存在証明
無防備な足裏が
冷たいフローリングの
床に降りたって
朝ははじまる
窓の外はほの暗く
煌々と白い照明が
過ちみたいに
部屋を照らした
起き抜けの
ぼんやりとした思考は
徐々に組み立てられ
無感動に
段取りをつけはじめる
朝の支度はまるで
身体に染みついた
儀式のように粛々と行われ
私はたちまち
生活にのみこまれてゆく
始点でも終点でもない
朝は流れ
灰色の時間と
射し込む薄羽の陽
身を委ねれば
空白を重ねるように
佇む玄関で
行儀よく並ぶ靴に
滑り込ませた
まだ温もらない指先だけが
凛と私に
抗っている