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4話 ボーナスイベントが今日イチ嬉しかった

憂鬱のゴミ出しである。

イベントではない。

「お父さん、朝ご飯適当に食べといて。ゴミ出してくる」

「ありがとう。気を付けてな。」

私は家着用ワッフルワンピース、パステルピンクを着て缶とビンを別にまとめ、エレベーターで降りる。


エレベーターを降りると佐々木さんが。

「おはようございます。」

佐々木さんはめちゃくちゃ驚いている。

「ここに住んでおられましたか!お怪我は大丈夫ですか?持ちましょうか。」

「いえ、大丈夫ですよ。どこもどうもないです。カリク君元気ですね。」

「ええ。ご迷惑おかけしました。普段はそんな事ないんですけど、気に入った人には急にああなるんです。気にいる基準も分からないんですが。」

そうか。カリク君には二度と会うまい。私は昔から犬に好かれすぎるのだ。犬が寄ってこない日と言えば、漂白剤を使った日くらいだ。


佐々木さんは童顔丸顔の可愛い系男子。でも背は170はあるかな。髪型はうーん、茶髪のセンターパートコンマヘア?ちょっと裾カールしてるか。マッシュ…になるのかな?自分の可愛さ理解してる感じのあざと系男子?美容院とかでお任せしてるなら知らんけど。


二人でゴミ捨て場に向かって歩く。前に集団が。うわー。やだな。早く来たのにこんな時間から居るのかよ。

「どうかしました?」

佐々木さんが立ち止まった私を振り返り言う。

「いえ!」

私は深呼吸し、にっこり顔を作る。

「おはようございまーす。先日はお騒がせして申し訳ありません。」

笑顔。笑顔だ。


「あら、関屋さん、あの後大丈夫だった?」

と横井花恵。

「具合悪いって知らなくてキツく言って悪かったわ。」

と江本さん。

「自治会も無理しなくて良いのよ。市報配るだけだから、私が代わりにやってあげるわ。」

と川口さん。


はあ?ゴミ捨て場井戸端会議女子どもがえらい優しいし。次々と激励の言葉がかけられ困惑する。なにやら虚弱キャラになってしまっているらしい。


「いえ、与えられた仕事はちゃんとやります。お気遣いありがとうございます。」


佐々木さんがにこやかな顔で割り込んでくる。

「おはようございます。皆さん、ここはゴミ捨て場の入り口なので、少しだけ横にそれて下さると有り難いです。」

救世主佐々木様である。


私がゴミを捨てていると佐々木さんがゴミ捨て井戸端女どもに囲まれてひまわりの様な笑顔で話している。

彼はチャーミングイケメンなのでもはやゴミ捨て女どもの格好の餌食だ。


横井花恵(31)HP36

川口八重(32)HP29

江本知子(24)HP41

佐々木蒼太(24)HP67 MP5


は?!?!MPあるんですけど?!


ええ。どういう事か聞きたい。聞きたいけど、全く関係なかった場合変人だと思われちゃう。

とにかく今は彼を生贄に置いてゴミ女から逃げよう。会釈して戻ろうとすると佐々木さんが追いかけてくる。


「関屋さん、倒れたって本当ですか?!大丈夫なんですか?!虚弱体質で働けなくなって家事手伝いしてるって聞きましたけど!」

こらこら勝手に尾鰭を付けるな。


「倒れたの一度だけなんですけどね。あまりあの人達の噂話間に受けない方が良いですよ?」

「えっ!そうなんですか?」

佐々木さんは驚いた顔。いや素直すぎか。


「囲まれて自治会に行かなかった事ガミガミ言われたんでちょっと頭に血がのぼってクラっと来ただけですよ。と言っても引き継ぎの日は父が行ってくれたし、家の誰が行こうがあの人達には関わりない事なんですけど、何でも言いたい人って居ますよね。」

私はフンと鼻で笑って見下した。


…っは!やってしまった!!!

だめだ。こういう奴だから私はダメなんだ。

こんないかにもピュアそうな男子に現実の過酷さを見せてしまうとはなんたる不覚!


「あ、いえ、忘れてください。すみません。」

「いえ。大丈夫ですよ。僕も似たような事よく考えてますんで。人付き合い面倒臭いですよね…。管理人代理なんでそういうのこれから学ばなくちゃいけなくて憂鬱です。」

と佐々木さんは笑った。


おうふ!誠実そうに見えるのに裏表のある人だった!!やばい。こんな虫も殺さぬ顔をしてなんて奴だ!はっ!そうか!無邪気だからこそなのか!あれだな?!ハンターな感じの主人公のあの善悪に無頓着な感じの…すみません言い過ぎました。普通にそんな奴実生活に存在しません。


「僕が正式にここを運営するなら外部に委託したいですけどね。それはまだ先です。」

「そういう選択肢もあるんですね。」

「ですが管理費は高くなりますね。」

なるほど。そういうものなのか。

でも良かった!裏表ある人からお金せしめなくて!!!実はちょっと揺れたんだ!


『イベント 井戸端会議と佐々木蒼太 ラックビーズ アイテムボックスに収納されました。横井花恵好感度アップ 佐々木蒼太好感度アップ』


はあ?!?!


横井さんの好感度が上がり続けている件。

「どうしました?」

「いえ!鍵を部屋に忘れて!早く行かないと父が仕事に行く時間なので!」

「じゃあ急がないと!」


家に戻ると鍵は閉まっていた…まじか…。


『ボーナスイベント発生 階段で一階まで降りる』

はあ?!ここ8階だよ?!やる訳ないし!


