第十六話 ノーブラロケットパンティーパンティー
柔和な曲線を描く乳房が汗の染みた光沢を放つ。
ぐっと足を踏み込むたびに揺れて光沢のシミが揺れた。
宇宙人の包囲網から脱出した私は細い通路をひた走っている。
セーラー服は見るも無残に破けて、乳房の下半分が露わになってしまっていた。
身体中が痛んでいた。
体の各所に裂傷が走っており、腕を振って足を踏み込むたびに体のどこかが痛む。
速度を一瞬緩めて何度目か分からない曲がり角を曲がる。
とりあえず今は逃げることが最優先だ。
私は大広間からできるだけ遠ざかるようにということだけ考えて、ただただ駆けた。
大広間から出た直後に私を出迎えたのは平らな床や壁によってできた通路だったが、今走っているところは配管が張り巡らされた、なんというのか、「剥き出し」の様相を呈してきた。
居住スペースからどんどんと離れていっているのだろう。
「……あ」
私は立ち止まった。
曲がり角を曲がった先、行き止まりになっていたからだ。
通路を埋める壁の前まで歩いていく。
真正面に立ちふさがる壁の前にはその先に続く道の代わりとでもいうかのように、はしごが用意されていた。
上へ、ではなく下へ続くはしごだ。
床に空いた正方形の穴を入口としており、穴を覗き込むとかなり下の方まではしごが続いていた。
かなり長い縦型の通路だが穴の深いところに出口と思われる正方形に切り取られたぽっつりとした明かりが見えた。
私はその穴に飛び込んだ。
はしごをだだだだっと駆け下りる。
暗い竪穴をはしごで降りていく。
下方から差し込む光が徐々に強くなっていき、
下半身が光を浴びて、上半身も穴から出て、最後に顔を出した。
明るい。
整備工場のような場所だった。
無骨なレイアウトの大部屋に
たくさんの同じような乗り物が停めて合って、
ちらほら人影が見える。
それを私は高い位置から見下ろしている。
私は天井に空いた穴から壁に伝う梯子を下りていき地面に着地した。
ここでは私を追いかける警報は鳴っていない。
たくさんある乗り物はどれも戦闘機のような見た目をしていた。
特筆すべき事項があるとすれば、それは翼がないことである。
ロケットのような形状をしていて、後ろにはジェットエンジンが付いているのだろうか。
そうやって乗り物をまじまじと見つめていると、
整備服を着た宇宙人が近づいてきた。
六角レンチで私を指して何か話している。
あまり歓迎されていないように見えるが、私が今この宇宙船で捕縛対象となっていることは知らないようである。
わたしは、「ごめん、急で悪いんだけど、このロケットみたいなやつに乗せてくれない? それで、この宇宙船から外に出てみたいんだよね~」ということを、ジェスチャーで伝えた。
宇宙人は「ばからしい、何を言っているんだ」と返してきた(ジェスチャーで)。
宇宙人の真っ黒な大きな瞳は無感情で何を考えているか読み取れなかったけれど、
さきほどからわたしの胸を見ているような気がする。
指を乳房にするり、と添えると、宇宙人は顔を背けた。
使える。
色仕掛けだ。
私はスカートに手をかけ、チャイナドレスのように太ももまで裂けてしまっているそのスカートを一気に下ろしたのだった。