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episode4

♂レン 20歳

復讐の為参加。優秀な頭脳と恵まれた容姿を持つ。


︎︎♀マナミ 38歳

救済の為参加。高身長の美人。


♀メイ 17歳

救済の為参加。小柄でキノコ髪。占いco


♂ヒロシ 33歳

金銭目的で参加。肝心な時にへまをこぐことが多い。


♂タケル 33歳

金銭目的で参加。工場勤務の褐色男性。


♂ミヤセ 18歳

娯楽の為参加。頭のネジが飛んでいてサイコパス。


【死亡】♂タクミ 25歳

銀髪のホスト。初日犠牲者。


♀キョウコ 18歳

感情的な女子高生。拉致によって強制参加。占いco


♂トミタ 45歳

骨と皮の痩せ細びた男性。拉致によって強制参加。


♂キヨシ 38歳

教師。ガタイが良い。拉致によって強制参加。


♂トヨシマ 22歳

プロゲーマーで人狼ゲームに詳しい。拉致によって強制参加。


♂ヤマダ 20歳

肥満男性。拉致によって強制参加。


♂ハナダ 21歳

歯並びが悪い。拉致によって強制参加。


♀ミユキ 22歳

売れない地下アイドル。拉致によって強制参加。


season2 episode4


タクミが処刑され、

このゲームで初めての脱落者が出た。


それは、俺たち全員にとって、

想像以上の衝撃だった。


嗚咽する者。

耐えきれず嘔吐する者。

床に崩れ落ちて泣き叫ぶ者。

怒鳴り散らす者。


中には、異様なほど冷静さを保っている者もいたが――

それでも全員が、否応なく理解させられた。


これはゲームじゃない。

人が、確実に死ぬ。


深夜0時を過ぎると、

それぞれに名前の付いた個室からは、外へ出られなくなる。


ただし――


“人狼を除いては”。


「もう遅い!……あのおっさん、どこ行んの?」


ロビーで、キョウコが吐き捨てるように言った。


俺とキョウコは、

自由時間のうちにロビーで落ち合うと、あらかじめ口裏を合わせていた。

だからすぐに集まれたが、

もう一人の人狼――平社員のヒロシの姿だけが、まだ見えない。


キョウコはソファに腰を下ろし、

貧乏ゆすりを止めようともしない。


ただならぬ苛立ちが、その動きに滲んでいた。


そのとき。


――コツン。


階段を降りる、控えめな足音。


「ちょっ、遅すぎ!!」


キョウコの罵声が飛ぶ。


ヒロシは、明らかに怯えた表情で姿を現した。


「こ、こんなところにいたんですね……。

よ、よろしくお願いします……」


キョウコは舌打ちしたが、

俺は、あえて普段通りに返した。


「……来たならいい」


人狼が揃えば、話し合うことは一つしかない。


今夜、誰を殺すか。


厄介な人物を消すか。

それとも、あえて目立たない人間を消すか。


俺は、口を開いた。


「……俺は、マナミを殺したい」


キョウコが視線を向ける。


「アイツは常に冷静で、周囲をよく見てる。

頭も回るタイプだ。放っておくと、いずれ厄介になる」


もっともらしい理由を並べた。


だが、本音は違う。


ナツキを死に追いやった元凶――

双子の母親。


それを、この手で消したかった。


そして初日の襲撃は、

誰を殺してもゲーム全体への影響が比較的小さい。


だからこそ、

個人的な理由で標的を選ぶには、最適なタイミングだった。


「それはダメ」


キョウコは、即座に切り捨てた。


「……なんでだよ」


キョウコは、短く息を吐く。


「あの女は、私の対抗の占い師と仲がいい」


淡々と、だがはっきりと言う。


「初日の段階で、占い師と近い人間を殺したら、

私が偽物だって疑われる可能性が上がる」


……そんな理由か。


俺は、内心で呆れた。


命を懸けたゲームで、

人間関係なんて些細なものだろう、と。


そう言った瞬間、

キョウコが、こちらを睨んだ。


「……もし、家族が同じゲームに参加してたら。

