6話 ペットショップ
私は朝から茹でた胸肉をカットしたのと茹で卵、農村で貰ったブロッコリーとキャベツを茹でて中山田きんにく君の筋肉飯を作っていた。マヨネーズをラップでてるてる坊主にして爪楊枝とともに入れる。毎日買って来てくれるお惣菜やお弁当に付いていた醤油も入れた。
マヨ醤油は正義である。
ちなみにきんにく君はオートミールだがパパンには米である。
「今日はちゃんと作れなかったけど、次はきちんとした物を作るから。今日はとりあえずこれ。痩せるお弁当なんだって。」
「ありがとう。これを食べると痩せるのか?」
「違うよ。これしか食べないと痩せるの。おやつにプロテインバーも入れとくよ。」
「そうか。なるほど。けどお前は一切痩せる必要は無いぞ。佐々木君の好みが華奢とは限らないだろ。」
「え!何で佐々木さん?」
「横井さんに聞いたよ。公園でデートしていたんだろ?結婚すれば働かなくても良いとはよく考えたな!」
いや噂早すぎだろう!!てか下手な冗談やめろ!
私は着る服が無くてジョギングの為に公園に行っていると話して弁明したら父親は大笑いする。
「服が全部入らなくなったのか。前よりは健康的で何よりだ!服なんか新しいのを買えば良いだろ。せっかく外に出る気になったんだから。」
と言って一万円くれた。
「や、痩せるから大丈夫よ!」
「思い立ったら吉日だぞ?痩せる必要は無い!一着でいいから服を買え。服を買いに行く服が無いならネットで買うんだ。親の言う事は聞けよ?お前は外に出た方が良い。そしてもっと太れ!」
と言って一万円札を押し付けられた。
まじかあ。外に出ない事をそこまで心配されていたとは。
通知が鳴る。
まじか!ここでブティックイベントか?!
『ペットショップで猫のおやつを買う』
なんでやねーーん!!
通知が鳴るのと鳴らないの何ですか?
『突発イベントや対人イベント、会話中に突然発生した場合は通知が鳴らないことが多いです。発生タイミングが予め決まっているイベントや自室で一人の時は通知が鳴りますがオフにもできます。』
なるほど。了解です。
とりあえず父を送り出したら非常階段を駆け降りる。そして30分ジョギングに。絶対に痩せてやる!!一万円浮かせてやる!!
戻りはもちろん階段駆け上がりだ!!!
水分補給をして冷凍した果物をつまんで一休み。洗濯をして掃除をして、ようやく朝10時。
異世界に行くと時間が余って仕方がないのだ。しかも活動時間が増えるとお腹は空くし普通に眠くなる。眠いからと向こうで寝るとこっちで眠れなくなる。時間配分が難しいのだ。
ウニシロのワッフル生地のワンピース、これだけは着られるのだ。今日は水色を着よう。
いつも同じ服だけど色が違うから噂されないと信じてる。子供の頃同じ柄の靴下を沢山買って貰って毎日履いていたら同じ靴下毎日履いてるとある男子に馬鹿にされたのだ。人に文句言いたい下らない人はどこにでも居る。私は翌日タンスに入っている靴下を10足持って行って並べ、同じものを買い揃えて何が悪いのか、勝手な思い込みで人を馬鹿にするのは程度の低い人間だと言って相手の男子を泣かせた事がある。
人を傷つける癖に傷つく覚悟の無い本当に程度の低い奴だった。
徒歩でペットショップに向かう。歩くと痩せると信じている!
『痩せます!ですが小遣いは浮かさずきちんと言われた様に服を買う方が良いと思われます。Mサイズの服を買えば痩せる必要は無くなります!』
いやいや、今ある服勿体無いからね?!
でも何で猫の餌。
『猫の餌ではありません!猫のおやつです!!一番食いつきの良いものを買いましょう。』
なるほど。これは先で猫イベント来るやつだな?
