第67話 勇者の自立と東への遠征決定
「そろそろアトソーヌも様子見なきゃね。」
「また襲撃あったら困るもんね。」
幸い襲撃は無かった様である。
滅ぼす勢いで倒したからな。また増えるまで大丈夫なのかも。
異世界ドリマナールでは地球よりも適正の影響を受けやすい。私達は適正鑑定のスキルを得たので男性女性子供で分けていた村人の鑑定をして配置変えをした。
私達は適性のある人員と槍の訓練をしてる。佐々木さんが勇者なので思いのほか武器の扱いが上手いのだ。私達は尖っていない棒で模擬戦をするんだけど、佐々木さんが強いし、私と村人だと相手に怪我人が出てしまう。ノッテと私だと体格差がありすぎる。
佐々木さんは模擬戦を終えるたびにため息をつく。
「りおりお、君は魔導士だからわざわざ武器覚えなくて良いよ。」
彼は魔法も戦闘も、錬金術も全て私より上手い。
「悔しい。私全部負けてる。」
ほんの先日まで甘えん坊だった佐々木さんが急に大人になって、自立してしまったのだ。
「そりゃ勇者だから。もっと僕の事頼って良いよ?もう貢がないから、違う事で頼って。」
「ありがとう。」
と言いつつ複雑だ。
「ねえその顔何?対等ってそういう事でしょ?じゃあ君も強がりしないで頼らなきゃだめだよ。りおりおはもっと人を頼る練習しないとね?君が何もかもやろうとするのは非効率だよ?」
こんな感じで佐々木さんがめっちゃ上に立って来るのである。そんな話をしていると村人が微笑ましい顔をして私達を見てくる。
「それにしてもイベント出ないよね。」
「何が足りないのかな?早く進めすぎた?」
時間チートがあるから地球よりこちらの方が進みすぎてしまうのだ。地球イベントとリンクしているなら進行は止まる。
「村の外にイベントがあるのかな?」
「なるほど。遠征する?」
「そだね。村の人にも外に何があるか聞いてみよ。」
北は私達が来た道だ。村人には扉は見えていない。昔から北は危ないとか決して行ってはならないという謎の掟があるそうだ。
東は普通で言うとエーテーシーがあるはずなのだが、ドアを開けた景色がまるで違う。それに大型イベント中アトソーヌに居てもエーテーシーの時間は経過しない。だから違う世界なのだ。
スマホにマップ機能があるが、一定距離以上は表示されないのか、スクロールしてもエーテーシーは見えない。やはり繋がっていないのだろう。
南に行けば街はあるというが、人の足で何ヶ月もかかるので誰も行く人は居ない。
ここは完全自給自足の村でどこにも統治されていない。
「間に村があったか移動手段が昔はあったのかもね。」
そういう設定かも知れないし。
「ウルフとかモンスターがどこから来てるのかは調べないといけないよね。ここはエーテーシーに比べてモンスターが多いから。」
「だね。」
きっとマップがあるということは、ここから遠征に出ろという事なのだ。
『イベント 東に遠征しよう!』
「東に遠征だって。」
「こっちも出たよ。」
最初私達は交代で地球で一日過ごしながら坂本さんに原稿を貰いつつ、数日に一度地球で眠り、村から東に向かってマップを広げようと話していた。
けれど佐々木さんは、管理人業がある。
平日の昼間は管理人室に居ないと、もし何かあって時間を進める場合に仕事をサボっているのは良くないと言って、土日の担当が私になった。
「お昼休憩にアトソーヌかエーテーシーか、はじまりの部屋に来るよ。二人で食べよ!」
「分かった。そうしよ。」




