調査依頼
俺たちは起きて朝食を済ませるとギルドへ向かった。今日もいつも通りの討伐依頼をこなそうと受付に向かう。
「おはようございます」
「いいところに来てくれました。昨日のゴブリンの件なんですが、タロウさん達に林の調査に出でもらいたいんですがいいですか?」
「俺はいいですけど、スラさんは?」
「構わない。しかし、俺たちの実力でゴブリンキングを発見した際は戻ってくるがいいか?」
「もちろんです。ゴブリンキングが出るとしたら討伐体を組むことになる案件ですからね」
「なら、俺も異論はない」
「じゃあ、行ってきます」
俺たちは林へ向かった。
「スラさん、ここ数日ハイゴブリンすら見てないのにキングなんてあり得るのか?」
「あり得る。まず、ゴブリンキングは能力でゴブリン達の生殖能力と成長速度の増加をすることができる。故にゴブリンがハイゴブリンに至る段階で討伐されているだけでゴブリンキングはいる可能性もある」
「なるほど」
そのまま俺たちは林を進む。その感にもゴブリンが出てきて、歩いてから40分ですでに5体は討伐していた。
プルルン
「ん?何?新しい魔法を覚えた?」
「ほんとか?スラゴン?」
プルン
スラゴンは答えるように揺れると頭上に直径50㎝ほどの水球を作り出した。
「おお、ウォーターボールだな。スプラッシュは足止め程度だが、これならダメージを与えられるな」
プルン
そう言ってスラさんがスラゴンをなでるとスラゴンは嬉しそうに揺れた。
ちょっとしたサプライズもあるところで、俺たちは森付近にまで迫っていた。
「どうするスラさん、そろそろ森になるけどもう少し調べてみる?」
「ああ、まだ日も高いことだし続行しよう」
「了解」
俺たちは森に足を踏み入れた。その時だった。
「キャー!」
奥から女の人の悲鳴が聞こえた。
「スラさん!行こう!」
「ああ!」
俺たちは声がする方に向かって走り出した。
「ギギ」「ヴォヴォヴォ」「ギギ」
走った先にはボロボロの服を来た18歳くらいの女の人がいた。
「大丈夫か!」
「お願いします。助けてください!」
「任せろ」
そういうと、俺とスラゴンは女性を隠すように立ち、スラさんはゴブリンたちの前に立ちふさがった。
相手はゴブリン2体と体格のいいゴブリン。キングか?
「スラさん、でかいのは?」
「ハイゴブリンだ」
あれがそうか、普通のゴブリンが人の子サイズだとしたらハイゴブリンは大人サイズだな。
「サポートは?」
「不要だ、ハイゴブリンなら複数体でも相手に出来る」
そういうとスラさんはまず、ファイヤーピラーを唱え火柱をゴブリン達の中央に発生させる。突然の火柱に1体のゴブリンは息をひきとり、他は怯んだ様子をしている。その隙に一体のゴブリンの首をスラさんがはねた。これでハイゴブリンとスラさんのタイマンだ。
「ヴォー!」
仲間がやられ怒ったのかハイゴブリンはスラさんに襲い掛かる。スラさんはそれをスッと避け、ハイゴブリンの背中に斜めの傷を与える。
スラゴンはウォーターボールで水の弾を形成しいつでも打てるようにしていた。俺はというと女性を背後にしてただ立っていた……。でもな、俺の高い防御を生かしてるだけでサボってる訳ではないからな!
スラさんはゆったりと構えハイゴブリンの様子をうかがっている。一方で、ハイゴブリンは血が流れているせいか息が荒い。しかし、息の荒いままハイゴブリンは再びスラさんに襲い掛かる。
ズシャ!
スラさんは今度はハイゴブリンの動きを完全に見切り、首を切り落とした。
「ギー!」
どうやら他にも一匹、隠れて様子をうかがっていたらしいがリーダーの敗北を受け、そのゴブリンは逃げ出そうとした。
「逃がさん」
俺はそういうと、腰に付けたナイフをゴブリンに投げつけ、それは背中に命中した。
「ッギ」
「いいぞ鈴木!」
そういうとスラさんはゴブリンの首をスパッと切り落とした。
「もう大丈夫ですよ」
俺はおびえた様子の女性に話しかける。
「ありがとうございました」
そういうと女性は緊張の糸が切れたのか意識を失った。
「スズキよ、ハイゴブリンの報告も必要だし、何よりその方を休ませたい。一旦ギルドへ戻ろう」
「同感だ。とりあえず、ハイゴブリン達の討伐部位だけ剥がそう」
「ゴブリン系はすべて耳だ」
「OK」
俺達はハイゴブリン達の耳を剥ぎ取ると、スラさんが女性を背負い、そのままギルドへと戻った。