表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/37

魔女っ子デネブちゃんの魔法実習

 曲がりなりにも教育専門家。

 デネボラの指導で勇者はメキメキと魔法の腕を上げていった。


 思い出したくもない魔女っ子体操。

(「フワフワの泡のボールがお手々の間にあるよ〜伸ばして〜縮めて〜はいフワ〜フワ〜」「フ、フワ〜」「…フワ〜」「俺はやらんからな!」)


 魔法の灯りを指先に灯したままで行う鬼ごっこ、ただし逃げながら算数の問題に答える。

 答えを間違えたり、制限時間内に答えられなかったり、問題に気を取られて灯りが消えたら負け。

 もちろん鬼に捕まっても負け。

(「ゾンビ3体スケルトン5体ゴースト2体現れた。脚の数は全部で幾つ?」「ゴーストって脚あったっけ?」「あったような気がする」「残念、ないんだよ〜」「あるやつもおるわ! いい加減な事言うな!」)


 風魔法を使った風船運び競争。

 風船を浮かせたまま先にゴールしたほうが勝ち。

 ただし走らず、スキップで進まなくてはならない。

(「スキップなんて子どもの頃しかした事ない」「足がもつれる、膝が崩れる!」「霊体と肉体の連動を促すのに最適な運動なんだよ。ダンスでもいいけどね〜。やる? うさちゃんダンス」「俺は絶対にやらんからな!」)


 …等々。

 5歳児だったら喜んでやるかもな、というメニュー。

 必死で喰らいつく二人、笑顔全開なデネボラ。

 途中で逃げさせてもらったが、気持ち悪くて蕁麻疹出そうだったぜ。

 十歳過ぎてからやるもんじゃねえ。


 それでも何らかの効果はあったらしい。

 3日間の集中トレーニングで、勇者と聖女は古代語魔法を強・中・弱の三段階で使い分けられるようになっていた。

「これならゴーストを破壊せずに天国に送ってあげられる?」

「うんうん、出来る出来る。勇者くん成長したね〜。頑張った子は偉いよ」

 ヨシヨシと勇者の頭を撫でるデネボラ。

 撫でられてる勇者は笑いつつも逃げ腰だ。

「魔女っ子デネブちゃんの出張講座はここまでだね。モモネちゃんも魔法上手くなったもんね。2人ともよく頑張った。偉い偉い」

「ありがとうございます、嬉しいです」

 聖女は頭撫でられてもさほど嫌がっていない。

 じゃあね〜、と手を振ってデネボラは去っていった…。



 …かと思ったその日の夜。

「なんで俺の部屋にいるんですか」

 夜這いだったらスッゲー嫌。

「聞く事聞いたらすぐ帰るわよ」

 デネボラは数センチの距離にまで顔を近づけてきた。

 そして低い声で、

「あの子おかしいわ。霊体と肉体のバランスが悪すぎる。普通に生きてたらあんな風にはならない。魔法のない世界から来たなら尚更よ。霊体神経は肉体制御に特化してなきゃおかしい。実際、体は普通に鍛えられて健やかな発達を遂げてるわ。なのに霊体の方は体との連携が著しく低い。まるでろくに走った事もないみたいに。ねえ、どういう事かしら」

 魔女の目が怪しく光る。

「あの子の体、別人の物なんじゃないの?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