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【裏話16】ざまあ体験談と、目を伏せた過去

三回目

俺は花さんに抑えになってもらおうと思った。面倒見切れないのだ。

三人で佐々木道太に挨拶する。どうも花さんが居るとマンション住人の態度が柔らかくなる。道太を飲みに誘うと妻に怒られると言って断られた。


花さんはとてつもなく面倒見が良い。

「いや花さん酒に強すぎる。何であんだけ飲んで歌下手にならねーの?この子とか飲むとめちゃくちゃ音痴になるよ?ね、莉緒さん。酔うと音痴だもんねー。」

「ねー。ふふふー。わらしもうたうー。」

「ええ。歌うの?」

関屋さんが歌うと花さんと柏木みつきがウケまくる。

「かもんれっらん!かもんれっらんべいびー」

「最高なんだけどwww」

「天才的すぎるわwww」

人を落とす笑いは良くないぞ?花さんまで何で彼女の音痴を笑うんだ。


「あまり笑わないでやってくれよ。」

「何言ってるの!渾身のネタに笑わないのは失礼でしょ?!一体どれだけ練習したの?!」

「関屋さん天才!これだけ飲んでこのクオリティは出せないよ!完全に負けたわ!」


いやちょっと意味が分からない。俺が不快に思っていると、二人は声を揃えて彼女を天才だというのだ。どうもこの曲はモノマネらしく、そっくりなのだと言う。花さんは意外にも学園物アニメは見るらしい。俺があまり見ないジャンルだ。超能力もののアニメは好きらしいから、案外スキルを取り上げると言えば彼女の暴走を止められる可能性はあるか。


例によって泥酔してしまったので治癒をかけたら千鳥足程度にはなった。

「わらし!わらしが払うー!」

関屋さんが自慢の財布を出そうとするので押し留めた。それは多分柏木みつきの地雷だ。彼女はダブルワークで必死にお金を貯めているのだ。


「今日俺が誘ったんだから俺が払うよ。」

「だめよ!私が一番飲んだんだから!」

「花さん。レディに払わせるなんて男が廃ります。」

「ここは歳上をたてるところよ!」


結局、超絶頑固な花さんが払ってくれる事に。この人は年増と言われたくない癖に都合よく歳上を振りかざす。多分男に負けたくないタイプで、だから美人で性格が良いにも関わらず彼氏が居ないのだ。


「ほら莉緒、おぶされ。お前5杯でおかしくなる。だからそれ以上以上は飲むなよ?花さん悪いけど関屋家付き合って下さい。俺怒られたくないんで。」

「あら意外。真面目なのね。」

『愛陽 絆アップ 花 好感度大幅アップ 絆アップ』

おお。これは良い攻略法見つけたね。


俺は目視一人までしか読心できないから莉緒をおぶっている間は花さんを見たが、彼女を読心できなかった。耐性があるらしい。


「横井さん、坂本君、迷惑かけたね。」

「いえ、私が付いていながら、この子がこんなに弱いとは。」

「いや、あなたに比べたら皆弱いよ。前の会社じゃ残業ばかりで友達と飲み会なんて久しぶりすぎて羽目を外したんだろうね。」


関屋豊が花さんに見た事ない様な柔らかい笑顔で笑った。これは意外すぎる。花さんに仕事与えて貢いでるつもりか?けど花さんは関屋豊に恋愛感情は無さそうだ。

まあ、娘に探偵付ける男とは付き合いたくはないわな。俺も息子に盗聴器仕掛ける女とは付き合いたくはない。自分が仕掛けられるかも知れないからな。束縛はごめんだ。


『愛陽 絆アップ 好感度アップ』


四回目

道太に挨拶して三人でのじまんちへ。

柏木さんから声を掛けてきた。やっと一定基準に達したらしい。

俺達はボックスではなくカウンターに座って四人でお喋りだ。

昨日の関屋豊の話から、関屋さんが仕事を辞めた理由が時間外労働だろうと当たりをつけた。どうしても俺は彼女の性格が歪んだ理由を知りたかったのだ。


俺は面白おかしく自分の勤めていた会社の話をした。笑って話せば彼女も笑い話として話しやすいと思ったのだ。ついでにざまあも話してスッキリさせてやろうとしたが、話し終わって皆が笑顔の中、彼女が黙り込んでいた。

「どした。莉緒。大丈夫か?」

「私も、前の会社で色々あって。」


不安そうに俺を見つめる莉緒の瞳に、俺はとてつもなく嫌な予感がした。彼女は、俺に話して幻滅されないかを愛陽に聞いていた。

『不安なら花にだけ聞いてもらってみては。』


柏木みつきが離席したので、花さんに目配せして俺も席を外そうとすると、彼女が俺に言ったんだ。

「坂本さんに聞いてほしい。」

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