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⑵『リアリズムの繁栄』
⑵『リアリズムの繁栄』
㈠
人生における、リアリズムは、其れが強烈な程、人生を充実させるものである。しかしまた、そのリアリズムが不幸に包まれていた場合、強烈な現象は、他者には異質に映るだろう。何故、自分だけが、といった、叫びにも準ずる訳である。
㈡
ただ、不幸だとしても、希望を先に見る訳だから、そのリアリズムは、やはり得難いものであると思う。そして、不幸だと言っても、幸福の価値を知っているとすれば、尚更、意味のあるリアリズムだろうし、人生の晩年には、その繁栄も、悉く、美しく映るだろう。
㈢
こう言った、人生に於ける、一つの価値というものは、単に価値があるという訳ではなく、リアリズムとして、価値を与えられるということだ。一回性に於いて、そのリアリズムは、その人だけの、何物にも代えがたい、真実なのだと、言えるだろう。