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episode5

♂レン 20歳 Wolf

復讐の為参加。優秀な頭脳と恵まれた容姿を持つ。


︎︎♀マナミ 38歳

救済の為参加。高身長の美人。


♀メイ 17歳

救済の為参加。小柄でキノコ髪。占いco


♂ヒロシ 33歳 Wolf

金銭目的で参加。肝心な時にへまをこぐことが多い。


♂タケル 33歳

金銭目的で参加。工場勤務の褐色男性。


♂ミヤセ 18歳

娯楽の為参加。頭のネジが飛んでいてサイコパス。


【死亡】♂タクミ 25歳

銀髪のホスト。初日犠牲者。


♀キョウコ 18歳 Wolf

感情的な女子高生。拉致によって強制参加。占いco


【死亡】♂トミタ 45歳

拉致によって強制参加。初日の襲撃によって死亡。


♂キヨシ 38歳

教師。ガタイが良い。拉致によって強制参加。


♂トヨシマ 22歳

プロゲーマーで人狼ゲームに詳しい。拉致によって強制参加。


♂ヤマダ 20歳

肥満男性。拉致によって強制参加。


♂ハナダ 21歳

歯並びが悪い。拉致によって強制参加。


♀ミユキ 22歳

売れない地下アイドル。拉致によって強制参加。


season2 episode5

血の匂いが、まだ部屋に残っていた。


鼻を突くほど強烈ではない。

だが、呼吸をするたびに、確実にそこにあると分かる。


俺は、トミタの部屋を出て、廊下に立っていた。


深夜の施設は、異様なほど静かだ。

時計の秒針の音すら聞こえない。

まるで、音という概念そのものが、ここから排除されているみたいだった。


「ねぇ……レン」


キョウコの声。


低く、慎重で、いつもの刺々しさがない。


「なんだ?今日は……もう、寝たい」


俺は短く頷いた。

これ以上、ここにいる意味はない。


三人で、それぞれの個室へ向かう。

距離は近いのに、誰一人として言葉を発しない。


別れ際、

キョウコが一瞬だけ立ち止まった。


「……あんたさ」


俺の背中に、言葉が投げられる。


「前から、ああだった?」


足を止める。


「それは、どういうこと?」

「分かんないフリしないでよ」


キョウコの声が、わずかに揺れた。


「人を殺す覚悟がある目。

あれ、今日できた顔じゃないでしょ」


沈黙。


否定も、肯定もしない。


それが答えだと、彼女も理解したのだろう。


「……ふーん」


キョウコは、軽く息を吐いた。


「ま、いいや。勝てれば」


そう言って、部屋のドアを閉めた。


ガチャン、という音が、やけに大きく響く。


俺も、自分の部屋に戻る。


鍵がかかる音。

これで、夜が終わるまで出られない。


ベッドに腰を下ろすと、

身体の奥から、遅れて震えがやってきた。


怖かったわけじゃない。


――思ったより、何も感じなかった。


それが、一番の違和感だった。


目を閉じると、

ナツキの顔が、ふと浮かぶ。


怒った顔。

笑った顔。

何も言わず、背を向けた姿。


「……ごめんな」


誰に向けた言葉かは、分からない。

俺は疲れが急に襲ってきて寝付くまであまり時間はかからなかった。



朝7時を過ぎると個室のロックが、一斉に解かれる。


カチリ、カチリ、と

廊下の奥から、金属音が連なって聞こえた。


誰も、すぐには出てこなかった。


昨夜、何が起きたのか。

それを、全員が薄々理解していたからだ。


俺が最初に部屋を出て次に出てきたのはマナミだった。


俺の胸の奥から殺意が込み上げてくる。だがそれを押し殺して彼女に挨拶をした。


彼女も返事を返してくる。

声は落ち着いているが、

目の奥には、はっきりとした警戒がある。


その間に次々と他のプレイヤーも扉から出てきた。


廊下は、いつもと変わらない。


古いホテルの名残を残した壁。

擦り切れたカーペット。

消毒液の匂い。


――ただ一つだけ違う。


空気が、重い。


