聖女の実力は如何に
洞窟付近に近づくとスラゴンが震えた。
「どうやらシーゴブリンがいるみたいだな。スラミ、どうする?」
「私がどの程度戦えるかみたいのよね?ゴブリン相手で大丈夫?」
「はっは、虫にビビっていたころとは大違いだな」
「ふ、幽霊に怖がるような奴に言われたくはないわね」
「なっ」
「はいはい二人とも痴話げんかはそこまでにしてね」
「「そんなんじゃない!」」
息ぴったりじゃん。
「とはいえ、本当に大丈夫か?」
「魔力Aをなめない方がいいわよ?」
「わかった、しかし、危ないと判断したら止めるからな?」
「ええ。死にたくないしね。じゃあ、行くわよ」
俺たちはスラミを先頭に進んでいく。
プルン
「シーゴブリンが5体だ」
「了解。」
「「「「「ギシャー」」」」」
シーゴブリンが現れた2体はこん棒を、2体は弓を持ち、1体は素手だ。
「シーゴブリンは爪に麻痺毒がっ、て、スラミには効かないか」
「ええ、私にとってはただのゴブリンよ」
シーゴブリンが通常のゴブリンより討伐ランクが高い理由がこの毒である。この毒は獲物の動きを鈍らせる。とある学者によれば海で魚を採りやすくするためにこのような進化をしたと言われている。
「無駄話するな、矢が来てるぞ」
シーゴブリンは弓を射てきた。しかし……
「フン、ウィンドウォール」
ブォーっと上昇気流がスラミの前に生じると矢は地面に叩き落される。
「トルネード」
槍のような形に圧縮された気流がゴブリンたちに叩きつけられる。
「「「「「ギギィ……」」」」」
スラミはあっという間にシーゴブリンたちを殲滅した。
「二人とも悪いんだけとどめは頼める?まだ貫通までは無理なの」
しかし、完全にゴブリンは伸びきっている。連続の魔法の行使。これも魔力Aのなせる技ということか。まぁ、俺も出来るけどね!
俺たちはとどめをさし討伐部位を剥ぎ取るとそのまま奥に進む。部位はもちろん右耳である。シーゴブリンの毒は非常に弱いものでシーゴブリンが死亡すると同時に体内から失われるので採集ができない。
そのあとも数匹のシーゴブリンたちが出てくるも相手にならなかった。
「スラミ強いね」
「なかなかだな」
「でしょ?スズキはわかってるわね。スラも意地張らずに素直に褒めなさい」
「聖女なんだからこれくらいで出来て当然だ」
「はぁ?」
また痴話げんかである。スラさんも言い方を少し変えればいいのに。
そんな二人を放っておいて進んでいくと。プルルンとスラゴンが揺れる。
「ん?どうやら親玉がいるようだぞ?シーゴブリンが9にそれよりも大きい反応が1らしい。まあハイシーゴブリンか?」
「どうする?さすがにスラミが全部はきつくない?」
「平気よ!と言いたいところだけど10体は厳しいわ」
「じゃあ、俺がスラミの援護しつつハイシーゴブリンを、スラさんとスラゴンでシーゴブリンを倒すのはどうかな?」
「それでいいと思うぞ。止めを刺せるのは俺とスラゴンがメインだしな」
「じゃあ、それでいきましょ」
まずは俺が黒霧でシーゴブリンたちを覆う。
「プルァラー!」
ハイゴブリンがすぐさま異変に気付く。ハイゴブリンには霧をかけておらずこちらに突っ込んでくる。
「サンドボール!」
「プ!」
「トルネード!」
「ルァ」
ハイゴブリンに話す時間を与える間もなくスラミのトルネードが当たる。しかし、一発では気絶することはなかった。やはり上位種、タフネスがあるな。
「やはり上位種なだけはあるわね」
「でもこのままいけば」
「ええ、油断せずこのままいきましょう」
「プルァ」
ハイゴブリンは手にしていたこん棒でこちらを襲ってくる。
俺はまたサンドボールで視界をつぶそうとした。
「トルネード!」
スラミがサンドボールに向かってトルネードを打つ。俺はそんなことをしたら砂が吹き飛ばされるのでは?と一瞬不安になったが、結果としてはそうならなかった。
スラミのうったトルネードは今までのものよりも広い範囲のものであり、サンドボールの威力を増加させていた。
砂とはいえ、粒子であり、強くたたきつれられればケガをするものだ。
シーハイゴブリンに直撃したサンドボールはシーハイゴブリンに擦過傷を負わす。
「トルネード!」
「トルネード!」
「トルネード!」
スラミはこれでもかと傷口に向かってトルネードを打ち込む。傷口はどんどんえぐれていき、大量の緑色の血液が流れ始める。
ハイゴブリンは躱そうとするもそれは俺の黒霧が視界を覆うことで動きは悪く無駄な動きが増える。するとそれに伴ってより出血量及び傷口が増えていく。
そして、次第に弱っていったハイゴブリンはやがて動かなくなった。出血死だ。
「ふぅ。終わったわね」
「ああ、面倒な相手だった」
「うむ、創意工夫あるいい戦いだったぞ」
「プルン」
すでに討伐を終えていたスラさん達は俺たちの戦いを見ていたようだ。
「フン。当然よなんたって聖女なんだから」
果たして聖女らしい戦いといえたかというと謎だが、実際この機転の良さは頼りになるだろう。
「改めてスラミ、よろしくね」
「よろしくね、スズキ」
俺たちは改めて握手をしてその場を後にした。