それ、同じこと言える?」


言葉が、詰まった。


もし俺が人狼で、

ナツキが村人だったら。


理屈の上では、初日に殺すのが最適解だったとしても――

俺は、絶対にできなかった。


「……私は、占い師を偽った以上、

少しのリスクも避けたい」


キョウコは、感情を挟まずに続ける。


「分かるよね?」


俺は、視線を逸らした。


「……じゃあ、誰だよ」


判断を、キョウコに委ねる。


すると、これまで黙っていたヒロシが、

おずおずと口を開いた。


「……あの、プロゲーマーとか……

あの人、人狼ゲームに詳しそうですし……」


だが、それも即却下された。


「アイツは、詳しいからこそ思考が読みやすい。

むしろ、置いておいた方が都合がいい」


その言い切りには、自信がある。


「じゃ、じゃあ……

あの……ミヤセさんとか……」


キョウコは、深いため息をつき


「論外」


冷たく言い放つ。


「アイツは場を荒らす役。

それに、処刑のときに誰かを確実に殺してくれる。

生かしておく価値がある」


ヒロシは、完全に言葉を失っていた。


「……じゃあ、誰にするんですか……?」


キョウコは、指を二本立てた。


「トミタか、キヨシ。

二択」


今から人を殺すというのに、

そこにはほとんど緊張感がなかった。


拉致された直後の、

あの混乱と恐怖は、どこへ行ったのだろう。


トミタ。

最年長で、冷静。

場の空気を切り替える力があるが、無駄に前へは出ない。

常に俯瞰している印象だ。


一方、キヨシ。

良くも悪くも普通。

人狼ゲームにも詳しくない。


将来的に脅威になるのは、

間違いなくトミタだ。


それに――

俺たち人狼には、致命的な問題がある。


フィジカルが弱い。


キョウコは気が強いが、所詮は女子高生。

俺は線が細く、他の男性陣より力では見劣りする。

ヒロシは中肉中背で、気も弱く、

人を殺す覚悟もない。


自らの手で殺す必要があるなら――


体格の良いキヨシより、

痩せ、骨ばったトミタの方が、圧倒的にやりやすい。


「……トミタだな」


俺は、結論を出した。


「最悪、力でねじ伏せられる。

余計な怪我をしたら、それが人狼の証拠になる」


そう言ってから、

自分が“何を選んだのか”を、はっきり自覚した。


俺が、最終的に殺す相手を決めたということに。



そうして俺たちは、

深く息を吸いながらトミタの個室の前に立った。


ドア一枚隔てた向こうに、人がいる。

――まだ、生きている人間が。


「……もちろん、殺るのは男だよね?」


キョウコが、念を押すように言った。


軽い口調だったが、

冗談ではないと分かる。


正直、相手がトミタだとしても、

キョウコは足手まといになる。


この場で“使える”のは、

俺か、ヒロシしかいない。


「ヒロシ」


横目で睨みながら言う。


「お前の方が体格はいい。

この中じゃ、適任だろ」


「え……」

「む、無理だ……」


ヒロシの声は、情けないほど震えていた。


その瞬間、

腹の奥から、強い苛立ちが込み上げる。


「……金目的で参加したんだろ?」


低く、詰める。


「まさか、何もしないで目的が果たせるとでも思ってたのか?」


ヒロシは、何も言い返せなかった。


視線を泳がせ、

左右の手を絡めて、

自分の手の甲を、意味もなく撫で続けている。


現実から逃げる仕草だった。


「……明日は、俺がやる」


そう言ってから、言葉を続ける。


「だから今日は、お前が殺れ」


「……む、無理だ……」


その一言で、堪忍袋の緒が切れた。


俺はヒロシの胸ぐらを掴み、

そのまま壁へ叩きつける。


鈍い音。


そして、ポケットから折りたたみナイフを取り出し、

ヒロシの首元へ、刃をそっと触れさせた。


「……やるんだ」


声は、驚くほど静かだった。


静寂の中で、

互いに唾を飲み込む音だけが、はっきりと聞こえる。