音が、吸い込まれていくような感覚。

足音さえ、どこか鈍い。


「……トミタさん、出てこないですね」


ヒロシが、小さな声で言った。


誰も返事をしない。


その名前が出た瞬間、

全員が同じ場所を思い浮かべていた。


トミタの個室。


「……確認するしかないですね」


キヨシが言う。


冷静を保とうとしているが身体は素直でドアノブを握る手に力がない。

誰かが、息を呑む音を立てた。


「……」


ノックは、なかった。


必要ない。

返事がないことは、分かっている。


キヨシはドアを押す。


きい、と

蝶番が、嫌な音を立てて鳴った。


部屋に入った瞬間、

誰かが、反射的に口元を押さえた。


「……っ」


血の匂いだ。


昨夜よりも、はっきりしている。

乾きかけた鉄の匂いが、部屋にこもっている。


トミタは、床に倒れていた。


仰向けでシャツの胸元は裂け、

赤黒く変色した血が、床に染み込んでいる。


目は、開いたまま。

焦点は合っていない。

昨日と何も変わらない。


「……嘘……」


ミユキが、震える声を漏らす。


メイは、その場に座り込んだ。

声も出ない。

ただ、目を見開いたまま動けない。


ヤマダとハナダは空っぽの胃袋から胃液が込み上げ、すぐさまに部屋の外へ出た。


「……これは……」


トヨシマが、しゃがみ込み、

距離を保ったまま遺体を見る。


触れない。

近づきすぎない。


「抵抗した痕跡がある」

それに続いてマナミもトヨシマの横でしゃがんだ。

「複数人……いや、少なくとも二人以上が関与してる可能性が高いわね」

「ええ、人狼も自分で殺さないといけないようです。」


冷静な分析。

だが、それが逆に現実感を強めた。


「……人狼は人を殺すのに少し躊躇したのでしょうか?」


マナミが、ぽつりと言った。


「どういう意味?」


「殺し方は洗いけれど、衝動的じゃないように見えます。だから、慣れてもいない」


一拍置いて、続ける。


「……理性がちゃんと保てていそうな人が殺した気がします」


俺は読まれているのか読まれていないのかやや戸惑いを隠しきれていないように思えた。

ヒロシのことを刺されているのか、俺が殺すときに躊躇してしまっていたのか自覚がないからこそだ。


だが村人はこう思っただろう。


――人狼の中に、

迷っている人間がいる。


それは、希望なのか。


答えは誰にも分からない。


人狼をこの目で見た床に横たわるトミタも、

もう何も語らない。


だが、その死体は、

はっきりと告げていた。


このゲームは、

昨日よりも、

一段、深い地獄に踏み込んでいると。



だが、その死体は、

はっきりと告げていた。


このゲームは、

昨日よりも、

一段、深い地獄へ踏み込んだのだと。


「……せめて、ベッドの上に寝かせてあげないか」


キヨシが、疲れ切った声で言った。


だが、誰もすぐには応じなかった。


「……別に、ここなら目にも入らないし」

「わざわざ、そんなこと……」


ミユキが、ほとんど聞こえない声で呟く。


誰も責めなかった。

正論でも、冷酷でもない。

ただの本音だった。


キヨシはそれ以上何も言わず、

深く息を吐くと、トミタの両足を掴んだ。


ずるり、と

乾いた音を立てて、遺体が床を擦る。


その光景を見て、

俺は黙ってトミタの頭側へ回り、肩を持ち上げた。


「……ありがとう」


キヨシが、短く言う。


「……人の心は、あるからな」


それが誰に向けた言葉なのか、

自分自身に言い聞かせているのか、

分からなかった。


二人で息を合わせ、

トミタの身体をベッドの上に運ぶ。


シーツが、血を吸い、

じわりと色を変えていく。


開いた目を閉じさせてやる者はいなかった。


それが、

ここでの「正解」だったのかもしれない。



やがて、朝の話し合いの時間が来る。


生き残った全員が、食事スペースへ集められた。


だが、

食欲がある者は、ほとんどいなかった。


