【裏話14】出来の悪い弟と、鬼畜兄の策略
坂本隆二(リュー/香坂流星)
着々とアオの好感度上げる事数日。
関屋さんと毎朝のサイクリングデートで距離を縮めていた。
以前一日会わなかっただけで破局したと噂が立ったのだ。いつ日を進めるか分からないから、結局毎日デートをする羽目になった。
俺は関屋さんにハッキングスキル、データ抽出を共有させた。スマホはハックできない仕様らしいが、間違えてパソコンに取り込まれたら終わりだ。
アオに疑われたら関屋さんは躊躇なく俺を切り捨てる。
彼女にとって一番重要なのは異世界だ。
そして今のパートナーはアオなのだ。
そんな時、俺はアオから相談を受ける。
彼女が手に入れた街を独占し、建国イベントが起こったという。ニートである彼女のイベント進行は早い。だが昼間仕事をしているアオはそうではない。土日か夜しか異世界攻略できないのだ。
"お前さ、探索行くのは良いけど絶対に寝ろよ?デスクワークとは訳が違うんだ。"
こいつは没頭するタイプだ。徹夜慣れしているつもりだろうが肉体労働は全く違う。
思わず過去を思い出して苦々しい顔になる。
俺は配送ドライバーとして長時間労働しながら、睡眠時間を削って執筆活動し、過労で脚立から転落した経験があるのだ。あの時は近くにスタッフが居たからすぐ病院に運ばれたのだ。だがダンジョンとなるとそんな訳にはいかない。モンスターの出る場所で過労で油断したら死ぬぞ。
"わ、分かってるよ。"
おい、絶対に分かってないだろ?!まあ、関屋さんもこいつの性格は分かっているし口うるさい女だから何とか言うか…。
ところが、この女は自分の彼氏のことをキープの俺に相談して来た。俺の能力バレを心配するフリをして俺に何とかさせようとするのだ。
"夜に寝ないで探検とか危ないって。"
知るか!
"探索没頭しそうで怖いんだけど"
俺も説得したわ!
"何て言ったら聞くと思う?坂本さんの方が佐々木さんの扱いうまいよね?"
なんだかだんだんムカムカしてきたぞ。
お前な、最初はちゃんと諌めてただろうが。何故きちんと踏み込んで説得しないんだ。それも彼女の役割だろうが!命の危険があるんだぞ?!
『異世界で別れたらもう終わりだから?』
あー。そういう。
『アオの面倒を見る代わりにこの機会に独占してみる?』
んー。まあね。夜のデートも良いかもな。なら飲みに誘ってみよ。
『ワンチャンお持ち帰り狙ってて引く』
いや、お前もそういう意味で言ったよな?
『そんな事一言も言ってないんだけど?』
"んじゃアオの説得と時間管理は俺が受け持つよ。ついでに俺柏木さんにアクションしようかなあ。"
"ええ?夜だよ?会う機会なくない?"
"彼女のバイト先。一緒に行く?好感度無双。"
普通の夜デートならこいつは絶対断るからな。
口実まで用意してやって俺やっぱり優しいよな。
ていうかこいつ柏木さんの事何も調べてないんだな。自治会で話すチャンスはいつでもあっただろう。他人に興味無いのかな?
『聞く勇気が無かったのかも。』
雑談に勇気とか要る?
『彼女にとっては要るんだ。』
自治会での毅然とした態度や受け答えを見てても引っ込み思案には全く見えなかったけどな。
『目的が無いと会話をできないタイプなんだよ。』
俺は昼間のうちにアオに念話でもう一度アクションしておく。
"夕方からだろ?せっかくループするならさ、俺も執筆活動したいんだわ。深夜2時にメモリ送るからさ、朝起きたらメモリこっちに送り返してくれね?"
こうやってループ回数を管理できるのは便利だ。ある程度で止めてやらないと過労による事故が怖い。俺は今日から日付だけでなく時間も書く事にする。アオは自分を過信しすぎる。無鉄砲で危なっかしくて見ていられないのだ。
俺はアオの事をもう出来の悪い弟みたいに思う様になっていた。
『出来の悪い弟の彼女を寝取ろうとする鬼畜兄とかww』
うるさいわwww