「だ、だから……無理だって!!!」


次の瞬間、

視界が揺れた。


身体が浮き、

勢いよく俺は尻をつく。


そのまま滑るように、反対側の壁へ背中を打ち付けた。


「っ……てぇ……!」


状況を理解したヒロシが、

慌てて何度も腰を下ろし、頭を下げる。


「す、すまない……」

「……お前な」


俺は肩を掴んで引き起こし、

間髪入れずに、みぞおちへ拳を叩き込んだ。


「ぐっ……!」


ヒロシはその場で身体を折り、

壁に手をつき、荒く息を吐く。


「……やれよ」


低く、命令する。


「……わ、わかった……」


震える声で、ようやく答えた。


その一連のやり取りを見て、

キョウコは、珍しく言葉を失っていた。


両手をポケットに突っ込んだまま、

その場から一歩も動かない。


伏せられた視線だけが、微かに揺れている。


レンは、ためらいなく刃を抜き、

人を壁に押し付け、殺気を隠そうともせずヒロシを脅した。


――その変化は、

キョウコが抱いていたレンという人間の像を、

想定していた範囲を明らかに超えていた。


細く、冷静で、どこか理屈で動く男。

そう思っていた相手が、

一瞬で“殺す側”の顔に切り替わる。


その極限状態に追い込まれたヒロシが、

反射的にレンを突き飛ばした。


その次の瞬間、

レンは迷いなく腹部に拳を叩き込み、

逃げ場を断ち、殺しを強制した。


その一連の流れは、

まだ十代の女子高生にとって、あまりにも生々しく、衝撃的だった。


胸の奥を、

氷水で撫でられたような感覚が走る。


だからこそ、

キョウコは口を噤んだ。


不用意な言葉ひとつで、

次は自分にその刃が向くかもしれない。


その可能性を、

頭ではなく、本能で察してしまったからだ。


沈黙が、三人の間に重く落ちる。


誰もが分かっていた。

ここで言葉を交わす必要は、もうない。


決めるべきことは、すでに決まっている。


――やるか、やらないか。



「……行くぞ」


俺が低く合図をしても

誰も返事をしなかった。


でも俺は構いなくドアノブに手をかける。

冷たい金属の感触が、やけに生々しい。


背後で、ヒロシが両手でナイフを握りしめているのが分かった。

深呼吸をしているはずなのに、

呼吸は整わず、浅く荒い。


刃先が、小刻みに震えている。


「覚悟、決めろって」


振り返らずに言う。


「……わ、分かってますよ!!」


声は裏返り、

覚悟とは程遠い。


それでも――

ここまで来た以上、戻れない。


俺は、ゆっくりとカウントを始めた。


3。


ヒロシの息が詰まる音。


2。


キョウコが、無言で視線を逸らす。


1。


――そして。


ドアを蹴り開けるように、

俺たちはトミタの個室へ突入した。


――静寂は、ほんの一瞬だった。


部屋の灯りに照らされ、

トミタはデスクに腰掛けたまま本を開いていた。


ページをめくる音が止まり、

次の瞬間、俺たちと目が合う。


理解するまでに、そう時間はかからなかったのだろう。


「……っ!」


本を放り投げ、

反射的に椅子を蹴って立ち上がる。


そのまま、部屋の隅へ後退る。


「ど……ど、ど、どうして……!」


喉が引き攣った声。


「どうして、私なんですか……!」


分かりきった問いだ。

答えを求めているわけじゃない。

ただ、現実を否定したいだけの叫び。


トミタは、胸ポケットに手を伸ばした。


金属音。


――ナイフ。


多目的スペースから、

誰もが一度は考えた“保険”。


気づけば、

あの棚のナイフは一つ残らず消えていた。


「……来るなら、来なさい」


刃先をこちらに向ける。

だが、手は震えている。


恐怖を隠すために、

声だけを強くしたような構えだった。


「……や、やっぱ……無理だ……」


背後で、ヒロシの声が掠れる。


両膝が、はっきりと震えている。


「はやくやれよ!!」


キョウコの声が、空気を切り裂いた。


