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第54話「7階にあった盗聴器」坂本隆二の巧妙な手口と、不可解な「好感度ダウン」

坂本さんは困った顔をしてため息を吐く。

「ファミレス行くお金も無いのに。夜に公園とか海は危ないですよ。俺が言うのも何ですがあなた危機感なさすぎです。誰にでもホイホイ付いていくじゃないですか。」

いや、坂本さんに付いて行ったのはイベント出てたからだし、マンション住人だから身元ちゃんとしてるからだよ?


「元社畜なもんで、4ヶ月無収入でも暮らせる程度のお金はあります。ネットカフェでも行きますよ。」

「そんなにお金あるとか他人の俺に軽々しく言ってはダメです。ほんとに危機感無い人だな。まあネカフェなら大丈夫か。明日のイベント、サボらないでくださいよ?副会長。」

「もちろんですよ!私責任感あるんで。」

「フッwそれ自分で言う?」

『坂本隆二 好感度アップ』


ネットカフェに着いて受付をしていたら父親からメッセージがあった。

"頼むから暗くなる前に帰って来てくれ。顔合わせたくないなら俺が出ていく。さっきはすまなかった。"

"今から帰るよ。心配かけてごめん。"

『坂本隆二 好感度ダウン』

ん?!思い出し好感度ダウンとか。


「やっぱり帰ります。」

私は受付の人に断って店を出て階段を降りる。


私が駐輪場に行くとなんと坂本さんが居た。

困った顔で私のマウンテンバイクを眺めているのだ。

「なんなんです?ストーカーですか?」

坂本さんは見るからにホッとした顔をした。

「やっぱり心配で。俺佐々木さんに頼まれてるんですよ。今日何かあったら俺のせいになる。」

いやならないだろ。それで好感度ダウンとか!


「親に帰って来いって言われたから帰ります。」

「良かった。それが良いです絶対に。俺送ります。」

何で横井さんといい坂本さんといいこんなに口うるさいんだろう。

『莉緒さんに危機感が無いからですね。』

いや、愛陽までいう?私強いよ?

『見た目が華奢なので実は強いとは思えないのですよ。』


マンションに着いたら坂本さんはまた自転車を拭くクロスを出しながら言った。

「あそうだ。サイコン付けっぱなしだと取られます。ライトもですよ?絶対外して持ち歩いてください。それ見て僕駐輪場から動けなくて途方に暮れてました。実はマンションに連絡して佐々木さん呼ぶつもりでした。」

「えっ!そうなの?!」

ああ、それで好感度ダウン?


ていうか一定以上離れたら返ってくるやつなんだわ。あ、でもそれだとバレるか。


坂本さんは額に手をやって首を振った。

「あなたのお父さんが口うるさくしたり横井さんがあなたに執着する理由が分かりました。反発せずにちゃんと話し合って下さいね。」

いや、この人一体何なんだよ。過干渉すぎるだろ。


それっきり何も言わずに坂本さんが真剣に自転車を拭きだしたので私は中へ。


エントランスに入ると佐々木さんが非常階段から出てきた。

"後で話があるんだ。"

"分かった"

管理人室から管理人さんが顔を出した。

『佐々木道太 好感度ダウン』

は?!

佐々木さんが眉を下げて言う。

「関屋さん、少し待って下さい。雑巾貸すんで外でタイヤ拭いて下さい。そのまま上がるなら部屋保管認められません。駐輪場1ヶ月2000円なんで考えといて下さいね。」

と言って管理人室内に入って行った。


"クリーンしてきてよもう。"

"外に人が居たから。"


佐々木さんはモップと雑巾を手に出てきて外を見て嫌な顔をした。

"さっきの今で好感度上げに余念がないよね。ほんと君人を信用しすぎなんだけど。向こうに自転車持ってきてね。確認したい事がある。"

ええ?!めっちゃ機嫌悪いんですけど!!


雑巾を渡されて外に出ると坂本さんが困った顔をした。

「またですか。情緒不安定なんですか?」

「いや、違いますよ。管理人室前で怒られたんです。」

と雑巾を見せた。すると坂本さんは私の自転車のタイヤを見て目を丸くした。


「はぁ?!そりゃそうでしょ。他のサイクリストが肩身狭い思いするんでやめてくださいよ?部屋保管不可になったら嫌なんですよ。あなたと違って俺チートは無いんで。」

『坂本隆二 好感度大幅ダウン』


めっちゃ棘のある言い方された!!!

私の周りの人皆口うるさすぎるんですけど!!


『自転車を拭かないでマンションに持ち込むのは嫌われる行為ですからね。』

いや知ってたら先に教えてよ。


部屋に上がると父親が出掛けようとしていた。

「お父さん。話そ。」


私はお父さんに、佐々木さんのご両親が心配して佐々木さんに探偵をつけたかも知れなくて別れる事に決めたと話した。


「そうだったのか。誤解してすまなかった。親に反対される様な関係は良くないな。残念だが仕方がない。辛いのに決断できて偉かったな。」

「もう部屋に行くね。」

「ああ。明日のイベント参加できなくて悪いな。自治会の事頼んどくよ。」


私がはじまりの部屋に行くと、佐々木さんが自転車を出せと言うので出す。

彼はいきなりサドルを外した。


「あっ!調整してくれてあったのに!」

「寸分違わず戻せるから大丈夫。君も多分できるよ。」

と言って裏返したりして何度も確認する。

「おかしいなあ。あると思ったんだけど。盗聴器。」

「ええ。電源無いと無理でしょ。」

「それが7階にあったんだ。鑑定したら電池式レコーダー。一階はカメラだけだった。」

佐々木さんいわく、7階がレコーダーで一階にはカメラしか無かったのが違和感あるのだとか。


「初日にサドル高さ合わせた時に盗聴器付けられたんだと思ったんだけどなあ。」

「それだったらショップで点検した時バレてるよ。」


「それもそうか。うーん。けど一階に盗聴器無かったのが腑に落ちない。僕らの会話盗み聞きしてたんだと思ったんだよね。自治会の時会うの二回目って感じの距離感じゃなかったでしょ?常に盗聴してるから親近感あるのかと思ったんだけどな。」


「いやでも、盗聴してる時地球時間止まってるし。」


「電波式はリアタイだけど、7階にあったのはデータが保存されるやつだった。後で外して聞くの。君彼と毎日イチャコラしてたでしょ?その時に回収されたんじゃない?」


は?!何言ってんの?!


「いやすぐに否定して?!」

「信用しない様に気を付けるよ。」

「いやだから否定してくれる?!」

私は大きなため息をつき、佐々木さんの顔を真正面から見つめた。


「イチャコラはしてませんー。」


「ほんとに君はもう…。まあでも。カメラと盗聴器のレシピゲットしたからそれはそれで嬉しいかも。量産しよう。」

おお。だがそれは何に使うのだろうか。

「後で監視カメラハックされてないか調べないと。」

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