『…報酬ウエスト-1センチ』

やる!!やります!!!

必死で非常階段を駆け降りる。一階まで来て深呼吸。からのクリーン。

『報酬ウエストマイナス1センチ 階段昇降技能』

階段昇降技能wwww

「余裕だった。これで1センチとか毎日でもやるわ。」

『今回限りのボーナスイベントです。ですが毎日やれば確実に引き締まりますよ!体力を付けて異世界生活を楽しみましょう!』


よし、日課にしよう。外に出なくて良い分公園ジョギングよりハードル低いわ。胸が痩せなくてウエストだけ減ったのは有難い!


「関屋さんどうされました?」

「お父さん仕事行っちゃって締め出されちゃったの。」

「分かりました。開けに行きましょうか。」

ちなみに大家がマスターキーを持つか持たないかはマンションによって違うらしいよ?


「今度から鍵は持って出て下さいね。」

「ご迷惑おかけします。」

「では僕はこれで。」

佐々木さんは眩しい笑顔で去っていった。


いや、あのひまわりの笑顔に騙されてはいかん。裏表ある人っぽいから迷惑かけない様にしないと!犬に襲われた時だってチッ!避けろよ!とか思っていたに違いない。

『莉緒さんは極端ですね。』


私は洗濯とリビングの掃除をしてから炊飯器にカレーチキンピラフをセットして異世界に来た。家には米と玉ねぎと鶏肉と卵しかないのだ。しまった!オートミールにすれば良かったか?!オートミールはめっちゃ手軽なのだ。米に比べて消化が悪いのでエネルギー効率は良く無いが調理にかかる時間効率はめっちゃ良い。しかも安い。


アイテムボックスに入っているラックのビーズ、本当にビーズだった。鑑定すると装飾品作成や錬金術の素材と書いてある。これで作るとラックが上がるアクセサリーができるんだとか。ビーズだけでは何もできないので一旦戻ってインターネットでナイロンコートワイヤーやチェーン、ニッパーとか金具類を購入した。


そしてお次は新しく現れたドアから向かう。

農村アトソーヌに向かえとのこと。

小道を鑑定しながら歩いていると、なんと猪が。いや待って!怖いって!!

めっちゃ突進しようとしてるんですけど!!

アースウォール!ぬりかべー!!!発動!

頭の中で念じると顔が描かれた土壁が。

「どっすん!!」

ぬりかべーにぶつかった猪の頭に顔が書かれた四角いとげとげの岩が落ちた。


「最高か!!」


どっすんとぬりかべーを消すと猪は瀕死。

「えーと。えー、土でいいや。リヤカー出ろリヤカー!発動!風で運べ!!発動ぉ。」

発動言うの地味に面倒くせえ!

『発動の意思があれば言わなくて良い様に設定しましょうか。』

「おね。」


リヤカーをひいていくと農村が。

「あのーお。こんにちはー。さっきそこで猪やっつけたんですけどー。」

農村から人がわらわらと出てくる。

「お嬢さんが暴れ猪を討伐したんか?!」

「まあ、はい。そうですね。土魔法で。」

「大魔導士様じゃあああ」

そんな馬鹿な。なんで大魔導士。

『実力的には大魔導士ですね。MP的には魔王です。』

魔王とかやめてww


結局解体してもらっているうちに村長に会いに行く事に。村長さんにめっちゃお礼を言われる。解体費用は要らないので、討伐報酬は野菜で勘弁してくれとの事。えぇ。善意かと思ったのにそういう事かよ。解体とかできるっつうの。別にいいけどね…。


『先取り報酬 イベント暴れ猪討伐 錬金術 アトソーヌ村長ソイモン好感度アップ』

はあ?!イージーモードかよ!

『イージーモードです。』

肯定された!!!


魔石をゲット。皮はいらないので売ってここの貨幣を手に入れた。猪の肉の一部を渡してお野菜をたっぷりとオリーブを大量にリヤカーに入れてもらった。やった!


ついでにお野菜の種と小麦を30キロ貰った。

小麦とかもらっても。そしてお野菜の種とか貰ってもなあ。世話したくないんですけど。


超イージーイベントを終わらせてはじまりの部屋、拠点に帰ると、通知が。

『イベント オリーブオイルを作ろう』

『イベント 小麦粉を作ろう』

報酬は?

『オリーブオイルと小麦粉』

えぇ…。そんなの買うし。まあ良いけどね。やるけど。ゲームだから。


錬金術で挽けるらしいので20キロは白い小麦 10キロは全粒粉にした。小麦麩は痩せるとか聞くけど100gあたり290Kcalもあるのだ。しかも食物繊維だらけでエネルギー効率がとてつもなく悪い。

私はこれの使い方が分からないので農村に売るつもりである。

オリーブオイルは土魔法の瓶に入れた。

『報酬 食用オイルアドバイザー資格』

また謎の資格を得たww小麦粉ではなくオイルw

『莉緒さんがオイルに関する様々な健康効果や美容効果にかなりの知識を持っていたからだと思われます。』


スマホを見ると、レシピ集なるものが。

「ていうかこれが報酬じゃないの?まだ殆ど解放されてない。条件あるの?」

『熟練度上昇 自力で作る 完成品入手 材料入手など様々』

卵焼きやオムライスがある時点でそんな気はしてた。


一旦地球に戻りリヤカーにふすまを入れて移動していると暴れ猪がwwやっぱりねwwwあの農村いつまで経っても救われないんじゃね??

『まあそうなりますね。』

何それ昔のゲームかよwww


始まりの部屋で寝たり起きたりしながら猪を集めた。美味しいかは不明だけどね!

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