プロローグ
あなたは、学生時代に意味もなく、ただそこに“存在している”という理由だけで、同級生の男たちから暴力を受けたことがありますか?
席替えで隣になった女の子に、本気で泣かれたことは?
社会見学のバスで隣が自分と知った瞬間、欠席されたことは?
給食に異物を入れられ、朝教室に入ると机の上に花瓶が置かれていたことは?
通りすがりの女子高生に、手を叩いて笑われたことは?
ヤンキーに唾を吐かれたことは?
道端で、「死ね」と叫ばれたことは?
私は、全部あります。
でも、私は訴えません。
なぜなら、原因は私にあるからです。
私は、醜い。
不細工で、肥満で、性格は根暗で卑屈。
運動音痴で、勉強も中の下。
誰に好かれる要素もない、見るに耐えない劣等生物です。
だから、迫害されるのは当然。
笑われ、拒絶され、嫌悪されるのは、当然の報い。
ルッキズムが加速する令和のこの時代では、醜き者に人権など無いのです。
……それでも。
こんな私にも、きっと——
生きる権利があるはずだ。
幸せになる資格だって、あるはずだ。
私の10代は、地獄でした。
何もかもを奪われ、踏みにじられ、理不尽な痛みだけを積み重ねてきた。
けれど、それでも私は誓ったんです。
必ず、全てを取り返してみせると。
そのためなら、どんな手段だって使う。
必要なら、悪魔に魂を売ったって構わない。
今に見ていろよ、クソ野郎どもが。