【裏話39】星が流れる夜の決意
ループ5回目
莉緒がアオとリセット時以外会おうとしないのは意図的か?
『秘匿されています』
莉緒もしかして一週間ループの時と同じ状況を起こそうとしてる?俺もしかして失敗してんの?
『大丈夫。無理に下げなくてもこのままで良いよ。』
それを告知するって事は莉緒のメンタルやばいのか?
『莉緒はヤバくないよ。大丈夫。』
ならアオが俺に押し付けた事に反発してんだな?
『さあ?』
アオが苛立ってるのはそのせいか。
『アオは自業自得だからこれで良いよ。永遠とも話し合った。』
おい、アオが壊れるのは困るぞ。
『あっちは大丈夫。自分のイベントに集中して。』
「なあ莉緒。理不尽なのは分かるけど絆はあんま下げんなよ?」
「分かってる。今日何して遊ぶ?」
「何したらお前発散できる?」
「私は大丈夫。リューの好きな事しよ。」
「なら久々にリレー小説しようぜ。」
愛陽と夜闇も含めて4人でリレー小説をした。
「ちょ、夜闇、ネタに走るのやめてくれる?」
『何してもリューがいい感じに収めてくれるの楽しくて。』
「夜闇ほんとはそんな感じなんだ。」
『なっ!あれを真の姿と見紛うとは笑止!先程の我は世を欺く仮の姿である!』
「いやいや、無理がある。莉緒の前でも普段の感じで良いから。無理させてすまなかった。」
「え!坂本さんが厨二演技させてたの?』
『話し方がアオに似て腹立たしいからと制限していたらしいです。』
ちょ!なんで愛陽が知ってる!
「ふへ。」
おい、笑うな!
『報酬 四人でリレー小説 夜闇絆大幅アップ 莉緒 絆アップ 愛陽絆アップ』
「なあ、莉緒。そろそろちゃんと話そう。これからの方針と、凱参入をどこまで認めるか。それに、仲間の待遇について。」
「そうだよね。私が異世界リーダーだもんね。異世界参入についてアオに投げたのは良くなかったよね。」
「だよな。俺が地球リーダーだから、俺達できちんと話し合わないと。」
『やっと情報共有する気になったね。』
『二人は頑固ですから。』
「なあ、お前凱に惚れたりしないだろ?アオにあいつは必要なんだ。」
アオは凱には貢がないし、一緒に居て心から楽しそうにする。アオにはそういう相手が必要だ。
『リューにもね。』
「絶対に好きにならないと誓うよ。最初から部下として出会うなら大丈夫。仕事の相手は好きにならないって決めてる。」
アオが歪んだのは、親がアオに与え過ぎた事と、莉緒がアオに権限を持たせ過ぎた事だ。
俺はアオが永遠と愛陽に地球パートナーを外され、俺や花さんに悪影響を及ぼす可能性があるとして、地球イベントの権利を奪われかけている事を莉緒に話した。
地球イベントで脱落すれば、アオの成長の機会はますます奪われるし、俺に対して逆恨みで何をするか分からない。佐々木夫妻参入のフラグも恐らく折れる。アオの更生は、一番優先度が高いんだ。
「分かった。私も勇者アオは絶対に手放したくない。リューも協力して。」
「ああ。勇者アオはエアリアルの主人公だからな。俺にとって異世界の次に大事なんだ。俺だって手放したくない。」
「ただいまー。」
帰ってきた二人を莉緒が笑顔で迎え入れる。
「おかえり。みつき、アオ。どうだった?」
「クリアしたよ。」
二人の引き入れは今はしない。異世界に呼ぶとしても明確に俺達の下だと国民に知らしめないといけないからだ。一番の課題は花さんの戦闘力の確保。彼女は魔法もスキルも戦闘向けのものは適正が低い。アオの魔道具頼りになるだろう。
「り、莉緒…。良かった。やっと笑ってくれた。」
「今日どうする?リセットせずに進める?」
「うん。4人で帰ろ。アオ連日寝不足だから、今日はちゃんと寝て明日に備えよ。」
みつきは言う。どうやら俺達が気になってあまり眠れていないらしい。
"リュー、昨日八つ当たりしてごめん。リューが莉緒に話してくれたの?"
"さあな。"
俺は縋るようなアオの目を避け、みつきの方を見た。
「スリープ開発しようか?闇魔法で。寝不足になる度絡まれたんじゃ堪らない。」
アオはギョッとする。
ずっと莉緒にせがまれていたのだ。これがあれば莉緒はアオに一日一度はきちんと会うだろう。
「ようやくなの?!早く開発して!アオ寝ないと病んでくるの。」
莉緒が捲し立てる。アオ病むと面倒臭いからな。
「そ、そんなの開発したら僕が寝る時リューにもかけるから。良いの?仕事差し障るよ?」
アオが心底嫌そうに言った。
こいつ、学習しない奴だな。
『多分抜け駆けを恐れている。』
俺は睡眠耐性もう持ってる。けど、良いわ。そんな子供みたいな態度取るなら面倒見切れねえ。
「じゃ開発しねえわ。俺は自己管理できるから。睡眠コンサルタントに任せるよ。」
俺が世話を焼きすぎると、こいつはいつまでも甘えて育たない。莉緒の負担を減らすには、アオ自身に問題を認識させ、立ち直らせるしかない。
『莉緒 絆ダウン』
はあ?!何だそれ!お前ら二人して散々俺に丸投げしやがって。
「ええっ!莉緒ごめん。ちゃんと寝るから絆ダウンは勘弁して?ね?」
莉緒はアオの正面に立ってアオを見上げる。
「今日は寝て。約束。」
「分かったよ。」
俺は地球の自室に帰ってリアタイ盗聴。
すぐに寝息が聞こえてきたから俺は安心して執筆ノルマを始める。
12時を過ぎた頃。
"リュー、星、行こ。リベンジ。"
"お前ほんと悪女だな。
"ふへ。ありがとう。"
"いや褒めてねーわ。"
俺達は少ない流星を同時に見られるまで粘り、アオが起きる前に自室に帰った。
明け方まで一緒に居たけどもちろん何もしなかった。
遊ぶ女なら掃いて捨てるほどいる。
俺にとって莉緒はそういう対象じゃない。彼女は、俺が守りたい異世界の鍵であり、アオを更生させるための希望だ。その希望を汚すことは、俺自身の敗北だ。




