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残火のソフィア  作者: 結城 漣
残火のソフィア ―残火の誓い編―
9/25

【焼き尽くす者】

七魔帝の一角“斬瞳のドレイゼ”を退けたものの、ソフィアとミカの身体は限界に近かった。


ソフィアの肩口からは血が滴り、ミカは立っているのがやっとの状態だった。



ソフィアが剣を杖代わりにしながら呟く。


「…勝ったんだよ、私たち」


ソフィアは笑っていた。

しかし、その笑みは次の瞬間に凍りつく――


“視線”が戻ってきた。


森の奥。空間の向こうに、再びドレイゼが現れたのだ。


「まさか……まだ生きていたの!?」


ソフィアが構え直す間もなく、ドレイゼの“視界”が再び森を切り裂いた。


木々が崩れ、空間が引き裂かれ、ソフィアが咄嗟にミカをかばって倒れる。


「ソフィア!!」


焼ける匂い。血の匂い。

その瞬間、ミカの中で何かが“切れた”。



「やめてよ……!」


ミカの声が森中に響く。

その両手から、真紅の残火が爆発的にあふれ出した。だが、それはただの火ではなかった。


ソフィアと“重なった”記憶――怒り、痛み、優しさ、孤独、願い――

そのすべてが共鳴し、ミカの中に“もうひとつの火”を灯した。


「この火は、ソフィアの火じゃない――あたしの意志で燃やす火だよ!」


炎が変質する。

名も無き残火から、己の名を得た力へ。



ミカが跳ぶ。その瞬間、ミカは

ドレイゼの力が弱まったように感じた。


「やるなら今だ…!」

火が翼のように背に現れ、空中でドレイゼを直撃する。

一瞬の静寂の後、空間が灼かれ、爆ぜた。


炎は黒い霧のような残骸を包み込み、ドレイゼが崩れ落ちていく――


「これが……あたしの、火!」


ミカは地に着地し、崩れ落ちたが、その表情は清々しいものだった。


ソフィアは静かに、立ち上がる。


「ミカ……あんた、本当に強くなったね」



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