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第64話 偽装デートはネカフェで。リューと変装魔法

今日は私も佐々木さんも地球で過ごす日。

時々ちゃんと地球で過ごさないと色々忘れちゃうのだ。


「おはよう。莉緒さん。」

「おはよう。坂本さん。」


二人で自転車で繰り出す。

今日は駅のネットカフェに二人で来てペアシートへ。私はネットゲームをする。ネカフェ経験値二倍なのだ。ちなみに坂本さんはお金持ちだから奢ってくれるし、反対する親は居ない。けど常識を弁えているのでいきなり高額プレゼントはして来ない。


坂本さんはできた魔法の設定資料を二つのUSBメモリに保存する。


"交代してくる。このまま待ってて。ごめんよ。しばらくは昼休憩だけだけど。"

"ごめんね。無理させて。"

"いや。俺アオにそれ以上貰ってるから。"

しばらくして戻ってきた坂本さんの姿の佐々木さん。彼は私の隣に座る。


「莉緒さん。そろそろお腹空いたね。なんか注文する?」

「うん。」

二人でパソコンから軽食を注文した。

彼は坂本さんの作った資料を読む。

「彼の設定は動画にするのが難しいんだよね…」


変声魔法は坂本さんにも協力してもらってセリフ有り動画で登録した。彼は佐々木さん以上に演技が上手い。彼もまた厨二病なのだ。

というのは冗談で、彼は中高と演劇部に在籍していた。脚本担当をしながら主役の座を狙っていたらしいが6年間主役は一度もできなかった。

脚本と監督ばかりさせられていたという。

お陰で小説家になったんだから凄いよね。


普段の喋りじゃないとおかしくなるのではと思ったのだが坂本さんは声を変えられるという事が表現できれば大丈夫だと、何種類も音声を送ってきた。声優か!!

え?実はなりたかった?そうですか。


彼は諦めていなかったらしい。


いつか自分の作品に出られるといいね。

え?もう出た?凄いな。あ、一言だけ?そうですか。ていうかめっちゃ権力使ってくるな。制作側困っただろうな。佐々木さん曰くクレジットで流れたから有名な話らしい。話題になったなら制作側も得したのか。


ちなみに変装と変声を別にしたのはMP問題を解消する為。変装は一度きり使って解くまでそのままだが、変声は声を出す度MPが減るのだ。すると何故か、変装が突然解除されてしまうというとんでもない不具合が!


佐々木さんがMP無限だから使えるだけで坂本さんの場合は魔石のMPに依存する。今彼は別の部屋で待機している。

消費MP0とか設定しても適応されない。

時間にMPの対価をつける事には成功した。

効果に見合った対価は必要だ。ウルフの魔石一個に30分しかもたない。


"魔石から魔力を取り込んでMP上限を増やす変換魔法とか作れないかな?"

"成程。動画にするのが難しそうだけど。"


ちなみに透明化魔法は坂本さんが自分の小説、【俺が転移した魔法の無い世界でスキルを使って生きていく】に出てくる実は魔法ではないスキルを流用した。設定はきちんとある。魔法では無いので彼のアニメ作品を見ても実装されないが、以前佐々木さんが作った動画に書籍で使用されたそのままの設定を追加するだけで習得できた。製作者がアオ、リューと表示される。


"坂本さんが自作品で書いたものなら、イメージできなくても実装できるのかな?"

"そうか。メカニズムが分かってないし魔法じゃないのに上から突然どっすんが落ちてきたりしたもんね。作品の知名度かも。坂本さんに話してみる"

佐々木さんは目を細めて嬉しそうに微笑む。

"莉緒さんは天才だね。"

彼はふわりと私の頭を撫でた。


最近佐々木さんがこうして時々ボディタッチをしてくる。彼が地球で会いたがる理由がなんとなく分かったかも知れない。だけど坂本さんの姿で良いのかと複雑な気持ちになる。


『私はノッテにきちんと説明する方が良いと思うのですけどね。』

私は愛陽をスルーした。だけど愛陽は続ける。


『アオはノッテを動物の子供だと認識していますが、彼女は妖精ケットシーで知能が高くもう大人です。莉緒達の関わり方に合わせて成長していけますよ?彼女が子供なのは二人が子供扱いするからです。』


なら私は、彼女のハードルを下げない様にしなくちゃいけないの?


『言葉を選ぶ必要がありますが、難しくても繰り返せば理解はできる様になる筈です。ですが従順で莉緒のいう事を過剰に守ろうとするので指示は具体的に。アオの話し方は参考にできます。』

確かにアオの指示は具体的だ。ノッテの成長のためにもこれからは可愛いだけで接するのではなく具体的な指示と尊敬を持って接するように意識を変えなければ 。


ご飯を食べて坂本さんと佐々木さんは入れ替わり、ネットカフェを出て公園へ。

「サイコンさ、何のイベントで出たの。盗まれても戻ってくるとか高性能すぎ。」

「海で出たの。」

「えー。俺のお陰とか。俺乗りまくってんのに出ない。」

「自転車がメインの大きなイベントに遭遇しないと。」

とりとめのない話をして時間をつぶし、マンションに戻った。

クロスで自転車を拭くフリをしてクリーン。

「じゃあまた。」

「うん。ありがとう。仕事頑張ってね。」

「…ありがと。莉緒さん。」

『リュー好感度アップ』


ちょ。なんで。

『気の無いフリからの不意打ちギャップ萌えですね。お気をつけて。』

ええ。不可抗力でしょ。


エレベーターで別れてお互いに自室へ。

坂本さんにも魔法作りをお願いしないといけないから、ずっと異世界にいる訳にはいかなくなった。

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