僕は何故か病室・・・そして何故か美魔女が・・・
ん?
真っ暗闇の向こうに何か・・・
微かに光?
だんだん光が大きくなり・・・
今度は一転して辺り一面光・・・
眩しい。
もしやこれが・・・あの世?
何だか視界が、だんだんはっきりしてくる・・・
何だか・・・電球のような・・・
「!」
ここは!?
僕は・・・寝転がっている。
というか・・・ベッドというか、台の上に張り付けられている!
手足が枷のようなもので台に張り付けられ、身動きがとれない。
僕はあの化け物に食べられて、死んだんじゃなかったのか?
辺りを見回すと・・・
何だか病院の手術室?
僕は手術台の上に張り付けにされてるのか?
周りには誰もいない。この手術室には僕一人しかいない。
そして・・・まっぱ・・・
というかまっぱの上に、よく手術を受ける患者が着る、青っぽい、すぐに脱げやすい服着てる。
何でこんな所に・・・
「気付いた?」
ん?何か聞き覚えある声。
「ガチャ」っとドアが開く。
真っ白な白衣を着た人がこっちに向かって歩いて来る。
医者?
だんだん顔がはっきりしてくる。
「!」
鷹山さん!
よく医者がするような大きなマスクしてるけど、この美人そうな目は明らかに鷹山さんだと分かる。
なぜ白衣を着てるんだ?
「何故出たの!?」
「えっ?」
出たって・・・村のこと?
何で知ってるんだ?
「村を出たら・・・死が待ってる」
えっ?
でも鷹山さんは?
この人は一体何者なんだ?
白衣・・・
もしかしてこの人は医者?
村の中には病院は無い。定期的に外部から医者が来てくれる。
外部と接点があるのはその医者と、搬入業者。搬入業者の場合は厳重な監視が付くから、何か問題が起きることはほぼ無いらしい。
それに比べると、医者は村の中の各お宅を自由に回って診療するから、自由度が高い。
・・・それで鷹山さんは他の村人とは何か違うというか、自由な感じなのかな?
だんだん謎が解けて来た。
とは言ってもやはり謎だらけの人だ・・・
「村の掟を破ったからには、あなたは死刑」
「えっ?」
いきなり死刑と言われても、何がなんだか・・・
実感が沸かない。
えっ? 死ぬってこと?
まさか、そんな・・・
鷹山さんがいつの間にか何か持ってる。
あれは・・・メス?
医者が手術でよく使う・・・
「これから麻酔無しで、腹かっさばいて手術をします」
「えっ?」
「そして内臓取り出し、あなたの体をギザギザに切り裂きます」
な、何の事・・・?
本当に・・・?
「あなたからは獣臭がします。だから腹かっさばいて調べます」
えっ?
獣臭・・・?
分かった!
「僕はさっき、犬の化け物と格闘したんです。だからだと思います! だから・・・手術しないでください!」
「うるさい!! 本当かどうかはこれから手術して調べます!」
サーっと頭から血の気が引いた。
「や、止めて・・・死にたくない・・・」
「正直に白状しなさい。 あの村には動物はいないはず。ましてや化け物なんて・・・」
「本当なんです! 何でか分かんないけど・・・犬の化け物がいたんです!」
「あなたが化け物なんでしょ?」
「違います! 僕は化け物から逃げて来たんです。だから村を出たんであって・・・しょうがなかったんです」
「とにかく腹かっさばきます!」
「まっ、待って下さい! 僕は現にその犬の化け物に食べられたんです!傷があると思うんで見てください」
「食べられた? それならあなたは死んだの?」
「はい。そうなんです」
って、えっ?・・・
僕は何がなんだか訳分からなくなって呆然とした。
「あなた、こうして生きてるじゃない」
「あれ、でも・・・助かった・・・? のかな・・・?」
「食われたというのなら傷があるはず」
あ。
鷹山さんが僕の体を触っている・・・
僕の着ている青っぽい服の下に手を入れて、僕の肌を直接・・・
傷があるか確かめてるってのは分かってるけど、何だか・・・
ゾクゾクするというか・・・
エロを感じる。
あぁ僕は死を直前にしていながら・・・
僕は変態だったのかも知れない・・・
「特に傷はない」
「えっ?」
あれは・・・食べられたわけじゃなかったのか・・・?
あ・・・
また鷹山さんが僕の体を触っている。
「うわああああぁぁぁああ!!」
メスがとうとう、グサッと僕の腹に・・・
痛い!
目から涙がちょちょぎれて・・・
痛い・・・痛い・・・
「はぁ。はぁ」
息が荒くなって来ている。
メスを入れるために触ったのか。
「うわああぁぁあ!! うわっ! あっ! あああああぁぁぁあああ」
グサッ、グサッ、グサッと、やたらめったらメスで僕の腹を引っ掻き回してる。
痛い!痛い!痛い!
「ぐへっ」
血ヘドを吐いた。
あまりの激痛に・・・
・・・・・・。
「総純君、好きよ・・・」
?
気絶・・・してた・・・?
あまりの激痛に・・・
何だか幻聴を聞いたような・・・
さっきの激痛とは全く違う・・・何か・・・今までに感じたことの無い感触・・・
僕の唇・・・?
に、何か柔らかいものが・・・何だか全身に電流が走ったかのよう。
電流と言っても、全身を包み込むかのような・・・
何だか気持ち良い・・・
今まさに死のうとしているというのに、やっぱり僕は変態なのか?
いや、もしかしたら“死”ってこういうもんなのか・・・?
「!」
目の前に・・・
鷹山さんの顔!
鷹山さんが・・・僕にキスしてる!
何故!?
もう腹は感覚無くなって、どうなってるのか分からない。
鷹山さんが、微妙に唇動かしてる。
これがキスというものなのか・・・
こんな美人の方が・・・
僕はもうこのまま死んでも良い。
やっぱり僕は変態なのか。変態のまま死ぬのか・・・
ん?
何か鉄分臭い液体が・・・
ドボッ、ドボッと僕の口へ・・・注ぎ込まれている。
血!?
「ぐはっ」
僕は鷹山さんの唇から、自分の口を離した。
あ!
でもまた鷹山さんが僕の頬を両手で挟み込んで引き込み・・・
また口づけ・・・
ドボッ、ドボッとまた・・・
大量の血がどんどん注ぎ込まれる。
苦しい! 息が・・・
僕の口の両端から大量の血が溢れ出てる。
「ぶはっ」
もう・・・ダメ・・・
・・・・・・。