皿に手を伸ばしても、

口に運ぶ前に止まる。

そんな動作が、あちこちで繰り返される。


――ただ一人を除いて。


「おいおい、食べないと頭回んないよ〜」


ミヤセだけが、

呑気にピザを頬張っていた。


油の匂いが、やけに鼻につく。


「……どこに、そんなもんあったんだよ」


誰かが小さく言う。


「冷凍庫」

「ちゃんとあったよ?」


ミヤセは口元を拭いながら、こちらを見る。


「なに?

美味しそうって目で見てるじゃん?」


そして、軽く肩をすくめた。


「食えば?

余ってるし」


俺は、反射的に視線を逸らした。


――こいつは、苦手だ。


いや。

得意な人間なんて、そもそも存在するのか。


「……そうだね」


沈黙を断ち切るように、

キョウコが立ち上がった。


「私も、食べよっと」


強がりでも、虚勢でもない。

彼女はこういう場面で、

あえて“普通”を選ぶ。


その動きを合図にしたように、

マナミも立ち上がり、キッチンへ向かう。


冷蔵庫が開く音。


それに続くように、

一人、また一人と簡易的な食べ物を手に取り、

席へ戻ってくる。


食事というより、

「動作」に近い。


静かな咀嚼音だけが、部屋を満たす。


――重い沈黙。


「……では」


トヨシマが、

空気に楔を打ち込むように口を開いた。


「占い師のお二人は、

結果を教えてもらえますか」


ここが、分岐点だ。


俺は、

キョウコがどう動くかに意識を集中させる。


「あたしは、トヨシマを占った」


キョウコが、即答する。


「ゲームに詳しい人の白黒は、

私目線だけでも確定させておきたかったから」


一拍。


「結果、白」


――いい。

理由も、対象も、申し分ない。


「……理にかなっていますね」


トヨシマも、納得した様子で頷く。


場の視線が、

自然ともう一人の占い師へ向く。


本物の占い師――メイ。


もし、ここで人狼を引いていたら。

その瞬間、詰みだ。


「……わ、私は……」


メイは、小さく息を吸ってから答えた。


「マナミさんを、占いました」

「……仲が良かったので、白黒を知っておきたくて……」


悪くはない。

だが、弱い。


理由が、あまりに感情的だ。


「……ありがとう」


マナミは、穏やかに微笑む。


「その気持ちは、嬉しいわ」


だが、その直後だった。


「いやいやいや」


ミヤセが、噴き出すように笑った。


「それ、浅すぎない?」


全員の視線が、ミヤセへ集まる。


「普通さぁ、

目立ってる人占わない?」


肩をすくめながら続ける。


「俺とか、トヨシマとかさ」

「ゲーム理解してる人間の色、知りたくならない?」


メイは、何も言い返せず、

俯いて小さく頭を下げた。


「……すみません……」


その様子を見て、

マナミが一歩前に出る。


まるで、

庇うかのように。


「……でも」


静かに、しかしはっきりと告げる。


「彼女の占い結果は、正しいわ」


一瞬、空気が凍りつく。


「なぜなら――」


マナミは、全員を見渡してから言った。


「私が、霊媒師だから」


ざわ、と

場に緊張が走る。


一斉に向けられる視線。


疑念。

期待。

警戒。


だが――


その中で、

一人だけ、まったく違う反応をしていた。


「――っははははは!!」


ミヤセが、

腹を抱えて笑い出した。


「ちょ、待て待て待て」


涙を拭いながら、立ち上がる。


「そんなストレートなの、逆に面白いわ」


そして、声色が変わる。


軽薄さが消え、

低く、粘つく圧が乗る。


「ざんねん」


一拍。


「霊媒師は――」


にやり、と歪んだ笑み。


「オレ、だよん」


その一言で、

場の空気は完全に壊れた。


スノボ楽しかったです。次回は2月20日頃 投稿予定

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