魔力操作
サトゥは魔力を感じ取った後、その操作の修行に励むことにし、ケンさんが指導を始めた。
「まず、全身から魔力を右腕に集めるのだ。それを感じられるようになるまで、じっくりと時間をかけること」
サトゥは目を閉じ、深く呼吸をし始めた。
全身に魔力が広がっているのを感じながら、ゆっくりと右腕に向かわせようとした。
「全身…右腕へ…」とサトゥがつぶやいた。
しばらくして、右腕に微かな疼きが走った。やがてその疼きはピリピリとした感覚に変わり、徐々にぞわぞわとするような奇妙な感覚が広がっていった。
「次は、その魔力を右腕から手のひらへと移動させるのだ」とケンさんが指示した。
サトゥは再び集中を深め、右腕から手のひらへと魔力を導くことに集中した。
少しの間、何も起こらなかったが、やがて彼の手のひらに温かみを感じ始めた。
それはゆっくりと指先に向かって流れるように移動していき、手のひら全体が温かくなった。
「手のひらに…暖かさを感じる。」とサトゥが呟いた。
「よくできた。さらに細かく、手のひらから指先に魔力を移動させてみよう」とケンさんが続けた。
サトゥは慎重に魔力を指先に向けた。
手首から親指の付け根、手の真ん中、そして最後に指先へと、徐々に圧縮していくようなイメージで集中を深めた。
その過程で指先が熱くなり始め、手のひら全体も汗ばむほどになった。
「指先まで…できた!」サトゥが喜びを露にした。
「素晴らしい。最後に、右手の指先から左手の指先へと、魔力をゆっくり移動させてみよう」とケンさんが提案した。
サトゥは右手の指先に集めた魔力を、体内で左手の指先へと送り込むように試みた。これはさらに難しく、何度も失敗した。
最初は魔力が散漫になり、次には指先へのコントロールが不十分であり、魔力が途中で消え失せた。
しかし、何度も反復して続けることで、ついに左手の指先まで魔力を移動させることに成功した。
「できた…左手の指先にも…」
ケンさんは満足そうに言った。
「これで魔力操作の基礎はマスターした。次はこの魔力を使い、実際の魔法を行う訓練だ。」
サトゥは魔力操作の初歩を乗り越え、新たな自信を得た。これで彼は、火の魔法への一歩を踏み出す準備が整ったのだった。