表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/143

【裏話11】「帰ろ。遅れたらアオが心配する」冷徹な態度で別れを告げた、バス停の演出

坂本隆二(リュー/香坂流星)


俺は関屋さんの手を引いて人混みから抜け、桜の木の下のベンチに座らせた。

「大丈夫か?ちょっと疲れた?」

どうやら唐突に現実を理解したらしい関屋さんは落ち込んでいた。


「ねえ。今日やっぱり戻さないとか言ったらアオ怒るかな。」

やっぱり分かって無かったんだな。


「うーん。デートしちゃったからね。勘違いするかも。彼はさ、こっちでは君と会えないから。俺彼に隠し事しないし、どうせマンション中の噂になる。」

「そっか。つら。」

「自己満足だよ。今更だし。俺何とも思わないけどね。何なら二千円返ってくる。」

「うん。そだね。」


あのけん玉お兄さんよりさ、俺の記憶を奪ってるの理解してる?何もかも無かった事になるより知ってる分ある意味キツいんだぞ?


今にも泣き出しそうな関屋さんに俺はため息をついた。その顔はずるいだろ。くっそ。仕方ない。俺が悪者になるわ。


「今撮った動画あげるから、それ見せて力説したら?彼君の性格知ってるからいけるかもね。」

「そっか。言ってみる。ありがとう。」

ホッとした顔で微笑んだ関屋さんにマナビたんが忠告する。


『リューが莉緒の善意に付け込んでデートの記憶を残させたと勘ぐられる可能性があります。』

「やっぱりやめる。優先順位はちゃんとしなきゃ。」


おい…優先順位って…異世界とさっきのけん玉お兄さんじゃなくて、俺とアオの事だよな?

俺は癪に障るが顔には出さない。


「さすが。マナビたんが忠告してくれたんだ。超優秀だね。」


読心に、マナビたんからの好感度ダウン告知が出た。くそっ。夜闇、俺にも相手のダウン告知頼むわ。ああもう、この好感度告知システム苛つくなあ。どうせ戻るし、やけ食いでもするか。よし、腹いせだ。今日は徹底的に関屋さんを太らせるデートに予定変更だ!


「ははは。ベビーカステラ買って帰ろ。一番高いやつ。ステーキ串ときゅうりの一本漬けも買ってやるよ。どうせ財布の中身戻るんだ。いちご飴と葡萄飴も買おう。コットンキャンディもいっとく?バスだからビールも飲めるわ。今日どれだけ炭水化物食べても俺は太らないぞ!爆食いデートだ!」

「ごめん。どうすれば良かった?」


「そのままで良いよ。その方が絶対良い。俺異世界手放したくないもん。常識で考えたら分かるだろ?女より異世界一択だ。俺異世界の為なら一生独身でも良い。」


「ええー。なんでそんな話になるの?」


関屋さんはこの時間無限がどういう事なのかこの期に及んでまだ分かっていないのか。


「内緒。君は余計な事考えない方が俺にとって都合が良い。行こう。何でも買ってやる。くじ引きとか射的とか無駄にいっぱいする?めっちゃ散財するから絶対に時間戻してくれよ?!」


『イベント レッツお城デート、大人の魅力でギャップ演出は、ダイエッター彼女を意地でも爆食いさせるデートに統合されました。』


「フフフ。イベントが出た。観念して一緒に食べるぞ?肉なら太らないから。」

俺は関屋さんの左手を掴もうとしてやめ、指を絡める様に手を繋ぐ。どうせ無かったことになるんだからこのぐらい良いだろ。


目一杯食べて、治癒をかけられ、また食べてを繰り返し、もう夕方。

もうすぐ魔法が解ける時間だ。帰らないと。俺はサッと彼女から手を離し、無表情で言った。


「帰ろ。遅れたらアオが心配する。」

「分かった。帰ろ。」

今度は彼女から俺の手を握った。

普通の握手。

しばらく歩いて俺はまた手を離し、ポケットに手を突っ込んだ。


笑いかけるのも面倒になって、無言でバスを待つ。彼女は黙って横に立ち、顔を見ては何か言いかけ口をつぐむ。夕方のバスは間隔が短い。到着したバスにすぐに乗り込み並んで立つと、彼女は少し不安気に俺の顔色を伺った。


揺れるバスにふらついた彼女を抱き止め支える。

切り替えろ。

俺達は恋人のフリをしているだけだ。


「用思い出した。降りるわ。一人で帰れる?」

「うん。」


俺はバスを途中下車してカフェに入り一番奥の角に座る。すぐに水を持ってきた店員に注文を通した。

「ホットコーヒー。」

「かしこまりました。」



なーんちゃって。ふっふっふっ。


席に着くなり思わず顔が緩む。

『リューわっる。何あの顔。彼女傷ついたよ?』

いやいや、発進でふらつくとか異世界で猪倒す子がわざとらしすぎるだろ。あの演技には、まだ甘さがあるんだよ。何あの茶番w


俺はニヤけながらスマホに入ったさっきのデートの小説を読み返し、所々手直ししながら静止画スキルで写真を挿絵として入れていく。


ノンアル片手に肉串を幸せそうに頬張る関屋さん。ふふ。いくら何でもあれは食い過ぎだ。

関屋さんが飴を食べた時の蕩けそうな顔を想像する。俺の関屋さんへの好感度が上がる。


小説を保存して彼女にメモリを送り、すぐ念話を送った。


"関屋さん。今送ったデータは次会った時そのまま返して。商業化作品のやつだから絶対中見ないように!自分の(・・・)パソコンに入れちゃダメだから。"


と俺はさりげなくアオの監視を示唆した。

思い出し好感度アップに思わせぶりなデータ。お前多分こういう演出大好きだろ?



『報酬 スマートウォッチ 莉緒絆大幅アップ 莉緒大幅好感度アップ 莉緒愛情アップ 』


うお!!関屋さんと色違い!黒のスマートウォッチだ!!やばいこれ、アオがヤキモチ妬くぞ!見た目隠蔽できる?!

『隠蔽はできるよ。看破されるかもだけど。』


ふっふー。愛情アップきた。今日は結構稼いだぜ〜?

『あーあ。弄んで彼女可哀想ー。あんまり調子に乗って愛情上げちゃダメだからね?ゲームじゃないんだから。』


いや俺を弄んでんの向こうだろ?!


なあもしかしてこのスマートウォッチ、そのうち全員お揃いの戦隊モノみたいになるやつ?!

『権限がありません。』

なるやつね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