第91話 クレープと、拗らせた勇者
私はみつきにメールをして計画書の話をすると、彼女は昨日出たレシピ考案のイベントでいくつか考えたので食べて欲しいという。とりあえず一人暮らしの坂本さんの部屋に集まる事に。
"三角関係とか修羅場とか噂になると嫌だけどな。"
"なったらなった時のことよ。"
"俺もうそれ経験したから大丈夫だわ。"
"何それ二股?酷いんだけど"
"二股じゃないわwストーカーだよw"
"モテてますアピールが酷いww"
みつきはウケまくりだ。
私はきちんと佐々木さんに了承を取ってから坂本さんの部屋に集まった。
みつきが作って来たクレープ三種、シュガーバタークレープ、キャラメルアーモンドクレープ、ローストビーフクレープには、トッピングにはアボカドダイス、オパリーヌという極薄の飴、カスタード、砕いたパイ、カラメルソースを選べる。三段階の値段設定で客層を広く、おかず系で男性のハートも掴むらしい。
弁当に関しては、猪の角煮丼、唐揚げ弁当、鮭弁当で、白ご飯ともち麦ご飯を選べる。
「アーモンドは先にキャラメリゼしてあるの。もしイベントならライバルも居るから他との差はつけていかないと。」
「出店場所によると思うけど、オフィス街なら弁当、イベントとかならクレープかな。」
坂本さんが食べる手を止めて言う。
「調理器具の事もあるしなあ。肉串だけでは弱いと思ったから弁当にしたんだ。弁当は作って行って売るだけ、厨房はのじまんちで申請して良い事になった。」
肉串とカステラはみつき参入前だものね。
クレープは練習が必要らしいのでお弁当にしようという事になり、そのつもりで書類を作成した。
「莉緒の文書作成能力が素晴らしいんだけど。さすが元OLさん。有能だったんだね!」
「そう?私仕事できないって言われ続けてたんだけどね。最近スキル補正が凄くて。」
「おい違うぞそれ。スキルは適正が高いと出る。関屋さん多分誰かに陥れられたんだよ。」
「ええ?ほんとに?」
「てか関屋さん呼びなの?」
「そう。人前でだけ付き合ってるアピール。噂対策にね。」
私達は、噂のせいで佐々木さんの地球フラグが折れて坂本さんが仲間入りした事を話す。そして異世界で何とか旦那さんフラグで勇者アオを繋ぎ止めた事を言う。全ては家を作った佐々木さんの功績だ。
「へー。二人は運命のカップルなんだ。」
「そう。アオと関屋さんは運命のカップルなんだ。なんたって勇者と大魔導師だからね。」
「私は両思いだと思ってたんだけどね。けどなんか異世界の為だったみたい。」
「根に持つなって、ちゃんと両思いだから。」
"みつき、この部屋盗聴器あるから意味深な事言うな。"
"うっわ!怖っ!"
"違う。俺が絶対疑われたくないから自分から申し出た。俺魔法とスキル失いたくない。"
"確かに私もスキルもっと覚えたい。勇者アオの方針に従うよ!"
坂本さんは脅されてることは隠す事にしたらしい。アオへの不信に繋がるから?
『いえ、脅された理由を聞かれたら困るからですね。単なる嫉妬が理由だと言えば莉緒は本当の事を暴露するでしょう?』
するね。佐々木さんは意味なく脅迫も盗聴もしない。みつきにそんな誤解されたら嫌だもん。信用されないのは、彼自身が蒔いた種だよ。
『立場上なかなか挽回の機会が無いのは可哀想ですがね。』
「根に持つって何?」
「何だろ?分かんない。」
「ププッww聞く?」
「もう、やめて?」
「じゃあ雑談やめて書類作ろう。」
「そだね。」
"で、ほんとのところは?"
"誘う前からキス拒否宣言"
"ちょ!"
"えっ!何それww悲惨ww何で?!"
"自分で泣かせてマッチポンプで抱きしめたのを反省して関屋さんからの二度に渡るサインにいち早くキス拒否"
坂本さんが暴露してしまった。佐々木さんと坂本さんは思ったより仲が良いらしい。マウントかも知れないけど。
『あの話でマウントはしないですね。莉緒が落ち込んだところに付け込まれたら大変です。』
"佐々木さんて変わってますね。"
『拗らせてるんですよ。もっと凄いエピソードありますよ?聞きます?』
"聞きたい!"
"ほんとにやめてw"
『リューに変装してキスしようとして撃沈。直後にアオの顔で中華そば食べながらプロポーズです。』
"うわw何で俺が巻き込まれたww"
"なんで中華そばww"
『キスは断って欲しかったそうです。中華そばはイベントにプロポーズさせられるのが嫌すぎて莉緒に八つ当たりらしいですよ?』
愛陽なんでバラした!!
『莉緒は即座に拒否、アオのやり直しプロポーズに対して目の前で永遠にイベント確認、棒読みOKで応戦しました。』
"やり直させて棒読みOKとかwwお前ら二人して子供かww"
"とりあえず二人がお似合いなの理解した。"
『莉緒は面倒臭い女筆頭です。』
"莉緒のナビが相当辛辣なんだけどww"
そこへみつきのナビ、ラテが割り込み。
『ナビの性格は主の性格に似るのじゃ。』
"のじゃロリwww"
"ござると来たらのじゃロリでしょ!"
"夜闇は全く喋らないけど、きっと厨二だよね?義眼が疼く感じのww"
『失礼な!!我は厨二ではないわ!!』
"我www"
"厨二だったwww"
"ちげえわ。うちのは面倒臭がって会話に参戦してこない癖に妙にサービス精神旺盛なの。"
""理解した""
坂本さんはサービス精神旺盛だ。
それは、自分が嫌われない為か、自分の計画を達成する為か?
『両方でしょうか。世渡りの一環で、誰しもそうであると思いますが。』
え!これが普通の事だとは驚きだ。
『普通とは言ってません。多かれ少なかれそういう面はあるという事です。』
夜闇やもなかが会話に加わらないのは情報流出を避ける為?
『それもありますが、永遠とアオへの不信感でしょうか。リューはあまり人を信用しないタイプで、花は探偵という職業柄守秘義務があります。ですがハナがお節介である事から、もなかに命令して必要以上に親密度を上げさせない様にしている可能性もあります。』
親密度の事花さんにはバレてるんだ…パートナー交代の事は?
『花は分かりませんが、アオには十中八九バレています。リューもおそらくは知っているからこそ盗聴させているのです。』




