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残火のソフィア  作者: 結城 漣
残火のソフィア ―残火の誓い編―
8/25

【連焔】

夜の森を照らす月明かりは雲に隠れ、辺りは暗闇に包まれていた。

ソフィアとミカ、そしてレイは、廃神殿の裏手にある結界の外れに身を潜めていた。



「……来るね、ソフィア」

ミカが囁くように言った。空気の流れが、さっきとは違う。


「わかる。あれは……ただの魔物じゃない。七魔帝だ」


漆黒の獣影が木々の間を走る。地面を這うように広がる闇の気配。その中心にいるのは――


「“斬瞳のドレイゼ”……!」


七魔帝の一柱、ヴィルゼラとは違う“見ることで切り裂く”という奇妙な力を操る異形の魔帝だった。


「ドレイゼ…!!」

レイはそう呟きどこかへ行ってしまった


「レイ!? ッ――ミカ、下がって!」

ソフィアが炎をまとい前へ出る。だが、ミカはその背中を追うように叫んだ。


「違う……今度は一緒に戦うって決めた!」


ソフィアの刀が炎を纏って振るわれるが、ドレイゼの「斬視ざんし」が空間ごと切り裂く。

その衝撃に吹き飛ばされるソフィア――


「ソフィア!!」



その瞬間、ミカの胸が熱くなる。体の奥から、燃えるような力が溢れた。


(お願い……あたしに力を貸して。ソフィアを守りたいの!)


ミカの手の中に、微かな炎が生まれる。けれど、それはただの火ではなかった。

ソフィアの持つ“残火”と共鳴し、呼応していく――


「共鳴……してる? あたしの火と、ソフィアの火が……!」


ミカの炎が紅蓮に変わり、その刀が残火刀と似た形に変化する。



「いける……今なら、あたしたちの火が届く!」


ミカが先に走る。ソフィアはそれを見て驚き、そして微笑んだ。


「……やるじゃん。じゃあ、合わせるよ」


二人の炎が重なり、左右からドレイゼへと斬り込む。

空間が裂け、地が揺れる――そして。


「――“双閃・紅焔連牙そうせん・こうえんれんが”!!」


炎が弧を描き、ドレイゼの体を焼き裂いた。



「……やった、の?」

ミカが肩で息をしながら尋ねる。

ドレイゼの影が霧散し、森の奥に消える。


ソフィアはゆっくりとミカの肩に手を置いた。


「ありがとう、ミカ。あんたの火がなかったら、私……本当に終わってた」


ミカは照れくさそうに笑って、小さく頷いた。


「ソフィアの火があったから……あたしの火も、ちゃんと燃えられたんだよ」


夜の静けさが戻ってくる。



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