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出発は香と共に

節分一昨日でしたね……なぜ昨日だと思っていたのか。恵方巻食べ損ねました。あと豆撒きも。笑

 気が付くと朝だった。王と別れてからの記憶があいまいだ。


 「スズキよ起きたか」

 「スラさんおはよう。うっ」


どうやら二日酔いのようだ。そんな俺とは違いスラさんはギルドのカウンターでコーヒーを飲んでいた。ああ、缶コーヒー飲みたいなぁ。


 「スズキも飲むか?」

 「頂きます」


 こちらのコーヒーは布ドリップ式だ。スラさんはまず湯を沸騰させたのち90度になる程度に冷ます。

 そして、粉を少し湿らす程度にお湯をかけ粉を蒸らす。コーヒーがぷくっと膨らむと同時に部屋いっぱいにコーヒーのいい香りが充満する。

 心なしか寝ている冒険者たちも心地よさそうだ。

 30秒ほど蒸らすとスラさんは数回に分けてゆっくりとポットをまわしながらお湯を注ぐ。

 こうして香り高いコーヒーが仕上がった。


 「どうぞ」

 「頂きます」


 俺は香りを楽しむと少しコーヒーを含む。丁寧に入れられたコーヒーはちょうどよい温度になっており深いコクと苦みを含んだ大人の味だ。

 缶コーヒーもいいがやはり入れたては格別だ。


 「スラさん最高だよ」

 「よかった」

 「そういえば昨日は誰と話していたのだ?」

 「ああ、それは外で話すよ」


 俺はスラさんに昨日の王都のことを話す。


 「なるほど、ではいつ頃ここを発つ?」

 「おれはいつでもいいんだけど」

 「では、今日だな。」

 「へ?今日?まあいいけどスラさん準備とかは?」

 「特別必要な物もないのでな心配不要だ」

「ほんとに?」

「何かあるか?」


俺は素直に二日酔いのことを告げた。スラさんはスライム故アルコールは大量に吸収しても無害らしいこのときばかりはスライムの体が羨ましかった。

 

 「なんだスズキ二日酔いか?」


 振り返るとダジリンがいた。


 「起こしてしまいましたか?」

 「いやあまりにいい香りがするもんだからね」

 「そうか、良かったら淹れようか?」

 「お願いできるか?」

 「承知した」

「でスズキは二日酔いか、ウソウはたべてないんだな?まぁ、スズキはウソウを知らんか?」

「はい、聞いたこともございません。」

「ちょっと待っておれ」


そういうとダジリンさんはギルドの奥に入っていきすぐに戻って来た。


「本来は酒を飲む前に摂取するんだが、二日酔いにも効くぞ」

「ありがとうございます」


ウコンのような物もらしいな。味は苦い葉っぱだ。

 スラさんがコーヒーを入れている間、俺とダジリンは今日の予定を話した。


 「そうか、シータウンへ。準備ができたら一旦ここにおいで先日までシータウンにいた冒険者に情報をもらっとくよ」

 「本当ですか?ありがとうございます」

 「はいったぞ」

 「うむ。ほうこれはおいしい。こんなうまいのは久々に飲んだよ」

 「スラさんのコーヒーは最高さ」

 「そういえばこのコーヒーはどこにあったんだい?」

 「ん?ギルドのものを拝借した。」

 「な、お前勝手に、はぁ、まぁいいよこんな旨いもん飲めたしね。でも帰りに淹れ方メモしときな、部下に覚えさせる」

 「委細承知した」


 まさかスラさんギルドの備品を使うとわ。大者だ。スラさんはコーヒーの淹れ方のメモを作成した。


 「これでよしと。スズキよそろそろでるか?」

 「そうだね」

 「また後でおいで」


 俺とスラさんはギルドを後にした。


 「スラさん旅に必要な物ってわかる?」

 「ああ。とりあえず食料があれば大丈夫だ。寒ければ毛布があると便利だが今は暖かいマントで事足りる」

 「じゃあとりあえず食料だけで大丈夫だね」

 

