第十七話 ファッキンベイベーエロのためなら
六角レンチを持った宇宙人が私のことを見つめている。
私はスカートを一気に下ろした。
スカートが足の甲にふわりとかぶさって、生の足が露わになった。
私は足先をすっと持ち上げてスカートの円から出るようにして宇宙人の方へ歩み寄った。
ふとももの内側をすっと風が通り抜けていく。
少しの恥じらいをもって私は宇宙人の方を見た。
明らかに動揺していた。
灰色の頬を朱色に染めている。
私はそこでパタン、と手を合わせて
両目をぎゅっと閉めて
おねがい、と唇を動かした。
数秒経って、
恐る恐る目を開ける。
すると目の前から宇宙人は消えていた。
見回すと、戦闘機のコックピットに乗った宇宙人が
親指でくいっと後部座席を示していた。
歯をきらっと剥き出しにして、さわやかな笑顔を浮かべている。
私は地面に落ちたスカートを掴んで戦闘機に飛び乗った。
シートベルトを締める。
小刻みな振動が始まった。
翼を持たない戦闘機はゆっくりと旋回し始めた。
それと同時に部屋全体が揺れた。
戦闘機が旋回を終えて後ろを向くと、先ほどまで部屋の一面を構成していた大きな壁がなくなって、奥へと続く滑走路が現れていた。
戦闘機はぶおおおおと走り出した。
私は座席の横にある手すりを掴んだ。
滑走路に突入し、どんどん速度は上がっていく。
車輪を回すエンジンの音は激しくなり、
顔を前から抑えつけるような重力がかかった。
視界が全て線になって、
その線が全て集まる視界の先には、宇宙があった。
出口だ。
エンジンの音が無くなった。
戦闘機は宇宙に放り出されていた。
透明なドーム越しに真っ暗闇が映る。
遠く光る星々がきれいで、私はしばらく見とれていた。