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【裏話21】神隠しと、主人公の深層心理

俺は朝起きて自分に起こった事を小説で確認するのが日課だ。昨日長期イベントが終わった事で、小説スキル、ライティングスキルともに性能がアップし、自分の気持ちを客観的に知る事になる。俺は自分で自分の事が分析できてはいなかったらしい。


俺は莉緒との恋愛ごっこにハマっていた。対等な関係で、時には恋人、時には仲間として莉緒の歪んだ価値観を更生させていくイベントなんだと思っていた。


でも莉緒が変わっていく事に不安を感じて必死で愛情を下げた。

俺は、莉緒をダメにする。過去の女達と同じ、俺に媚びて俺に執着するダメな女になる。そう思った。


俺は莉緒の事を本気で好きなんだ。だから彼女をダメにしたくない。けど、俺このまま彼女と居たら多分止まれない。


"アオ、話がある。"

"何?リュー"

"俺、地球では魔法よりスキルの方が必要だから、スキルを作る能力を得たいんだ。スキルは熟練度により派生する。アオが動画で魔法を生み出せるなら、俺はライティングスキルで小説の知名度を使って現実に反映させたい。"


"どういうこと?"


俺は莉緒が有名なゲームの敵キャラの動きを魔法で再現させた話から、知名度により魔法でなくとも再現できる可能性について話した。


"それは僕も思うけど、策はあるの?"

"エアリアルは俺達の物語だ。そのスピンオフで、俺というスキルを作れる存在を作る。とにかく作品を読んでくれ。"


俺がアオのインベントリに送ると、永遠は怒鳴る。

『絶対に認められないでござる。これを許可するとは夜闇は全く役目を果たせていない!ナビ失格だ。こんなものがシステムに組み込まれて万が一リューが神隠しに遭ったらどうする!』


永遠は、話し方が途中から素になる程に憤慨した。初めて出たシステムという言葉。俺にはシステムを変える力があるらしい。だからマナビは俺を危険因子としてパートナーとは認めなかったのか。


『リューが自制できる性格なら俺はここまで苦労はしてない!自分だってアオを抑えきれていないじゃないか!親友だなんだと依存させられてそれでも監視されて縛られ、全く信頼されない事でこいつは前にも増して病んだんだぞ!アオの異常な束縛は莉緒やリューをダメにする!アオはリーダーに向いてない!現にシステムにも認められてるだろ!』


夜闇が永遠に食ってかかる。夜闇は今まで永遠とアオに不信感があったから最低限の会話しかしてこなかったのだ。


"リュー、監視については謝る。改善するよ。だけどこれの公開は認められない。僕に莉緒を託して消えるつもりかも知れないけどそうはいかない。今お前が消えたら莉緒が泣くだろ。お前が地球でのパートナーだってもうイベントで決まってるんだよ。"


アオが重苦しい声で吐き出す。だがそれはただの怠慢だ。勇者の癖にビビって逃げてんじゃねえぞ。


"はあ?そんな訳がねえよ。俺は隠れ蓑だ。お前が不甲斐ないから関屋さんは俺にハマったんだろ?メンヘラの扱いに困ったからって俺に丸投げしてんじゃねえわ。あんな面倒臭い女押し付けられてこっちは迷惑してんだよ!"


『アオ、この際計画を全て言う方が良いでござる。ここで話しても愛陽は納得する。』


"リューごめん、俺お前に隠してる事がある。この異世界転移の主人公は莉緒で、莉緒が望む通り話が進む。多分莉緒は初めて会った時からずっとお前の事が好きなんだ。だからお前は莉緒を盗聴したし、自治会幹部になった。僕に不信感を持った日にリューに会いたいと思ったから、あのイベントが起こった。"

"はあ?!夜闇、関屋さんがイベント発生させてんのか?!"

『権限がありません。現在その情報は秘匿されています。』

そう言ってからすぐに、夜闇は訂正した。

『緊急時につき秘匿が解除されました。』


"地球組リーダーが永遠から夜闇に昨日変更されたからピンときたよ。夜闇、地球権限と情報を全て持ってるならリューに教えてくれる?この転移は、彼女をニートや過剰な食事制限から更生させるためのプログラムなんだろ?彼女の望むものを与えて絶望から救う為の異世界転移。"


『イベントタイトルや方針は各キャラクターが望むものになりやすいが、本筋の方針は主人公莉緒の深層心理にアクセスして流れができていく。彼女自身の望みとは限らない。彼女の心を守り状況の改善に最適なものを得る為のイベントが起こる。この話はナビが認めたサポートキャラにのみ共有され、主人公への告知は禁忌。知らせた時点で全ての権利は消える。』


"リューが居なくなったら、莉緒の心は壊れるって事で間違いないよね?これは最悪の事態を防ぐためのプログラム。"

『そうでござる。既に莉緒はリューに依存している。今突き放すのは得策では無い。時間をかけて関係性を変えていく必要があるでござる。』

"莉緒の唯一の拠り所関屋豊が倒れる未来を改変する為僕が選ばれた。僕の地球の役目は終わったんだ。"

『俺一応言ったからね。ゲーム感覚で愛情を上げるのはお勧めしないって。二人は面白がって調子に乗りすぎて自爆したの。』


"俺がこの状況を招いたってのか?"


『それは違うでござる。元はと言えばアオが莉緒の忠告を聞き入れず莉緒のストレスが限界にきたからパートナーを外された。今リューが居なくなっても違う男が参戦するだけでござる。』


"最低だな!この更生プログラム。恋愛ってそんなもんじゃないだろ!"

『次来るキャラが莉緒と相性良いとは限らない。リューが異世界に消えるのは却下だよ。それすると多分俺は消滅させられる。リューは勇者でも大魔法使いでも無いからね。』


"…分かったよ。けど小説は内容を変えずに世に出したい。どうすれば良い?"

『なら作者のコメントでフィクションだと本文に書き加えると良い。俺はこの小説、エアリアルを盛り上げるのに一役買うと思うよ!』

"とにかくもう少し頑張ってくれ。別れるのはともかく消えるのはダメだ。"

"分かった。努力するよ。"


『莉緒は茶番を楽しんでるんだ。本気にさせないで二人でふざけるくらいがお勧めだよ。莉緒のやり方真似して。』

"莉緒のやり方って何?リュー。"

"あー。あれ、俺やなんだけど。"

俺が説明しようとしたら永遠に遮られた。

『禁則事項でござる。』


『先取りイベント 親友との情報交換 アオ 絆大幅アップ 友好度アップ 永遠 夜闇 絆アップ 全キャラクター脳内タブレット機能解禁未取得』


俺はコメントを書き加え、テオの泡沫を公開した。

『イベント テオの泡沫 報酬 文章読解・作成能力検定3級 日本語検定3級 校正技能検定中級 ライティングスキル熟練度微アップ』


ありがとうな。ちょっと冷静になれた。

『俺も他ナビと話さなかった事ごめん。方針としては、リューが莉緒とくっつく気が無いならまずアオの更生が最優先だよ。それまではリューが二人の面倒見るんだ。』

分かったよ。

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