 俺たちはそのまま食料を買いに向かった。干し肉、米、調味料(主に香辛料)、ドライフルーツや野菜チップスのようなものも買う。

 そして、香辛料を狩っているときに黒い粉を見つけた。これは……


 「ご主人、この黒いのは?」

 「ああ、それはコーヒーの粉末さ。質の悪い豆でに出したコーヒーを乾燥させたものだよ。濾過しなくていいから便利なんだ」


 インスタントコーヒーだ!レギュラーコーヒーと違い香りはないが、濃さを調節することでカフェオレとかにすれば十分飲めるんだよな。それにこの世界でレギュラーコーヒーはないみたい?だし、これは見逃せない。


 「スラさんこれも買っていいかな?」

 「かまわない」

 「ありがとう!」


 俺たちはこうして買い物を終えると宿に荷物を取りに戻った。戻った頃には二日酔いはほぼ治っていた。異世界しゅごい。

 宿で荷物をまとめ、店員に挨拶をすると俺たちはギルドへむかった。


 「スズキさん、スラさん!」


 俺たちが向かうとそこにはビオさん夫婦がいた。


 「ビオさん、体調はもう大丈夫ですか?」

 「はい、おかげさまで」

 「良かった」

 「スズキさん達は今日ここを発つとか?」

 「そうなんです、シータウンへ向かおうかと」 

 「では、図々しいかもしれませんが、お礼と餞別を兼ねてこれを受け取ってください。回復薬です」


 ビオさんはそういうと500mlのペットボトルほどの大きさの容器を渡してくれた。


 「そんな図々しいだなんて、本当にいただいてよろしいんですか?」

 「いや、ほんとは餞別はお礼とは別に渡したかったのですが、まだ薬をつくれていなくて。まとめてなんて図々しいじゃないですか。ですから、スズキさん達は気になさらないで下さい」

 「で、では遠慮なく」


 そのあと俺たちは少しビオさん達と話すと二人とは別れた。そして、そのままギルド長に会いに行く。


 コンコンコン


 「スズキです」

 「入ってくれ」

 

 「失礼します」

 「よく来たな。早速シータウンの話だが、海の洞窟というところで幽霊を見たという者が多数いるらしい」

 「幽霊ですか?」

 「ああ、なんでも女の幽霊なんだとか」


 ファンタジーな展開だな。

 

 「まあそれ以外は通常通りだそうだ」

 「ありがとうございます。しかし幽霊か。スラさんは大丈夫?」

 「あ、ああ無論だ」


 あれ?スラさん少し詰まった?まかさ幽霊だめ?いやいやあの頼りになる男スラさんが幽霊なんか怖がるわけがないか。気のせいだな。


 「それではそろそろ失礼しますね」

 「ああ、王都に来たときは顔を見せるように」 

 「言われなくそうするんでご安心を」


 そういうとおれとダジリンさんはにやりと顔見合わせると、俺たちは部屋をでた。


 「スラ達じゃないか。大荷物だな?遠出するのか?」


 ギルドをでようとすると、ララとリリィに遭遇。


 「ああ、シータウンへ行こうと思う」

 「幽霊のうわさでもちきりのあそこか。幽霊はともかくあそこの海産物はうまいからな食べてくるといい」

 「特にカニが最高」

 「ほうそれはいいことを聞いた。絶対食べよう」


 「ゴブリン討伐の時はスラ達がいなければ苦しい戦いになっていただろう。私も助けられたしな。道中は盗賊に気を付けるんだぞ」

 「えっ」


 こ、これはフラグでは……


 「じゃあ私たちは依頼に向かうかな。お互い頑張ろうな」

 「ああ、ありがとう」

 「二人ともそれにスラゴンも達者でな」

プルン!


 こうして俺の挨拶周りは終わった。そして、俺達はついにシータウンへ向け出発した。出発したときに仄かに珈琲の香りがしていた。


お読みいただきありがとうございました。

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