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残火のソフィア  作者: 結城 漣
残火のソフィア ―絶望の檻 編―
19/25

【あの日】

1か月前のあの日、夜風が冷たく森を吹き抜ける。

遠くの村は燃え盛る炎に包まれ、悲鳴と怒号が混ざり合っていた。


「早く逃げろ!村を守れ!」


レイは家族の元へと駆け抜ける。

母が必死に井戸の水を汲み、妹のリアが震える小さな手を母の手に絡めている。


「リア、こっちだ!急いで!」


だがその声は届かない。

人間の軍勢が無慈悲に村を襲い、火の手が家々を飲み込んでいく。


「燃やせ!奪え!この地と資源を全て我らのものにするのだ!」


村人たちは抵抗するが、武器もなく次々と倒れていった。


レイは必死に駆ける。


「母さん!リア!」


だが、すでに遅かった。

母は刀を振るいながらも、多勢に無勢で倒れ、リアは血を流しながら倒れている。


「母さん……リア……!」


胸を鋭く締めつける痛みが貫く。

レイはその場に膝をつき、冷たいリアの手を握りしめた。


涙が頬を伝い落ちる。

それは悲しみの涙ではなかった。


失われた未来への後悔、叶わなかった約束への痛み、そして己の無力さへの怒りが、胸を焦がす。


「なぜ……なぜお前たちは……!」


絶望は重く、深く、彼の心を飲み込んだ。


「……こんな世界、壊してしまいたい……」


闇に染まる瞳。

絶望の淵で、彼の中で何かが壊れていくのを感じていた。




夜の闇に包まれた村の廃墟で、レイは冷え切ったリアの手を握りしめていた。

彼の胸の奥底には、言葉にならない怒りと絶望が渦巻いていた。


「なんで……なんで、俺だけが……」


涙と共に堰を切ったように感情があふれ出した。

呟きはやがて叫びに変わり、夜空へと響いた。


「助けられなかった……守れなかった……」


虚空を見つめながら、彼の体は震えていた。

己の無力さを痛感し、世界が音を立てて崩れていくような感覚に襲われる。


「こんな世界なんて、壊れてしまえばいい……」


闇の中、レイの瞳は凍りついたように冷たく光った。

その瞳の奥底で、かつての優しさがゆっくりと消え始めていた。


「……俺は、誰かを守る力を手に入れなきゃ……」


その決意は、復讐への渇望となり、心に深い闇を刻みつけていったのだった。


了解です!

では、このレイの家族を人間に殺された悲劇の裏には、実はメリュシアの思惑が隠されている――という展開を組み込みますね。



---


追加シーン案(第8章中盤以降)



---


レイが絶望に沈み、闇に染まろうとするその時、遠くから冷たい風が吹き抜けた。

燃え残る村の影から、黒い花弁のような魔力がひらひらと舞い落ちる。


「――愚かな人間たちね」


低く響く冷たい声。

そこに立つのは七魔帝の一人、メリュシアだった。


「すーぐ騙されて…❤」


彼女の目は、闇の底に光る冷徹な炎のように輝く。


「混沌を生み、争いを増幅させることで、彼の心に憎悪と絶望を植え付けた。」

メリュシアは冷笑を浮かべる。


「七魔帝の空席の穴埋めが必要だもの…❤❤」

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