第十一話 集まってた下位魔物一気に殺してみた
あぁ、眠い。添い寝ってあんなに危ないものだっけ?
「理性を保つのが大変だよぉ…………」
「何か言った?」
「ナニモイッテナイヨ」
歩き始めてから四時間。時刻は正午の少し前。
殺風景の森をずっと歩いていて少しつまらないけどアルルクと一緒にいればだいじょ~ぶ!
「今日は比較的安全な日だね」
「安全って?」
ただの森に危ないとかあるのかな?
「普通、人が密集している場所―—町とかはあまり出ませんけど、こういう森とかはよく下位魔物が出るんですよ。まぁ私の場合は見つけても避けているんですけどね」
避けているのなら何で討伐依頼なんて受けたんだろう。
「へぇ~、そうなんだね。でもじゃあなんで今日はあんまりでないんだろう?」
下位魔物ってゴブリンとかスライムとかかな?『ウェポンジェネレート』の武器で簡単に倒せると思うけど合わないのが一番うれしいな。
「わからない。でもまぁ考えても仕方がないと思うよ」
一応『デバックモード』を起動させておく。んん~?私たち以外何の点もない。
原因はわからないけど、まぁいいか、楽観的に楽観的に!ただ『デバックモード』はそのままにしておこう。
「多分あともう少し歩けば草原に出るからそこでご飯にしようよ」
「わかった。確かまだ裂け目にこの間のレイジングカウの肉が少し残っているからそれを焼こう」
少し歩くと確かに草原に出た。だけどあれ何?
「この草原ってただの草原だよね?」
「え、うん。ただの草原のはずだけど」
アルルクもわからないみたい。まぁ物凄く異様な光景だからそれもそうか。
「もしかして、森で魔物に合わなかった理由ってこれじゃない?」
「そうかも。明らかにおかしいもんね」
魔物が大量に集まっている。何か一点の方向へ。
『デバックモード』で数えようと思ったけど多すぎて諦めた。でもほとんどの魔物が下位というのはわかった。
「ねぇ。魔物たちが向かっている方向に何かある?」
「う~ん。まだ目的地の町まで遠いしわからないかな」
二度目のわからないか。でも方向は私達と同じだから通るしかないのかな。
「あそこ突っ切るしかない?」
「突っ切るしかないね」
どうしようかな。『フェイズダウン』で魔物の先の方まで瞬間移動するのもいいけど、この魔物たちがどこで何をするのかわからないから始末しておいた方がいいと思うよね。
「でもそんな都合のいい広範囲攻撃なんて――」
「何か言いましたか?」
「そんな大層なことじゃないよ。あの魔物たちをどう処理しようかなと」
「え?!あれ倒せるんですか?!」
「いや一気は無理だけど。地道にやるしかないかなぁって」
「それでも凄いですよ!」
そうかな?下位魔物なんだからいけると思うけど…………
う~ん。どうしようかな。『ウェポンジェネレート』で大きな武器を作る――いやそれでも一気は無理かな。それじゃあ新しく何か能力を使ってみようかな。
あ!やっぱりあれでいいかな。
「何か思いついたの?」
顔に出ていたのかそう聞いてくる。
「まぁね。深く考えずにシンプルでいこうと思って」
そして手を出す。手を取ってって意味だけど伝わったのか顔を赤く染めながらつないでくれた。ムラムラしそうだからやめてほしい。
「『フェイズダウン』―—」
まずは魔物の先の方に転移する。このままでもいいとは考えたけど――
「さらに『フェイズダウン』―—」
広範囲に広がる魔物を一気に転移させる。どこにって?見てれば分かる。
「アルルク、いこっか」
「え、う、うん。でも魔物は?」
「ちょっとアルルクには刺激の強い光景が広がるからさっさと行こうね」
少し歩くと後ろの上空の方から大量の魔物の方向が聞こえてくる。
「アマリス!後ろから魔物の声が!」
「大丈夫。だから後ろは見ないでね」
アルルクの頭を手で押さえて後ろを向かせないようにする。
魔物の声が聞こえたと思ったら今度は激突音がどんどん聞こえてくる。多すぎてゴブリン・エンペラーの自爆並みの轟音だなぁ。
少ししたら音が収まる。まだアルルクの頭は押さえておく。
「ね、ねぇアマリス。何をしたの?」
「大したことしてないよ。ちょっとあの魔物たちをはるか上空に転移させただけだよ」
アルルクを襲おうとしていた人間みたいにね。でもまぁ、本当にあの魔物たちが全員入るくらいの裂け目を作れてよかったぁ…………
私だけチラッと後ろを見る。うわぁ…………あたり一面緑と赤と水色(多分スライムの体)の液体が広がっている。
「あ、アマリスだけずるい。私も見せて」
「だーめ。まだアルルクには早いから」
「アマリスだって同い年でしょ」
それはいいとして、あの魔物の大群何だったんだろうなぁ
「会長!実験中だった魔物の大群が何者かによって倒されました!」
白衣をきた中年男性がひざまずきそう言う。
「へぇ~。あの大群をね。人数は?」
白衣の男性に背中を向けた子供らしき人物が変な液体の入った試験管を持ちながら反応した。
「それが、現場確認では一気に倒されたので一人などの少人数の可能性が高いです」
「少人数?確かにあの大群は下位魔物だけど数が尋常じゃないはずだよ。倒した奴らは特定できそう?」
「少人数」という言葉に反応し後ろを向く。子供らしき人物は少年でも少女でもない無性的な顔をしていた。
「今検証中です。明後日にはわかるでしょう」
子供は顎に手を付けて少し悩んだ。
「あの大群を倒せるほどの力を持っている個人がいるとしたら僕たちの計画の邪魔になりえる。至急にやってくれないかな?」
子供はフッと小さな笑みを浮かべる。それに男性は恐怖し――
「わ、わかりました。なるべく――じゃなくてすぐに見つけます!」
「ふふ、よろしく頼むよ」
男性はドアを開けどこかに行く。
「これは困ったな。あの実験が停止されたのはこれからの計画を変えるしかない。でも早めに進めないとだね」
子供は机の引き出しから一冊の本を取り出す。そこに書いてあった文字は
――<人口魔王創造計画>




