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第十六話 死の病にかかった人(獣人)を助けようと思案してみた

 エルフにしか罹らない病気がなぜ獣人の女性に…………


「アルルク、お母さんの病気はいつからなの?」


「えっと、三年ぐらい前かな」


 三年前か、少しだけよかったと思う。だってこの病気―—幻魔病はエルフの場合、発症してから一か月ほどでなくなる可能性が80%にもなるやばいやつだから。


 てことはエルフ以外―—今回の場合だと獣人の時はすぐには死なないのか。


 あ、でもそういうことなら今の状態はいつでも死ぬ可能性があるのか、ホーリーさんの表情的にももう死んでる。それか死ぬ間際に立っているってことかな


 前者は絶対にないでほしい。アルルクが悲しんで立ち直れなくなるかもしれない。


 私の場合は今までの奴隷生活のこともあったから深くまでは傷ができなかったけど(傷だらけだから耐性がある)、アルルクの場合はそんな感じじゃなそうだし。


 しかも一番やばいのが薬が効かないこと、お母さんの話だと同郷のものがその病にかかって最先端の治療(エルフ基準)を受けたのに死んでしまったとのこと。


 こんなところにある薬だともっての外、ただ命を伸ばすだけで苦痛はなくならない。


「三年前ね。こんなところにいる時間はあまりないかもしれないよ」


 幻魔病っていうのは、かかった人がまるで悪夢のような幻覚に苛まれ、生命力の代役との言われる魔力をずっと無駄に放出し続けるという最悪の病気です。


 感染はしないで何らかの要因で発症するのが多いらしい。アルルクのお母さんはどうやって発症したんだろう。


「ホーリー、あなたはアルルクのお母さんの病名を知ってて薬を渡し続けたの?」


「ああ、知ってるさ。そしてあんたが今思っているように気休め程度の薬ってことも」


「気休め程度って?」


 アルルクが疑問そうな顔でこちらに伺ってくる。その顔に少しだけ不安が滲んでいるのを見て心が締め付けられるように痛い。


「もうそろそろ話そうと思ってたさ。実はね幻魔病って死の病なんだよ」


 口調はさっきとあまり変わらないけど顔は真剣になったホーリーさんからはある意味オーラが放ってきている。


「死の……病って…………?」


 とうとう疑問の顔から不安や悲しみの顔に変わったアルルクからは震えた声しか出ない。


 ここで一つ一か八かの案を思いつく。


 前にアルルクを『フェイズダウン』に入れたときに時間が動かなくなったのを利用して、まずはアルルクのお母さんの病気の進行を抑える。


 そこからが大変かもしれない。『デバックモード』で弱点を探して(見つかるのが多分幻魔病の核だと思う)それを何とか破壊するか、それ以外に影響がなくなるほど回復させるかの二択が思いついた。


 前者の『デバックモード』作戦は危険だけど今後の再発症も抑えられると思う。


 母から聞いた話だけど、エルフの里にある文献だと何とか幸運に幸運を重ねて回復してもまた発症したということがチラッと載っているとのことだった。


 後者の回復作戦だけど、これに関してはやり方が分からない。まだ使ってない能力の中で回復系の能力があったらいいな程度の運任せの作戦。再発症する可能性もあるしそもそも治るかもわからない。


 一か八か以下の現実味のない作戦が2つ、『フェイズダウン』で時間を止めたまんま旅をしていつか治す方法を見つけるってのもいいかもしれないけど、それじゃあアルルクの不安を拭えないかもしれない。


 まぁとりあえずは『フェイズダウン』にアルルクのお母さんを放り込むのが最優先、今すぐにでもアルルクの家に行きたい。


「アルルク、まだ希望はある。家に案内してくれないかな。あと結果が分かるまでその顔はやめた方がいい。悪しき神はまた無視をするかもしてない」


 私のお母さんが殺されたようにね。神頼みじゃなくて自分の実力で解決しなくては。


「うん、わかった!」


 でそうだった涙を拭ったアルルクは拳を握り締めて私を向く。


「ではホーリー、そういうことなので行ってきますね。今度からは早めに事実を伝えると傷跡はできませんよ」


 いつまでも「悪しき神って…………」言ってる。しょうがないでしょ私は見放されたんだから。


 情報が追いつきそうもないホーリーを一瞥して先に出たアルルクについていく。


 アルルクの場合はホーリーのことを見向きもしなかったけどね。相当事実を隠されていたことにご立腹なんだね。


 …………。


 走ること数分、アルルクの家らしきところに着いた。本当は私が思いっきり走ってもっと早く着きたかったけどあいにく道が分からないからね。


 こんな時だけど、私の服は『ウェポンジェネレート』で作られたものだから。何なら壁を壊しながら進めたかもしれない。いやしないよ?これからもしないからね?


「ここです!」


 アルルクに案内されるまま、家に入ってすぐ右を曲がると息が荒い若々しい重心の女性がベットに横たわっていた。


 やっぱり…………見た感じ最終段階に入っている。逆によくここまでもったねって感じだよ。


 近寄ると僅かに魔力の放出を感じた。魔法は使えないけど感じる系はできるんだよ。


「まずは失礼だけどアルルクのお母さんは私の異空間に入ってもらう。そこは時の動きがないからお母さんの病気の進行はないから安心して」


「うん。私はアマリスのことを信じる。お願い、お母さんを治して…………」


 手を合わせてお願いをされた。これにプラスアルルクのお可愛い顔なんだから絶対に成功させると誓うしかないじゃないか。


「わかった。希望は薄いけどないわけじゃない。頑張るよ」


『フェイズダウン』にアルルクのお母さんを入れてから私も入る。


 成功の鍵は私の能力、これにすべてをかけるしかない。私は神とは違って一人の少女を救いたいだけだから。

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