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態度のデカいしゃべるヤツ

 猫耳魔石は他の霊魂魔石と一緒にシスター・フィリスのロザリオに収納された。

 別に、欲しかったわけじゃないけど。

 ただ何をどうすれば魔石に猫耳生えるのか、不思議だなぁって。

 ちょっと興味あるからじっくり見てみたいなぁって。

 あくまでも知的探究心がくすぐられただけで。

 本当にちょっと思っただけだから。

 仕舞われて残念とか思ってないから。


 魔王討伐が終わったら、神殿であれら霊魂の救済をするのだろう。

 ちょっと見学とかさせてもらえないだろうか。

 共同研究とかダメかな、貴重な症例だし…。


 未練がましく見ていたせいか、シスター・フィリスはロザリオを衣服の中に隠してしまった。

 さすがに女性の胸元をこれ以上注視するわけにはいかない。


「脇道に逸れてしまったが、本来の役目に戻るぞ。一旦外に出て、近距離から魔王城を破壊する」

「「「えっ」」」

 なぜか三人が固まった。

 ヒソヒソと密談が始まる。

「どうする?」

「本当に聞こえてないんだね〜。ちょっと意外」

「伝えるべきかと。情報共有は大事です」


 密談が終わり、代表して聖女が口を開いた。

「コホン、言いにくいんだけど…まだ、いるみたいなの」

「は?」

「人のね、声がするの。さっきからずーっと」

「は?」

「多分、魔石になりきらずに人格残ってる人がまだ魔王城の中にいるんだと思う。霊体なのか、実体込みなのかは分からないけど。結構強気のセリフが聞こえてくるのよね〜。『早くこっちに来い』みたいな。これ、無視しちゃダメなんじゃないかな」

「はあぁ〜???」


 他の二人を見る。

 勇者が頷く。

「『魔法使いなら話せばわかる。すぐ来い。今来い。ええい体が動けばこちらから出向いてやるものを』って言ってる」

 シスター・フィリスも頷く。

「些か態度が悪いので、悪魔の囁きかと無視していましたが、救いを求める霊魂である可能性も否定できません」


 嘘、マジで?

 まだいるの、しゃべるヤツが?

 え、外から魔王城ぶっ壊しちゃダメなの?

 しゃべるヤツ回収しないとダメ?

 しかもなんだか偉そうな態度?

 関わりたくないな〜。

 聞かなかった事にして外からバーンと…勇者が納得するわけないな。


「仕方がない、先にその声の正体を突き止めるとしよう」


 どうせろくなもんじゃないけどな。

 あーヤダヤダ、ゴーストなんて。

 ちょっと見に行って、やなヤツだったら拾わずに帰ろう。

 どうしても拾わないといけないなら、勇者に押しつけよう。

 うん、それがいい。


「で、その態度のデカいしゃべるヤツはどこにいるんだ?」


 三人が一斉に同一の方向を指差した。

 真下に。


 え、地下?

 それもかな〜り深いとこ?

 それって魔王城深奥部じゃねーの?

 深奥部にいて、話しかけてくる態度のデカいヤツって、それって…。


 魔王、なんじゃねーの?

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