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少し遡る事3日前カザードの事務室に緊急の報告が入った。
要件は港町ドゥラスに他国の新兵器を所持した部隊が入国申請をしてきております。どうされますか?」
「何?新兵器だと?それは一体どんな装備なんだ」
「はい報告によればスカイドラゴンを飼いならしドラゴンライダーの重装備部隊がいるという報告を受けています。他にも最近はやりの鋼製の船があるじゃないですか。その鋼の馬車のような乗り物も確認されたと報告されています。」
「なに⁉それは種族はどのような種族だったか?」
カザードは部下の報告にかなり心辺りがあった。それはクロス島だ。ついこの前行ったばかりでその時はドラゴンなどいなかったが鋼の馬車というのはあの島ならばそれくらいはやってのけるだろう。ましてドラゴンを飼いならすなど戦力を他国の外交大臣視察の時に見せるはずがないので隠していたのであればいたとしても不思議ではない。なにせあの島の人間はほとんどが魔法を使えるのだ。しかもモンスターと共存している島だ。ということは大陸にコウキクロサワが来ているのかもしれない。
「種族ですか?報告によれば代表は人族従者がエルフ、獣人、鬼人族、魚人、人族との報告です。割合としては魚人族と獣人族が多くを占めているという報告です。」
やはり代表が人族となればほぼ確定だろう。魚人族と人族はいなかったが難民を受け入れている島なので種族が増えていてもなんら不思議ではない。まして主人が海を渡るのであれば海の戦が得意な魚人が護衛として着くのは当然だろう。これはいかん。何をしに来たのかは知らないが動向を確認するためにもこれは行かなければ。
「分かったこれは緊急の案件だ。わしはすぐにドゥラスに向かうぞ」
「今からですか?これから会議があるのですが」
「そんなものはお主が出れば問題なかろう。どうせいつもの国境に関する話し合いじゃ。そんなどうでもいい会議よりも今は港の方が重要じゃ」
「そんな今から急になんて護衛の手配が出来ませんよ。せめて一日待っていただきたい。港では申請には時間が掛かると言ってあるのです。多少の時間は待ってもらえると思いますよ。」
グヌヌこういう時にすぐに動けないとは自分の地位が恨めしい。コウキの事だからきっと何も起こらないとは思うが万が一にも問題が起こってからでは遅いのだ。まして港町は血気盛んな船乗りや荒くね者が多い。バカな考えを起こして喧嘩を起こされたら最悪の事態になりかねない。カザードはもどかしさを感じながらもその日の仕事を終わらせ次の日からの仕事を全てキャンセルしてドゥラスに向かった。カザードを守るために急遽編成された騎士隊は突然の事に戸惑っていたが少数精鋭ですぐに編成完了し出撃してくれている。それから二日かけて港町ドゥラスに入ったのだった。
館にて
3日間の読み書きの授業を終えて申請を持っていると今日申請のために話し合いがあるということで応接室に来ていた。中に入って待っているとなんとカザード大臣が中に入って来た。
「あれカザード大臣じゃないですかお久しぶりです。どうされたのですか?」
さしぶりということで自分としては明るい感じに挨拶してみたのだがカザード大臣は相当に疲れている様子だ。さすがは外務大臣かなり仕事が溜まっているようだ。それにこんな所まで申請の話し合いのために来なければいけないなんて大変だな。
「いやのぅ他国から兵器を国に入れたいと申請が来ていると聞いてまさかとは思ったがやはりコウキ殿であったか。何もないとは思うが一葉何をしに来たのじゃ?内容によっては通すわけにはいかんからのぅ」
「兵器?まぁ剣とかは持っていますがそんな兵器みたいなのは特にありませんけどね。それと来た理由はステラの里帰りです。ミキの顔もご両親に見せてあげたいですかね」
「ミキ?とはなんじゃ?」
「あーカザードさんは最近島に来てなかったですからね。もしよければ連れて来ていいですか?可愛いんですよ」
「それは構わんが」
