第十三話 脱出
セックスしている宇宙人たちの部屋から抜け出し、
私はまた廊下を走りだした。
けたたましい警告音が鳴り響いている。
まだ姿は見えないが、遠く後ろの方からは大勢の兵隊たちが追いかけて来る足音がする。
きゅっと曲がり角を曲がる。
すると、一本道の先がこれまでのように曲がり角になっておらず、
向こうの方まで抜けているようだ。
どうやら大きな空間につながっている。
私は一本道を突っ切り、一気に大空間へ躍り出た。
一言でいえば、そこは娯楽施設のような場所だった。
ブランコのようなものや、大きな滑り台や、様々な遊具が置いてあって、
大勢の宇宙人がそこにはいた。
しかし彼らはその遊具でわいわいはしゃいでいるわけではなかった。
私に警戒した視線を向け、固まっている。
先ほどから鳴りやまない警告音から、そして宇宙人のものとは明らかに異なる外見から、私が無法者であることを理解しているのだろう。
私はそんな彼らには構わず、その大広間の中心を突っ切る。
多くの宇宙人がこちらに驚いた視線を向けてくるが、私は大広間の中央をわき目もふらずに爆走した。
しかし、この空間の出口はどこにあるのだろうか。
目線を彷徨わせて逃げる先を探していると、
じゅぅ!と足元から音がした。
立ち止まって視線を下に向けると、私の足の横で床から小さな煙が上がっていた。
どこから撃たれた。
後ろを振り向くと、向こうの方でひょろ長い宇宙人が指先をこちらに向けていた。
ビームを売ってきやがった。
そのひょろ長い宇宙人は、小さな宇宙人を守るように抱きかかえ、こちらを警戒するような仕草をしていた。
親が子を守っているのだと、直観的に悟った。
この大広間は一見すると娯楽施設のような場所で、おそらくこの宇宙船に乗る職員の家族が遊ぶところなのかもしれない。
私は冷や汗をかいた。
その大きな空間、学校の体育館よりも大きいその空間にいる数えきれない宇宙人たちが、その大きな瞳のすべてをこちらに向けていたからだ。
何人いるだろうか。子供も含めれば、100人くらいはいるかもしれない。
大人のように見える、長身の宇宙人たちは50人か40人か、そのくらいだろうか。
ぴかっといくつもの閃光が瞬いた。
ばっばっばっば、とステップを踏んでそれを避け、すとん、と着地する。
さきほど私が会議室で鎮圧した宇宙人たちよりは、ビームが弱い。
しかし、弱いとはいってもこの数だ。
私は大きく息を吐いた。
無数の光がその大きな空間で瞬いた。