第十三話 暗殺者ギルドに入ってみた
「うんうん。確かアルルクには一時間後ぐらい来てねって言われたっけ?」
薄暗い道。人気のない路地裏。
「これ、やっぱり完全に迷ったよね」
やばいやばい。始めてきた街だから何もわからん。
前を見渡す。後ろを見渡す…………はぁ。同じ景色がずっと続いてる。
「屋根に上るのもいいけど。ここでジャンプしたら地面に亀裂入って騒ぎが起こりそう」
その騒ぎで人が来るのは好都合だけどアルルクに迷惑かけそうな気がする。
「とりあえず歩くしかないかな」
おっとっと。転ぶとこだった。
ガチャン。ゴロゴロゴロ…………
「ほえ?なにこれ」
たまたま手を掛けた壁の一つのレンガが奥に沈み、真横のレンガが扉のように横にずれていく。
「『デバックモード』―—。この奥に何点か反応があるな」
路地裏よりさらに暗い通路を覗く(『デバックモード』の暗視で全然見れるけどね)
「入ってみようかな」
もし悪人がいたら殺すだけだしね!
「失礼しま~す!」
どんどん奥に入って行くとさらにもう一つの木の扉があった。警戒しながらゆっくり開けるとそこには――
「なにここ?」
獣人に私と同じエルフに。人間以外の種族しかいない。
「ねぇそこの君。見ない顔だけどここは初めてかい?」
一番近くにいた獣人の青年が話しかけてきた。
「え、あ、うん。そうだけど。ここって何なの?」
「それよりちょっといい?」
青年が急に私の頬を掴んでくる。もちろん優しくだけど急でびっくりした。
「はは!いい目だね。君はこの中でも結構ここに相応しい人材だよ。触ってしまってごめんな」
いい目?まぁいいけど早く説明してほしい。
「ここって何って話だな。表向きは万務ギルドって言ってなんでも依頼を受けれるギルドさ」
「表向きってことは裏があるの?」
「よくぞ聞いてくれた。ここは本当は人間を殺す専門の暗殺者ギルドだ」
急にドヤ顔になったと思えば暗殺者ギルドって。凄い興味あるんですけど。
「おお!興味があるのか。やっぱり自分の感は信じてみるもんだな」
詳しく説明を聞くと次の感じにまとめられた。
・ここには人間のこと憎んでいる種族しかいない
・人間を殺してほしいという依頼がよく来るから暗殺者ギルドということになった。
・殺しの依頼中での不都合(捕まるや死んでしまうなど)は一切責任をギルド側は負わない。
・そのかわり他のギルドより報酬が高い。
・表向きでもしっかりギルドしてるので他のギルドと共通のことができる
などなど
「まってなんでギルド職員でもなさそうなあなたがこんなことを知っているんですか?」
「なんでって、俺はギルドマスターだからだよ」
えぇ~。衝撃的なんですけど。暗殺者ギルドのギルド長にしてはノリが軽くない?
「で!で!入ってくれるのか!」
「他のギルドと共通のことができるって、もしかして検閲も回避できる?」
「もちろん!」
よし入ろう。
「書類とか書いた方がいい?」
奴隷出身だからあんまり書きたくないんだけど
「いいや。ここには訳アリが多いから絶対に必要なレベルや魔力とかの基本情報と使う武器と名前で十分だ」
レ、レベルって大丈夫かな。この間見たとき-1だったんだけど。なおさら書きたくなくなってきた。
受付の方に向かい一枚の紙を出される。
「ここからはミリスさんがやってくれるからな」
ギルドマスターの横から現れたのは体のあちこちが鱗で覆われた受付嬢だった。
「マスターに代わって失礼します。竜人のミリスと言います。以後お見知りおきを」
へぇ~竜人ってのもいたんだ。脳内メモリーに記憶記憶っと。
「ではこの紙には冒険者名と使われる武具を書いてください」
ほへぇ~丁寧だなぁ。どこぞのギルド長とは大違い。
えっと、武器は大鎌と短剣でいいかな。冒険者名は、う~ん。適当にリリスとかでいいかな。
「名前がリリス様ですね。武具は短剣と大鎌?!珍しい構成ですね」
まぁ大鎌は確かに変かもしれない。
「では次にこの三角錐の結晶に手をかざしてください。基本情報の登録をします」
ドキドキ、どうなっちゃうんだろう。
手をかざすと結晶は白く光り出す。意外ときれいなんだなぁ。ってなんか黒くなってきてない?これ大丈夫?
「…………し、失礼しました。測定はこれで終わりなので少々お待ちください」
絶対なんかあったよね。うわぁ~これ絶対ギルド内で浮くやつだ。
「マスター。これ、どうします?」
「おお!こりゃまたすげぇな。いままででこんな表示見たことないぞ」
すぐそばにいたマスターが満面の笑みで何か言ってる。笑ってるってことは悪くはないってことだよね?
「リリス、実はな。測定器がぶっ壊れちまった!はっはっは!」
それってただ事じゃないよね?やばいってことだよね?
「マスター、壊れたは言い過ぎかと。測定不可の方が正しいかもしれません」
測定不可?壊れたよりましなのそれ?
「まぁいいじゃないか。今までで一番いい人材だ。普通なら貴族しか持っていないスキルだってある。何かわからないけどな!」
スキルの存在に気づいたってことは完璧とまではいわずに少しぐらいわかったのかな?
「それで私はどうなるんですか?」
「ああ、心配しなくていい。ここはほぼ闇ギルドだ。バラしやしねぇさ」
バラすと大変なことになるの?
「ちょっと待っとけ。わかる情報だけでしっかり書いてあとは細工しておくからよ」
不安が止まらないんだけど…………




