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【裏話25】善意に縋るビビり

坂本隆二(リュー/香坂流星)

『各キャラのメンタルが弱ってる時ナビが主の意に沿わぬ行動する事を認められる。安全装置の様なもんだよ。』

いや、マジでほんと勘弁してくれる?

このタイミングでくっつけようとされるの困るんだわ。俺には俺の計画があんだよ!


聞くところによると、異世界では従魔ノッテがアオにべったりで今までもチャンスはあったのに機会を逃してきた。その頃から時々サインはあったのに何とこいつはそれをフル無視してきたのだ。


アオは同居しながら莉緒に一切手出ししようとはしなかった。莉緒の突き放しに遭う度こいつのビビリは深刻化していく。


そこへきて先日のノッテ緊急イベントだ。あの日の盗聴記録を聞くに、莉緒が早くアオとの距離を詰めようとして、ノッテに言い聞かせ、マスター権限で問答無用でアオと破局させたというのだ。彼女はおそらく、俺に惹かれる自分に危機感を持っていて強硬手段に出た。

だがそのすぐ後に一週間ループイベントが来て、莉緒は俺に依存していく。


そしてループの後の莉緒と俺の距離感、地球組リーダー交代、そしてセクハラ情報。

それでアオはキスを二度も拒否したのだ。


"だって自分で傷付けといて慰めてキスとか、マッチポンプじゃないか。そんなの絶対に許せなかった。"

"お前な。それは自己満足だ。莉緒は強がりだから、もうあっちから誘ってこない。次は絶対にお前からいけよ?"


"セクハラで傷付いた人にそれはできない。"


"違うからな?莉緒が傷付いたのはセクハラじゃなく社内いじめと時間外労働だ。セクハラで傷付いたなら俺が誘っても飲みには行かないし、冗談でも思わせぶりして揶揄ったりしない。"


教習所に関してはレコーダー付けるから、車の教え方は俺のやり方を聞いて、クリアは自分でやれと伝えた。


"俺は莉緒のイベントを進めたく無い。理解しろよ!俺は魔法とスキルとエアリアルが大事なんだ。お前との決別だけは絶対にあり得ない!愛情アップの暴走は経験したなら分かるだろ?教習所イベントは途中までしか進めないから、クリアはお前がするんだ!"

"いや、連続イベントの報酬はでかいんだよ!僕が失敗した以上クリアできるのはリューしか居ないだろ!"


"それ以上にリスクがでかいんだよ!"


"だって明らかにリューを諦める為に僕を好きなフリしてる。"

"お前ら、ちゃんと話し合えよ。絶対そんな事無いって断言するよ。あいつは俺をアオの代わりにしてる現状が嫌でお前とイベント進めたかったんだ。"

"とにかく教習所は頼むから。"


『イベント 教習所接待で耐え忍べ 進行中』

はあ?!問答無用かよ!ほんとにメンヘラは極端で面倒くせえ!!!


俺はいつもの様に莉緒の左手を取り、異世界の分の盗聴の記録を抜き出すと同時に、愛陽に莉緒を通さずスマートウォッチにデータのみ送った。注意力が他に向いている時に提案して言質を取る方法だ。念話は無理だが俺から一方的になら愛陽を対象にデータを送れるという事を小説の共有の時に知ったのだ。愛陽は電子機器扱いだ。莉緒ではなく愛陽に送られたデータだから主の許可なしに削除できる。ちなみにおそらくだが、ナビ同士は主を通さずに情報交換ができる。



脳内タブレットで適当に流すが酷い。連続イベントに躍起になったのは分かるが女相手によくここまで叱責したな。

「怒ってるの?早朝からごめんね。」

「いや、お前に対しては怒ってないわ。けど不安にさせてごめんな。」

「平気。」

「のじまんち楽しかったよな。」

「うん。」

「なあ、花さんの悩みとか聞いた事ある?」

「無いよ。あの人悩みとか人に言わなさそう。」

「お前は花さんにも悩みあると思うのか?」

「当たり前でしょ?もしかして仲間はずれ気にしてる?」

「そうだけど、時間無限に関しては考え方分かれるからな。慎重にしないと。」

万が一暴走して莉緒に余計な事言われるのは困る。秘匿事項が知れると権利を奪われる可能性があるのだ。


俺は他愛もない話をしながら盗聴内容を自動ライティング小説で把握する。問題のキスおねだりを見るも、

一回目は泣いてたからだとしても、2回目の断り方、莉緒の突き放し攻撃と同じじゃねーか。泣かしてこれとかアオほんと最低だな。


『リューも割と最低だけどこれよりはマシ。』


うるさいわ。俺のはどうせループで記憶消えてるからいんだよ。この日どっちが時間権限持ってた?

『アオだよ。』

なら戻さなかったのが敗因だ。

『連続イベントが消えるのを恐れた可能性。』

実際消えるの?

『消えるのも消えないのもある。』

普通は一日で免許取得の全工程は無理だ。これは異世界の大型イベントに当たるだろ。俺は消えないと踏んでる。そうだろ?

『権限がありません。』


「坂本さんと運転イベントをクリアしてフラグ立ったら困るんだけど。」

莉緒がいい感じに必殺技3突き放しをかましてきた。


「俺も困る。俺お前の弱ってるとこつけ込みたくはねーんだわ。でもお前分かりづらいぞ?あいつ後で気付いたってさ。察してちゃんとか超面倒臭えよ。俺そういうの無理なタイプ。」


俺はカウンター攻撃をぶっ放す。オーバーキル狙い。のつもりなのだが愛情ダウンが告知されない。夜闇、俺達の方針はフラグ折りで一致した。今すぐ愛情好感度ダウン告知しろ。


『メンタルが不安定になる為告知は推奨しません。フラグ折りなら非告知推奨。』

分かった。できる範囲でサポート頼む。


(ほんと失敗した。二度と泣かない。)

"なあ莉緒、アオがああなったのは莉緒が俺と比べたせいだ。けど俺とあいつじゃ恋愛経験がまるで違う。あいつに俺の真似は無理だよ。"

莉緒は無言で窓を見るけど、映った顔は苦しそうだ。

"莉緒、俺は昔遊びまくったから女の扱いに慣れてるだけだ。隠れ蓑を口実に好きでもないお前を弄んだのは謝るよ。"

莉緒は何も言わない。

『緊急時につき制限を解除します。リューの会話の方向性変更を推奨します。』

莉緒は話が早いと思っていたがメンタルによってムラがあるのか。

『愛情ダウンではなく絆アップ推奨。』

俺は莉緒が納得しやすい言葉を必死に考える。


「これからは《《仲間》》として誠実に向き合うからもっと頼れ。」

「分かった。仲間ね。」

『莉緒 絆アップ』


「俺、痴話喧嘩に巻き込まれてアオと決別したくない。もう仕事上でも必要な存在になってる。」

莉緒は外を見たまま不自然に明るい声で言った。

「よし、じゃあガンガンフラグ折って行こう。」

「うし。利害一致。やっぱり関屋さん話早くて助かるわ。よし受付行こう。」


イベント進捗を確認して今日の計画を立てる。彼女は職場で叱責され続けた経験がある。アオに運転中何度も怒鳴られた事ですっかり萎縮してしまっていたので、俺はおどけて言った。


「前後確認よし、座席よし、ミラーよし、シートベルトよし、おっけー。行こう関屋さん。」

「教習所か。」

「教習所だよ。」

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