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盲腸から始まる異世界生活①  作者: ごぴと
第一章:異世界への目覚め
9/10

捕獲

「火の魔法をなんとか覚えたし…次は食料を確保しないと。」

サトゥは、指先から生まれた火花を見つめ、新しい挑戦への決意を固めた。


せっかく覚えた魔法で、川魚に魔法を試し打ちすることにした。

「偉大なる火の精霊よ、我が内なる力と共鳴せよ。我が心の奥底から湧き上がる情熱の炎を、この世界に示せ。フレイム・アルセス・エンカント・アストラル・エンシエンド、我が意志と共に、紅き炎をこの手に宿せ!」


ジュッ

「あっ...?!」

放物線を描いて飛んでいった渾身の一撃は、その期待とは裏腹に魚に届くことはなく川の水面に当たって消えてしまった。


「あっ...」

一呼吸おいて、今度は先ほどよりも力無いセリフと共に、魔力の使い過ぎで意識を失い、顔から川にダイブしてしまった。



「ゥ...トゥ...」

遠くでアラームが鳴っている。

「あれけどスマホなんてないし、あれはケンさんか?」

「ア〇クサみたいで便利だな」

なんて思っていたら

「サトゥ!!」という声で意識が戻った。


「っぷはー、死ぬかと思った!」

危うく溺れかけたが、ギリギリで助かった。

くるぶし程度の深さしかない川だが、顔面からダイブして意識を失えば窒息死するには十分な深さだった。



気を取り直して、魔法は使わずに捕獲に挑戦することにした。


「水の流れを読むことが鍵か…」

川の動きに目を凝らし、魚の動きを探った。


「自然と同調するんだ…流れに逆らわずに。」ケンさんの声が心に響く。

静かに水辺に身を潜め、川魚の群れをじっと待った。


「川のリズム…これが鍵なんだろう。」

川の流れを見極めながら、魚の動きを予測し始める。

慎重に石の陰に身を隠し、待ち構えた。


やがて、一匹の大きな川魚が目の前に現れた。

「これだ!」慎重に手を伸ばしたが、魚はすぐに逃げ去ってしまった。


「ぐぬぬ…でも、諦めるわけにはいかない。」

正直なところ、木の実や根っこにかじりつくのは飽きてきたのだ。


不慣れな手つきで何度も川魚を追いかけた末、重要なことに気づいた。

魚の動きに合わせて自分の動きを変えることが大切だと。

川の流れに耳を澄ませ、魚たちのリズムに身を任せるようにした。

すると、魚たちとの距離感が自然と縮まり、彼らの動きが読みやすくなってきた。


次に目をつけたのは、川辺の岩陰に潜む一匹の川魚だった。

そっと近づき、じっと待ち、タイミングを計って手を伸ばす。

水中の魚は速いが、今度は予測通りの場所に手を伸ばし、ついに魚をつかむことに成功した。


「やった!」

手にした川魚を見つめ、感動に浸る。


「ぐぅー」

そう元気よく返事をしたのは自分のお腹だった。

感動が涎に上書きされるような感覚に陥った。

挿絵(By みてみん)

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