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第九話 ゴブリン・エンペラー殺してみた

 ゴブリンの集落の奥に入って行く。左側にはアルルクがいる。


「ここが集落なんだぁ。じゃああれがゴブリンの家ってことですよね」


 アルルクの視線の先にはそこらへんにで集めた草を積み重ねた家と言えない家がたくさんある。あれ、雨宿りもできないんじゃない?


「ちょっと待って、何か空気が重くない?」


 あるところを過ぎたら急に呼吸が少しつらくなった気がする。


 威圧って言うのかな、多分この先にいるやつが放っているのかもしてない。でもあのゴブリンだよね?


「警戒心を高めた方がいいかもしれない…………」


 気付かれないように声の大きさを下げたアルルク。私もそれに合わせよう。


「この道の先にいるよ」


 近くの草陰に隠れてから通っていた道の先を指さす。


 ここからは通っていた道じゃなくて草陰を進む。ばれないために――が理由だけど多分もうバレていると思う。


「裂け目に適応できるかなぁ…………」


 ふと思いついた。『フェイズダウン』の中は私以外時が進まないけど、もしかして『デバックモード』の立体地図の時みたいに例外みたいのを作れるかもしれない。


「『フェイズダウン』―—。アルルク、これに入ってみてくれない?」


 ちょうど通れるくらいのドアみたいな形で裂け目を作る。


「これってアマリスの能力ってことだよね?う~ん。わかった!」


 結構すんなり入ってくれた。そしてパチンと音が鳴る。


「成功したら嬉しいんだけどなぁ」


 私も入ろうかな。


 パチン


 はぁ………まぁそうだよねぇ。わかってたんだけどさぁ。


「この空間はさすがに例外なしなのね」


 目の前には固まったアルルク。しょうがない持っていくかぁ。


 最後の一匹の方向へ向かう。そしたらなにか木の玉座が置いてある。


 その目の前には走り出しの…………ゴブリン?なのかな、他の奴より倍の身長で筋肉質なんだけど


 明らかにおかしい。そうだ名前だ!え~と。


「ゴブリン・エンペラー?」


 やばそう。本当にやばそう。こんな奴が暴れたらこの森の生態系が崩れる。


「ここでやらないとか。弱点は…………」


『デバックモード』は弱点も見れるから便利だなぁ。頭とかは当然として、太ももの後?


「よく見たら何かの跡がある。針が刺さった後?」


 何かよく分かんないけど狙ってみるかなぁ。それに新しい能力を試そうかな。


「これにしよう!」


 決めたらゴブリン・エンペラーの後ろから現れる。


「よし、って……ゴフッ……」


 グハァ…………反応が早すぎる。音もなく現れたはずなのになんで…………


 ゴブリン・エンペラーの素早い後ろ回し蹴りに吹っ飛ばされ木にぶつかれる。


「あぶなぁ!」


 ゴブリン・エンペラーのこん棒―—じゃなくて剣が自分の頭スレスレを通る。とっさに屈めたからセーフ。


 でもやっぱりこのゴブリンおかしい。剣をうまく扱えるほどの知能がある。これはもう能力を使った方がいいかな。


「次は足スレスレで危なぁ、『ノイズガード』!」


 エンペラーの頭への攻撃の直前、能力が発動した。


 パリンッ!


「よかったぁ、本当に良かったぁ」


 頭に剣が当たる直前。私と剣の間の空気が粒のようになり震える。それによって剣が弾ける。


 多分これ防御系でいいんだよね。もし攻撃系だったら…………ううぅ、体が震える。


 服は『ウェポンジェネレート』で作ったものだから、確かに攻撃力は高いと思っていたけど防御力が乏しいとは思っていなかった。実際、攻撃を受けた横腹の服が消し飛んでる。しかも内出血まで起こしてるし…………


「まぁあとはこの能力を信じるしかないかな」


『ノイズガード』。適当に選んだこの能力だったけど、運は私に傾いてくれたらしい。


 横腹の服を修復し、再度ゴブリン・エンペラーの方を向きなおす。


 今度はそう簡単にいかないからね。


「そんなに見つめないでよ。照れるって」


 いや嘘だからね?アルルクはともかくこんなきもいやつに見られてもなんも思わないから。


 ゴブリン・エンペラーは警戒しているらしく、一定の距離を保ってこちらをうかがっている。その手には刃が半分までしかない剣…………


 そっちが行かないならこっちから行ってあげる。慢心はよくないけど多分大丈夫のはず。


 何かを決心したゴブリンが剣を捨て殴りかかる。


 パリンッ!


 ゴブリン・エンペラーの肩から先が消える。


 ――グワァァァ!


 ゴブリンの声が森に響いた。それで森が揺れたように感じる。てかうるさすぎだなぁ。


「もういっちょ!」


 ゴブリンの隙を突き、『ウェポンジェネレート』で生成した真っ黒の剣を右手に脇腹に突き立てる。


 確実に心臓を刺したからもう死んだはず…………って⁈


「なんか膨らんでない?」


 刺した状態で動きが止まった。筋肉質の体がまるで衣袋に空気がいれたみたいに膨らむ。


「さっきまでなかったのに…………」


 額に青白い光がある。これは逃げた方がいいかもしれない。


 目や口からも青白い光が出てきたところで『フェイズダウン』に入る。


「ここは時が止まっているけど早くいかなきゃ」


 ずっと固まっていたアルルクを持ちながら足早に去る。


 …………………。


「ここらへんでいいかな」


 集落の入り口らへんまで来た。油断は禁物だけど出てみるしかないか。


『フェイズダウン』で裂け目を開きアルルクと一緒に出る。


「…………え?あれ?アマリスこれどうなってるの?」


 片手で抱えていたからこちらを見たアルルクが何が何だかわからない顔をしている。


「あぁ、ごめんごめ――」


 バァァァン!


 さっきいたところから轟音と強風が来る。やっぱりと思いながら見てみると…………


「キノコみたいな煙…………」


 黒い煙がキノコの形を成しどんどん上空へ上がっていく。


 アルルクはもう口を開けたまんま動かない。


 爆発による砂埃が上がりが目の前が直接見えない。が、『デバックモード』の立体地図のお陰でどうなっているかはわかる。


「地形がどんどん変わっていってる」


 爆発したところを中心に十数メートルが削れてなくなっている。しかも爆風でその先の木々まで吹っ飛ばされる。


「ア、アマリス。こ、これどうなっているの?」


 やっと頭が追いついたアルルクがそう疑問を零す。


 簡潔に説明してさっさとアルルクの住んでいる町に向かおうかな、

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