【裏話10】「左手首を掴んだ」データ収集と癖の捏造、坂本隆二が仕掛けるボディタッチ
坂本隆二(リュー/香坂流星)
昼を別々に食べてから俺は約束の時間の少し前に来て空を見て佇む。恋煩いのフリでマンション住民に関屋さんに夢中アピールだ。ちなみに今日のファッションは関屋さんとペアルック。
彼女がマナビたんとあれやこれや相談しながらどうやったらアオにデートだと思われないかと服を選んでいて、黒の上下にしたのだ。だがそのファッションこそ地雷。マナビたんも関屋さんも、俺が黒を好んで着ているの分かっているはずだ。多分わざとだろう。何を考えてるんだこの二人。アホなのか?
『と言いつつスタイルまで寄せてペアルックで疑似恋愛満喫するのがリューなんだけどね。』
いや俺のファッション真似たの向こうだからな?!
『イベント レッツお城デート、大人の魅力でギャップ演出 進行中』
あー、マナビたんデートイベント出したかった訳な。よし、ここはまだメンヘラ演技でいく。
「関屋さん。今日キャンセルで。」
「行こう。坂本さんのメンタルの方がやばい。」
だんだん関屋さんの扱いが分かってきたぞ。
「疑問なんだけど、地球の人との好感度上げて時間戻ったら好感度も戻るの?マンション住人と積極的に話して検証したら、小説の設定面白くなるかも。」
関屋さんが俺を元気付けようと情報を開示してきたが、俺はそれをもう知っているのだ。
『いやこれは、多分情報引き出そうとしてるね。』
まじか!今にも死にそうなメンヘラ利用するとか鬼畜か!
「魔法で何とかできたら良いのにね。」
「そっか。闇魔法が精神干渉系と考えたらデータ取りに使えるか。でもその魔法開発するのは裏切りを疑われる。」
『死なない様に役割与えているつもり?こういうやり取りが好きだってリューの扱いが分かって来たのかも。』
あー。そういう?でも俺女にあしらわれんのとかやなんだわ。
適当に仲間宣言をして絆アップしながら歩くと関屋さんは大道芸をチラチラ横目で見ている。こちらを気遣うフリしつつ横目で見ていて、大技が決まると思わず声を上げた。
「おー。」
子供かwwダメだろこいつ。ちゃんとヒロイン演じ切れよww何お前一人楽しんでんの?
『とか言いつつリューこういうアホっぽい子の方が安心感あって好きでしょ。』
ええ?まさか演技?!てかこれが演技だったら怖いんだけどwww
「ふっ。莉緒さんニートなのにああいうの興味あるの?なら外出れば良いのに。」
俺はあえて煽る。ここからギャップ演出にシフトしていくぞ。関屋さんの大好きな余裕の大人の男じゃなくて、無神経で独りよがり男が良いな。様子を見て距離を詰めて警戒されたら面倒だから一気にいこう。
同じ独りよがりタイプでも俺はアオと違って媚びないスタイルだ。
俺は彼女を放置して大道芸の方へどんどん歩く。そして振り返ると戸惑っている関屋さん。
俺は花見ではしゃいでいた別人の様な関屋さんを思い出す。
彼女はどこか冷めているけど、本当はイベントごとが大好きな癖に恥ずかしくてきっかけが無いと本気で楽しめないタイプなんだ。そういう子居た居た。
俺は彼女の左手首を掴んだ。
ことあるごとに左腕を掴んでこれが癖だと思わせる。異世界にいる時のデータは、機器に触れなければ回収できないからな。
「何してんの。近くで見なきゃ見えないだろ?」
「分かったよ。」
"客寄せの魔法とかあれば良いのに"
"凄い事考えるな。全くの他人に善意で魔法使うのか?そのお情けが嬉しいとは限らないぞ?"
俺はちょっとずつ口調を変えて立場関係を入れ替える。
「おおー!!」
2メートルもある紐のけん玉を使った大技に関屋さんは興奮してでかい声を上げた。何この子無邪気かよ。若干可愛いかも。若干な。
「フフッw」
けん玉の人が、千円札の模様がプリントされたタオルで顔を拭く。そしてお捻りの話を面白おかしくやり始めたら帰る人が続出。彼女は自分のファミレス代も渋る癖になんと意気込んでゴッチの財布をカバンから取り出した。
ちょ!高級財布とか貢がせたの?!俺が鑑定すると、何かの報酬らしくほっとする。そこまで悪女じゃなさそうだし?彼女は金銭的に貢がれるのは嫌みたいなんだよな。
よし、ここで大人の男アピールしとこ。
「いいって。俺が誘ったんだ。莉緒さんの分も払うから、終わったらいこ。今から最後の技やるって。」
「ええ!悪いよ!」
アオは貢ぎ方が下手なんだよ。こういうの、まずは少額からだろ。
俺は終わり次第関屋さんにの手に千円札を待たせ、戸惑う関屋さんの手を引いて有無を言わさず一番乗りでお捻りを渡しにいく。
これで他のギャラリーに正義感の押し売りもできた。彼女はこうやって態度で周りを非難したいタイプなんだというのはさっきの財布を出した時の顔で分かったよ。けどあの顔でお捻りは雰囲気悪くなって良くないからお手本見せてやろう。
「凄かった!応援してます!」
満面の笑顔で握手を求める。けん玉のお兄さんは笑顔で俺の手を取った。関屋さんは普通にお捻りを袋に入れる。こういう性格、損だよな。フリでも良いから楽しめばそのうち楽しみ方分かってくると思うけど。




