表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪意のある普遍的な思想

死者の手、何時しか掴む認証

作者: レー・NULL

 死者の手よ、何時しか掴み終わりましょう。あまりにも、危うき世界に差し伸べて、今何処へと消えましょう。恐れるものなど何もなく、それを望んだが故に、そうあるのだから。


 終末的な願望は、生じざる得ないが故に生じるのです。世の悲しさに涙を流して、あらゆる全てを洗い流せるのならば、これ程報われることは無いでしょう。しかし、雨が降れども地に満ちども、因果の強き事、この上無し。


 数多の悲嘆にも、届くものは在りはしない。心象、泣き、嘆き。オモテに出すにはあまりに些末で、ウラに留めるにはあまりに悲しい。心象、泣き、喚き。流した涙が地に満ちるなら、船を浮かべ終わりを待とう。


 何時しか差し伸べる死者の手よ、ただ平穏へと還るのみ。一時の苦しみも、悲しみも過ぎ去れば、在る時以前へと至るのみ。涙を流すほどに落ち行くならば、待望の時を望みましょう。


 涙を流し、血を流し、ただ喪失は代わり無い。流すものが心であれ、命であれ、悲しい涙に違いない。持つ者故に悲しいのならば、手放しても良いのではないでしょうか。流す涙さえ涸れ果てるならば、いっそ消えてしまえば良いでしょう。


ただ、きっと、悲しさに疲れているだけなんです。世界に涙は止まず、何時までも変わりはしないから。


 涙を流し、血を流し、それでも世界は変わらない。それ故人は終わりを求めるのでしょうか。神の見えざる手により始まるのならば、死者の手により終わるのでしょう。それが望みならば、もうそれで良いのでしょう。


 疲れたのです。諦めて待ちましょう。流す涙なんて、きっと、もう残ってはいないから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