……
無視である。
ペットショップで一番有名なやつの一番小さいやつを二種類買った。
『報酬 猫の首輪がアイテムボックスに収納されます。』
はあ?!猫飼えってこと?!確かに私は犬より猫派だけども!!
『違います。』
あ、そうか。猫イベントの為か。
……
無視である。
「あれ?関屋さん。」
「あ、こんにちは佐々木さん。」
イベント表示して
『ペットショップで佐々木蒼太と遭遇 進行中』
「犬を飼うんですか?」
何故犬?!?!
「飼えないので見て癒されに来ました。ちなみに私は猫派です。」
「猫も可愛いですね。」
佐々木さんは余計な争いは避けるタイプらしい。彼はリードを選んでいる。私は猫を眺める。可愛すぎる。だけど小さければ犬も可愛い。
「可愛いな。」
「可愛いでしょ?!犬も可愛いよね?!」
いや佐々木さん。目が輝きすぎ。テンションがおかしいぞ?
「私昔から犬に好かれすぎるんです。小さい子なら大丈夫なんだけど、大きな犬に飛びかかられたら本当に怖くて。」
私は正直なところを話す事にした。カリクの事もあるから配慮してもらおう。
「それは…先日はすみませんでした。」
「いえ。そういう意味では言ったわけじゃなくて。カリクこの前会った時は大人しかったので、リードさえきちんとしてくれたら大丈夫ですよ。」
私達は帰路に。佐々木さんは落ち込み気味だ。
「無神経ですみません。僕よく言われるんですよ。気をつけないと。」
「大丈夫ですよ。いろんな人いますから。私は無愛想だとよく言われます。」
「ええ?!無愛想には見えないなあ。面白いし、受け答えもハキハキして割と付き合いやすいタイプじゃないですか?」
そんな事初めて言われたけど。プライベートで付き合うと維持できないタイプなのだ。面倒臭くて。今日はイベントだから割と必死で間を持たせてる感じ。
「そうですかね。カリクのお陰かなあ。他の人には私こんなじゃないですよ?井戸端会議もしんどくって仕方ないんですよ。」
「いや、あの人達はしんどいでしょ。昨日とか横井さんに目撃されちゃって。偶然会ったって言っても信じてくれないんですよね。お陰で噂が立っちゃったみたいで申し訳ない。」
どうせ何言っても自分の信じたい様にしか信じない人は居る。そういう人種とは話すだけ無駄なのだ。
「良いですよ。虫除けにちょうどいいです。何故だか親も喜んでましたし。誤解を解いたら服買えって一万円くれたんで佐々木様々です。」
「ええ!何で服?!」
私は服が入らなくてダイエット中だと親に言うと服ぐらい買えと小遣いを貰った話をした。
「えー。だからジョギングですか。関屋さんは痩せない方が良いですよ。もともと痩せすぎだったとかじゃないですか?」
「まあ、そうかもですね。社畜すぎて食べる暇なくて一日プロテインバー3本でした。」
「えー。病気になりますよ。」
「一日450円ですよ。素晴らしい。三分で食事が終わります。その分働けます。」
先日まではそれで延々とネトゲしていた。夜だけお惣菜だ。市販ものは太るし、今まで食べていないのを食べ始めたから溜め込み体質になっているのだ。
佐々木さんがめっちゃ引いている。
「それで倒れて会社辞めたんですね。そりゃ虚弱体質にもなりますよ。」
いや倒れてないし虚弱じゃないわ!!
「横井さん達に私の話しないでくださいね。」
「当たり前ですよ!あの人口軽すぎてやばいです!」
話しているとマンションについた。
「お話楽しかったです。たまには良いものですね。」
私は社交辞令を言う。
「ホントですか?!良かった。嫌われてなかった。また話しましょう!!」
いや、まだ嫌うとかいう段階ではないな。
『報酬 アクセサリー用金具セット 佐々木蒼太好感度アップ』
いやネットで通販したとこだわ!!
宅配ボックスには購入した金具セットが入っていた。まあ良いけどね!!