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残火のソフィア  作者: 結城 漣
残火のソフィア ―残火の誓い編―
4/25

【七魔帝 蒼獄】

仮面の奥の瞳が、ソフィアを射抜くように見下ろす。


 「……最期に言い残すことでもある?」


 ソフィアは膝をついたまま、息を整える。そしてゆっくりと顔を上げた。

 その瞳は、恐怖の奥に燃えるような決意を宿していた。


 「あるよ……!」


 ヴィルゼラの表情が、微かに動く。


 「たとえ届かなくても……私は、火を灯し続ける。

 誰かが希望を繋げるように。あんたみたいな絶望に、飲み込まれないために!」


 血がにじむ拳で地を叩き、彼女は立ち上がった。


 「私は……残火のソフィア。

 焼けた世界に、もう一度“朝”を連れてくるために、燃え続ける!」


 その言葉に、風が揺れた。


 ヴィルゼラの表情は読めない。だが、確かに“何か”がわずかに揺らいだ――その瞬間。



---


 「今だ!」


 レイが叫ぶ。


 右腕に展開された巨大な転移魔法陣――

 “魔帝級存在”を無理やり空間転送させる高等魔術。


 「《封界――虚軸転送》ッ!!」


 ヴィルゼラの足元に魔法陣が走る。


 「――愚かね…!」


 ヴィルゼラが振り上げた腕から氷の槍が発現する。が――


 「させない……!」


 ソフィアの残火刀が一閃。ヴィルゼラの振り上げた手を斬り落とした。



---


 次の瞬間。


 転送陣が収束し、蒼き魔帝の身体が光に包まれ、空間ごと裂けていく。


 「残火の娘、人間を少しは見直したわ?でもね、私は審判の結果が間違っているとは思わないわ。次会うときは――」


 ヴィルゼラの姿が、光と共に霧散するように消えた。


 空が静まり、結界の氷が崩れ落ちる。



---


 「……倒した…?」


 「いや、封印でも勝利でもない。“猶予”をもぎ取っただけだ」


 レイが肩を落とした。



---


 ソフィアは、遠ざかった空を見つめた。


 「次は、絶対に……この火を届かせてみせる。

 あんたの“審判”は間違ってる」


 そして静かに、残火刀を鞘に収めた――。



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