第十五話 ヒットエンドヒットエンドラン
学校の体育館ほどの広さがある大広間の隅で、
私は追い詰められていた。
広間では優に100人を超える宇宙人がこちらへ向かって敵意を向けていた。
セーラー服はそこかしこが裂けており、露出した肌からは血が滲んでいる。
じんじんとした痛みを感じながら、私は額に滴る汗を拭う。
前方からは宇宙人たちがじりじりと近づいてくる。
私をレーザー光線によって仕留めようと、その指先を光らせながら。
後方を振り返ると、剣を持ったたくさんの兵士が待ち構えていた。
彼らによってこの大広間の入り口は塞がれている。
逃げようと思っていた私にとってはかなりの痛手だ。
残る逃げ道は……!
私は目線を前に戻し、距離を詰めてくる宇宙人の合間からきっと遠方を睨んだ。
広間の奥に出口らしきものがある。
包囲網を潜り抜けてあそこに向かうしかない。
私は大きく息を吐いた。
ぐっと腰をかがめる。
後ろから剣を打ち鳴らす音と共に、突進する足音が発生した。
迫り来る軍靴の大群を耳にしながら、視線の先で光る宇宙人の指先に私は集中した。
その光が膨張し、レーザーが放たれる直前。
私は突進した。
空を切り裂いて殺到する別光線に逆行して私は駆け出した。
避けきれない光線が脇腹を擦る、が、それに構わず突進する。
宇宙人たちの合間を抜き去って大広間の中央を爆走する。
汗粒も置き去りにして、体についた血が後ろに剥がれていくような速度をもって私は走る、走る、走る。
体のあちこちがレーザーに撃ち抜かれる。
ビリビリと痛む。
構うものか。
出口はもうすぐだ。
引き伸ばされる視界の中で縦長の長方形の穴が見える。
そこに向かって突進する。
何人かの宇宙人が立ちはだかった。
私はスピードに任せて一気に距離を詰め、
ダンッと踏み込んで体当たりした。
宇宙人が吹っ飛んで宙高く舞い、道が開いた。
私は出口を一瞬で通り抜け、その大広間を後にした。
遅れてどさっと、宇宙人の体が地面に落ちる音がした。