コウキはニコニコしながら部屋を出ていった。カザードは一体どういう状況なのかわからないままコウキの帰りを持っていると、奥さんを連れて戻って来た。しかも奥さんの手にはまさかの赤ちゃんが抱かれていた。しかもエルフ特有の特徴が見受けられる。しかも髪が黒い。まさかこの赤子は…
「もしやコウキ殿のお子が生まれたのか?」
「そうなんだよ!可愛いだろ?」
一気にテンションを上げながらコウキは立ち上がると奥さんから赤ちゃんを受け取ると抱いてカザードに見せてきた。数回しか付き合いはないがここまで興奮している姿は初めて見た。これは対応を考えなければまずい事になりそうだ。以前の報告でコウキは家族や島民に対する愛情がかなり深いと聞いている。まして自分の子供が傷つこうものならこの国が危ない。それにカザード自身も子供は嫌いではない。ここは素直に行こう。
「これは中々の面構えをしておるのぅ。全体的にはステラ殿の面影があるがその中にもコウキ殿の特徴もしっかり出ておる。特にこの口元なんかそっくりじゃな」
「⁉」
カザードが素直な感想を言うと何故かコウキは目の前で固まってしまった。しまった何か良くないことを言ってしまったのかもしれない。コウキの姿を見て動揺が出てしまった。
「カザード様すみませんコウキくんは大丈夫なんで気にしないで下さいね」
固めっているコウキの手からミキを回収したステラが動揺しているカザード大臣をフォローしてくれた。どうやら自分は間違った選択をしていなかったようだ。
「それはどういうことじゃ?」
「今までコウキくんはミキと自分が似ていないんじゃないかということを気にしていたんです。私はエルフですからミキにもエルフの特徴が多く出てしまって周りの人たちはみんな私に似ている私に似ているとほめていましたから。私はコウキくんに似ている所もあると言って慰めていたんですが、カザード様が初めてミキの顔をみてコウキくんに似ていると言ってくれたんですよ」
「なるほどそういうことじゃったのか」
カザードは安心したのかソファーにどっぷりと座り込んでしまった。いまだに固まっているコウキの様子を見るに相当気にしていたのだろう。コウキ時自分の運の良さに感心するものだ。カザードは今まで相手の様子を伺うことで外交においても有利な交渉を行ってい来た。それは商人の血が濃いサルキスも同じであったがコウキの様子は見抜けなかった。しかしさすがはカザード大臣だ。ここまでの地位に上り詰めるその運気そして観察力この目が合ったからこそミキという赤子の芯に褒めるべきところを見極めることが出来たのだ。これは今後クロス島と付き合っていく中で大きく関わっていくだろう。
「はっ!一体何があったんだ」
ようやく正気を取り戻したコウキは数秒の記憶がないのかきょろきょろとしていた。
「確かカザード大臣がミキを褒めてくれてそれが嬉しくて…」
「大丈夫かのぅコウキ殿しっかりとするんじゃ」
「あぁありがとうございます。えーとそれで申請はどうなりましたっけ?」
「それについてじゃがな先ほど兵器は特に持ち込んでいないと言っておったがなコウキ殿はドラゴンを引き連れてきたのじゃろ?しかもしっかりと調教された状態でじゃ」
「あぁバハムートの子供達の事か。確かにいますよ。背中に乗せてもらうらしいです」
「それじゃよコウキ殿はどういう風に考えているか分からないが普通ドラゴンを使役するというのはそれだけで脅威になるのじゃぞ。そして今回はドラゴンの入国に関する申請についてじゃが普通に考えてドラゴンを連れて来ていればこちらとしては兵器と判断するのは当たり前の事じゃろ。むしろこの港の軍が動いていないのが不思議なぐらいじゃ。いきなり兵器を持ち込んできたら処罰されても文句は言えんぞ」
確かにカザードの話は当たり前だ。実際にコウキだって村にバハムートが飛んで来た時攻撃したのだ。それが隔離されるだけなんて甘い対応だと思う。ここはサルキスさんの力が働いているのだろうが感謝しなければいけない。
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