プロローグ
AM11:00 大宮駅・豆の木前
「どうしてこうなった……」
俺は今、大宮駅で“待ち合わせと言ったらここ”と言われている場所、つまり“豆の木”の前に立ち尽くしていた。
そして、俺が待っている“ある人物”――それが、氷室ヒカリだ。
昨日の放課後、屋上での出来事から、あれよあれよという間に、俺はここで“氷室ヒカリ”を待つことになった。
「……どうしてこうなった」
まあ、自業自得なんだけどさ。
「お待たせ、遥くん」
そんなことを考えていると、当の本人が登場した。
「ッ!……よ、よう」
「? どうしたの?」
「な、何でもない!」
「……そう」
ヒカリは、少しがっかりしたような顔をしていた。
分かってる!
認めよう!確かに俺は一瞬、“氷室ヒカリ”に見惚れた。
そして、服装を褒めなくてはならないことも知ってる!
しかし、だ。
“あの”氷室ヒカリだぞ?
もし俺が“見惚れる”なんて隙を見せたら、今後こいつに何を言われるか分かったもんじゃない。
危ない、危ない。普段通りにしよう。
とにかく、俺のペースに持っていくんだ!
「こ、これから、な、何をすりゅんだ?」
「ッ!」
思いっきり噛んだ!!
まだ大丈夫だ! 挽回の余地はある!
俺は平常心の男だ!
何言ってるか分からんけど!
「ぷっ」
俺の様子を見て、ヒカリが吹き出した。
「あはは。ごめんね。うん、なんかちょっと満足したわ」
ヒカリは、ちょっと嬉しそうに笑った。
「それじゃあ、私についてきて!
ちょっと早いけど、ランチにしましょう!」
そう言って、ヒカリが俺の腕を引っ張る。
……完全にヒカリのペースだった。
※
あの頃は──幸せだったな……。
ふっと数日前の出来事を思い出していた。
そして現実に戻る。
俺は今、処刑場に立たされていた。
「──死刑、だそうです」
氷の女王みたいな笑みを浮かべて告げたのは、”氷室ヒカリ”だった。
「……おはよう、って言う前にそれ?」
「当然でしょ。銀河軍法に基づく正式な処刑宣告よ」
こいつと初めて会ったのは、中学一年の入学式。
初めて会話したときから“性格最悪”の烙印を押した女だ。
まさか数年後──高校の教室じゃなく、宇宙戦争の司令室で再会するなんて思いもしなかったけど。
そして今、その女が俺を処刑しようとしている。
「……断っておくけど、俺はお前なんか絶対に好きにならないからな」
「ええ、わかってるわ。私もよ」
たぶん、どちらも嘘だ。
「どうしてこうなった…」
こうして──銀河の運命を賭けた戦争と、もっと面倒な恋のバトルが幕を開けた。
(表紙はAI生成イラストです)
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