「びびってんじゃねぇよ!!」


言葉は強気だが、

その声の奥に、焦りが混じっているのが分かる。


「……う……うう……」


ヒロシは、泣きそうな顔で立ち尽くす。


俺は一歩、前に出てヒロシの肩に手を置いた。


「さっき俺を突き飛ばしただろ」


低く、言い聞かせる。


「一回だ。

一回、刺すだけで終わる」


「……そんな簡単に……言うなよ……!」


ヒロシの全身が、がくがくと揺れる。


「……さ、さぁ……!」


トミタが叫ぶ。


「来るなら……来なさい!!」


その瞬間だった。


キョウコの脚が、

ヒロシの背中を蹴り飛ばす。


「――っ!」


バランスを崩し、

ヒロシが前につんのめる。


それを見たトミタが、反射的にナイフを横薙ぎに振った。


刃が、空を切る。


ヒロシが前かがみになったことで、

紙一重で避けられた。


そのまま、

ヒロシはトミタの腰にしがみつき、

二人は床に倒れ込む。


鈍い音。


ナイフが、床を転がった。


「……っ!」


トミタが必死に手を伸ばす。


「もーー!!」


キョウコが叫ぶ。


「何止まってんの!?

早くトドメ刺せよ!!」


だが、ヒロシは動けない。


トミタに覆い被さったまま、

固まっている。


「……なぁ……やっぱ……無理だ……」


その間にも、

トミタの指先が、床を探る。


――届かない


そう判断した瞬間、

トミタはヒロシの腕を掴み、身体を起こした。


「くっ……!」


額が、ヒロシの顔面に叩き込まれる。


一瞬の隙。


トミタは転がり、

四つん這いでナイフを掴んだ。


「……チッ」


俺は、前に出た。


ヒロシを両手で突き飛ばす。


「…がぁっ!」


床を転がるヒロシ。


その一瞬、

トミタの視界がヒロシに奪われる。


――今だ。


俺は、懐に踏み込んだ。


「やるしか、ねぇんだよ!!」


体重をかけ、

完全に上から押さえつける。


抵抗する暇を、与えない。


拳を振り下ろす。


一発。


二発。


骨に響く感触。


「はァ……っ、はァ……っ……!」


意識が、明らかに定まっていない。


俺は、ナイフを大きく振り上げた。


「恨むなら――」


息を吸う。


「このゲームの運営を、恨め」


刃を、振り下ろす。


――ぐしゃり。


肉を裂く感触。


温度。


重さ。


トミタの身体が、びくりと跳ね、

そして――動かなくなった。


俺は、肩で息をしていた。


心臓が、耳元で鳴っている。


そのまま、トミタに跨った状態で、後ろを振り返る。


床に転がり、

四つん這いのまま固まっているヒロシ。


「……おい、腰抜け」


「……ひっ……!」


ヒロシは、壁にもたれ、顔を伏せた。


「ほんと……なんでこのゲームに参加したんだよ」


答えは返ってこない。


沈黙。


そこへ、キョウコが軽い調子で言った。


「これじゃぁさ、

今後こいつ、全然使えなくない?」


ヒロシが、喪失した目でキョウコを見る。


キョウコは、気づいてもいない。


「キリのいいタイミングで、

切り捨て要員にしよ〜っと」


命のかかったゲームに、容赦はない。


勝つためなら、

使えるものは使う。


使えないなら、

捨てる。


占い結果一つで、

ヒロシを“黒”にすることもできる。


襲撃に向かないなら、

投票で処理すればいい。


そうすればキョウコの占い師としての真目が出る。


俺は、ヒロシを見下ろした。


「……明日は、お前がやる」


低く、言い切る。


「それができないなら――」


一拍。


「俺たちが、お前を殺す」


逃げ道は、もうない。


俺は、勝つ。


そのためなら――

手段は、問わない。


episode5は主が土曜日にスノボに行く為、2月15日に投稿を予定しています。

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