中で固まっていると、視線の先に違和感を感じた。


デデンデンデデン


BGMが流れた。


黒のサングラスに革ジャン(革ジャン!?)を着た筋骨隆々の超目立つ大男が身を潜めて、こちらを伺っていた…何一つ隠れてないぞ、おい!


「…ヒカリ、ちょっといいか?」


「?」


俺はヒカリの腕を引いて歩き出す。


一つめの角を曲がり、そこで壁に張り付く。


「ちょ、ちょっと何してるのよ!?」


「しっ!いいからちょっと待って」


すると筋骨隆々の大男が慌てて角を曲がってきた。


「おい…」


目の前の大男に声をかける。


「っ!」


「ここで何してる…マルタ中佐」


マルタはそのまま逃走体制に入る。


「アイル ビー バッーー」


「言わせるか!」


俺はマルタの頭をはたいた。



「何してんだよ…マジで…」


とりあえず俺はマルタに正座させた。


「す、すみません…」


サングラスに革ジャンの大男が、中肉中背の男子高校生に正座させられていると言う、非常にシュールでレアな光景に人だかりができる。


「ちょっと、遥くん!目立ち過ぎ。

場所を変えましょう…」


「…そうだな」


俺はマルタを引っ立て歩き出そうとする。


「ふぅ、しょうがない。ちょっと待っててくれる、遥くん」


そう言うとヒカリは群集を掻き分け、ある老婆の前で立ち止まる。


「何をしているのかしら?クロノス」


クロノスと呼ばれた老婆は一瞬たじろぐも、優雅に挨拶をした。


「これは、これは、お嬢さま。

ご機嫌麗しゅう。

しかしよくお分かりになりましたな。

完璧な変装だと自負しておりましたのに…。

流石はお嬢さまです」


ヒカリはプルプル震えている。


「こんなに大きな”おばあちゃん”はいません!」


胸に7つの傷を持つ男が同じような事言ってたなぁ。


その老婆は190cmはありそうだった。



こうして4人は連れだって近くの”カフェ”に行く事になった。



「いらっしゃいませ!何名さまで…す…か…」


店員は4人の異様な組み合わせにドン引きしていた。


高校生2人とターミ○ーター、デカいババァ。

そりゃあ引くわ!


「と、とりあえず4人です!」


俺は慌てて答える。


「…は、はい!で、ではこちらにどうぞ…」


流石はプロだ、すぐに気持ちを切り替えてきた。


俺たちはテラス席に案内された。

デカいのが2人いるための配慮だと思われる。


席につき、しばらく沈黙が続く。

すると先ほどの店員が現れる。


「ご、ご注文がお決まりでしたら、お伺いします」


場の空気に圧倒されながらも頑張る店員のお姉さん。

ホント、ごめんなさい!



「あ、俺はアイスコーヒーで」


いたたまれなくなり、慌てて注文をする。


「じ、自分も同じ物で…」


マルタも同じように感じているのか、身を屈め、小さく手を上げる。


「お嬢様に合った”一流”のコーヒーをお願いいたしますよ」


空気を読まない”バカ”いた。


「は、はぁ…」


固まるお姉さん。


「ちょっと、やめなさいよ!

あ、ごめんなさい!私は”普通”のコーヒーを…」


「おや、おや、それはいけません。お嬢さま。

お嬢さまの様な”一流”の人間は”一流”のコーヒーを飲まなくてはいけないのです」


何言ってるんだこのババァは。

恐らく本人以外のこの場にいる全員が思ったことだろう。


「君、無いのであれば”私”がお嬢さまに”一流のコーヒー”を入れる。厨房を貸したまえ」


「やめなさい!」


ヒカリがババァの頭を叩く。



テーブルにコーヒーが並ぶ。

ちなみに運んできたのは”店長”らしき男だった。

きっとお姉さんは限界だったのだろう…お疲れ様でした!


「”何をしてたのか”は聞かない…」


俺は2人を睨む。


「”どこから”見てた!」


マルタは項垂れ、クロノスはそっぽを向く。


「答えろ!」


「じ、自分は”豆の木”あたりから…」


「全部じゃん!余す事なく全部見てんじゃん!」


「は!」


「”は!”じゃない!

で、そっちの”クロノス”だっけ?お前は?」


俺はクロノスを見る。


「…貴様に話す言われはないな」


「こ、こいつ!」


「言いなさい、クロノス」


「余す事なく全部です。お嬢さま」


ペロっと簡単に暴露するクロノス。


「し、しかし仕方ないではありませんか!?

敵の指揮官と会うとなれば、自分としては偵察せざるを得ません!」


マルタが言い募る。


「そ、それはそうなんだけどさぁ…、そんで偵察した結果、どう思った?」


「は!普通に”デート”かと…」


「「デートじゃない!」」


2人で声を荒げる。


「しかしお嬢さま、私の分析結果でも、断腸の思いではありますが”デート”だと…」


「っく!わかった…百歩譲って”デート”だとしよう…」


「遥くん…」


何故嬉しそうな目で俺を見る、ヒカリ!


「なら”会話”は!?

”会話”の内容はどこまで知ってる!?」


クロノスとマルタが目を会わす。


「「余す事なく全部聞いてました」」


俺とヒカリは机に突っ伏した。


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SF / 学園 / ギャグ
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