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第十九話 戦闘開始

私を乗せた戦闘機型の宇宙船は地球へ向かって発進した。


ぐんぐんと速度が上昇していくことを体にかかる重力によって体感した。


今は火星の近くにいるはずだが、ここから地球までどのくらいかかるのだろう。


外の景色は全く変わらない。真っ暗なままだ。建物が流れて行くわけでもないからおおよその速度を推しはかることすら難しい。


まあ、焦っても早く着くわけではないから落ち着いていればいいのだが、

しかし一つ問題がある。


私は自分の身体を見下ろした。

つるりとした肌のところどころに痛々しい裂傷が刻まれていて、熱によって焦げ付いた血がそれを塞いでいた。

宇宙人たちの熱光線によってやられた部分だ。


この傷がなかなかに痛む。幸い出血しているわけではないから長時間このままでも大事には至らないかもしれないが、できる限り早く処置したい。

そもそも水も飲んでいないから、喉も乾いているし、

2,3日ならもつかもしれないが、地球まで1か月もかかるとなると私はこの小さな戦闘機の座席の上で死に絶えることになるだろう。


どのくらいで地球に着きますか、と言葉の通じない相手にどう伝えたものかと考えながら前の座席に座る宇宙人を後ろから眺めていると、なにやら焦っている様子が見受けられた。


どうしたのだろう。


すると突然、彼は後ろを振り向いた。


私の、さらに後方を見ている。


私もそれにつられて後ろを振り向いた。


透明の強化ガラス越しに後方の景色が見える。

真っ暗な中、一つの光がきらっと光った。



次の瞬間、どぉおおおおおおおおん!! という衝撃が機体を襲った。

私は壁に打ち付けられた。

シートベルトがぐぐっとお腹を引っ張る。


即座、ウォーンウォーンウォーンという警告音が鳴り始めた。



攻撃されている。


ドンドンドン‼ という衝撃が機体を揺らす。


機体が破損しかねないのではないかというインパクトが立て続けに続いて、

シートベルトだけでは心もとなくなった私は座面をぐっと掴んで体を飛ばされないようにした。


コックピットに座る宇宙人も焦っていた。

こめかみに汗が流れている。

彼は座席の両脇から生えたレバーをぐっと握り、だん!と前に押し出した。


すると機体が急旋回した。


窓の外でいくつもの光の筋が通って行って、それを避けるかのように機体が乱高下する。


光の線が止んで、機体の動きも止まる。

警告音が鳴りやんだ。


コックピットのモニターには遠くの映像が映し出されていた。

私たちが今乗っている戦闘機と同じ機体がこちらに鼻頭を向けて正対している。


相手の戦闘機の強化ガラスの内側では怒ったような宇宙人の顔が見えた。

私を助けてくれた宇宙人、つまり裏切者と、そして逃げた私を始末しにやってきたのだ。


モニターに映る遠くの戦闘機は、機体の両側からロケット砲のようなものを生やしていた。

そして、そこに光が充填されていく映像を私と宇宙人は汗をたたえて眺めるしかないのだった。


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